《都市伝説の魔師》第四章 年魔師と『二大魔師組織間戦爭』(16)
ユウたちはアレイスターのアジトを走っていた。服は一応夢実が持ってきたものを著用した形となっている。しきつい場所もあったがユウはそれを言わずに我慢している。我慢しているのではなく言わないだけかもしれないが。
「……まさかあなたたちが助けに來てくれるとは思わなかった」
ユウはぽつり夢実に言った。
ユウは絶の狀況を味わった。絶対に助かるはずのない環境にいた。だから絶対に助からないと思っていた。
だが、彼は今仲間と合流し外に出ようとしている。
(……こうなるなんて、ほんとうに思わなかった。やっぱり神ってものは……ほんとうに居るのかもね)
「私たちが助けに來たのは、ヘテロダインとスノーホワイトが共闘関係を結んだ以上に、あなたを特別な友人だと認識しているからですよ。それ以上でもそれ以下でもありません。ですから、あなたを助けたことで何か利益を求めるとかそういうことは一切ないですから、そのつもりで」
カナエの言葉に何度も頷くユウ。
「……とりあえず今はそんな話をしている場合じゃないです。急いで向かわないと……」
「向かう、って……外へ? でも外は警察とのつばぜり合いの真っ最中なのでしょう? 今出ると私たちも被害をけるのでは……」
「外に出るのよ。そして、まずは病院に向かう。そこで彼も待っている。まあ、眠っている狀態にあるわけだから『待っている』というのは々意味が違うのかもしれないけれど」
カナエの言葉を聞いてユウは一瞬考えるが、すぐにそれが誰であるかを理解した。
「柊木香月はまだ……生きているというのね?」
「ええ。彼は稀代の魔師になり得るかもしれないという才能を持っている。そんな彼をこんなところでみすみす死なせるわけにはいかない。そして、枯れてしまったという魔の才能も……必ず復活させてみせる。ただし、そのためにはサンジェルマンという男を探さないといけないのだけれどね……」
そうだ。サンジェルマンを探して、『サンジェルマンの丸薬』を手にれなくてはならない。
ユウはそう思って拳を強く握った。
――彼の手には、金の鍵が握りしめられていたことを、彼は拳を握りしめて思い出した。
そして。
彼たちの走る床に、唐突に黒いブラックホールが生み出された。
「な……!?」
ユウ、カナエ、夢実、隼人はその景に一瞬目を奪われた。彼たちは大急ぎでロープなどの類を探そうとしたが、そもそもそのようなものを所持しているわけがない。
次に夢実がコンパイルキューブを使って鉤爪のようなものを生み出そうとする。
だが――、それは謎の力によってかき消された。
「まさか……このブラックホール自が、魔の使うことの出來ないフィールドと化しているのか……!?」
「だとしたら私たちには何も……!」
隼人と夢実、カナエはこの狀態をどう対処すればいいのか解らなかった。何しろ初めての事態だから、それをどうこなすのか彼たちには解らなかったのだろう。
対してユウは冷靜にこの狀況を看過していた。
「……まさかこの結界は……」
「知っているの、ユウ!」
「これは古の魔師が使っていたといわれている、コンパイルキューブじゃ再現不可能な結界よ! ……この先に広がっているのは、なんだというの!!」
「このままだと……飲み込まれる……ッ!!」
そしてユウたちはそのまま、闇へ飲み込まれていった――。
◇◇◇
次にユウたちが目を覚ました時、そこに広がっていたのは一面の白だった。
「なんだ……この空間は?」
ユウはあたりを見渡す。
カナエ、隼人も同じ反応を示していた。
だが、夢実だけが違った。彼だけがその空間を、目を見開いてただ見つめていた。
「この空間……、私は見たことがある。この空間は何であるか。この白い空間は――」
「やれやれ。またこの空間に人間がやってきたか。閉じ込められたのか、導かれたのかは知らないが……あまりここは人の來る場所ではないと思うぞ。だから出來ることなら早々と出ていくべきだ。でないと私のように壽命が盡きない狀態じゃない限り、ここで一生を終えることになるのだから……」
そこにいたのは、シルクハットにタキシード……いわゆる紳士の恰好をした男が立っていた。目は紺と金の、いわゆるオッドアイだった。
その姿を覚えている夢実は、頷く。
そしてその姿を覚えていたのは夢実だけではなく、彼の姿を紳士も覚えていた。
先に紳士がシルクハットの鍔を軽くもって、首を傾げる。
「……君は確か、ここから出したはずだったが……。まさかまたここに導かれたとでもいうのか?」
「確かあなたは、……サンジェルマン、でしたよね?」
それを聞いてユウたちはそちらのほうを向いた。
サンジェルマンと呼ばれた紳士は笑みを浮かべて、シルクハットを外し、そのまま頭を下げた。
「ええ、そうですよ。私の名前はサンジェルマン。不老不死のを見つけた、魔師とは違うもう一つのカテゴリ、『魔神』に所屬する存在ですよ」
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