《都市伝説の魔師》第五章 年魔師と『一度きりの願い事』(5)
「……嫌だ、と言ったら?」
それを聞いて笑みを浮かべるアリス。
「嫌だ……か。隨分と事を言うようになったじゃないか、ユウ・ルーチンハーグ。嬉しいねえ。しかし、いいのかい? あんたは今、魔を一切行使することの出來ない、ただの人間だということを、理解していないのではないのかい?」
「どうやら一人忘れているようだな」
その言葉を聞いて、アリスはそちらを向いた。
剎那、火炎放がアリスへと放たれた。
アリスは大急ぎでシールドを張ることでどうにか火炎放の直撃を防いだ。
そして彼は鼻で笑う。
「る程ね……。サンジェルマンの丸薬を使って、柊木香月を復活させたということ。予想通りではあったけれど、々早かった行ともいえるわね。それに、これは厄介ね。ユウ・ルーチンハーグを無効化に出來たとはいえ、それはあくまでも一時的なもの。しかしながら柊木香月が復活してしまったとなれば……プラマイゼロになる」
「どうやらけっこう高い評価をしてもらえているようだね? 僕も驚きだよ」
香月はベッドから起き上がり、アリス・テレジアと対面する。
「まさか伝説の魔師とお會いできるとはね……栄ですよ、アリス・テレジアさん」
「じゃあ、遠慮なく死んでくれないかしら?」
「そいつはまた直球な発言ですが、僕だって死ぬわけにはいかないのですよ。だって、僕だって組織に所屬していますからね。それに僕だけの人生じゃない。妹も居るし、家族もいる。そう簡単に死にたくないんですよ、僕だって」
アリス・テレジアは左手を差し出す。
「る程ね……。確かにそう思うかもしれないわね。でも、それは子供だから思うだけ。普通の人間はそう思っても、魔師になれば迷いはすべてかき消せるはずよ」
そして火球を掌の上に生み出したアリスはそのままそれを香月のほうに投げ飛ばした。
火球を避けつつも、次の攻撃を準備する香月。
「次は……これだ!」
香月はそう言って右手を上に掲げる。
剎那、アリス・テレジアの頭上に雷雲が蠢き――そのまま雷が命中した。
しかしながら、アリスは無傷だった。すぐにシールドを展開していたからだった。
しかし、彼と一緒に居た時雨は、ほんのしだけ反応が遅れてしまった。
だから、雷が命中した。
「時雨!」
アリス・テレジアは慌てて彼のもとに駆け寄ろうとする。
それが狙いだった。
香月は氷の刃を作り出し、アリス・テレジアの首元にあてた。
「そこまでだ、アリス・テレジア。お前がコンパイルキューブを神前時雨に持たしていたことは、どことなく解っていたよ」
それを聞いたアリス・テレジアは目を丸くした。
「……なぜ、解った?」
「最初に気づいたのは、なぜか戦いで時雨とアリス・テレジアが離れようとしなかった時だ。しかしその時はまだ可能に過ぎなかった。そして次に、詠唱無しで魔を行使したことについてだ。たとえどんなコンパイルキューブを使用しても詠唱無しで魔を使うことは出來ない。コンパイルキューブにコードを通し『コンパイル』する必要があるのだから」
「……る程、さすがはランキングホルダーということか」
アリス・テレジアは笑みを浮かべたのち、彼の手にあったコンパイルキューブを床に置いた。
「もう、時間も無い。これ以上君と戦っても、きっと有益な結果を得られないだろう。私を殺すがいい」
「……いいのか?」
「せめてもの報いだ。どうせ私が生きていても無駄だろうからな。この町をこれほどまでにした罰と思えば、いいのではないかね?」
「アリス・テレジア、あなたは……」
ユウの言葉に頷くアリス・テレジア。
「私は、都市伝説のエネルギーを利用して『世界』の扉を自由に作していた。そこにエネルギーをため込むことで、私の貌と魔力は保たれていた。しかし、それも枯渇していた。そんな中、サンジェルマンの丸薬の噂を聞いた。……だから私は、サンジェルマンの丸薬を探したというわけだ」
「サンジェルマンは……丸薬を出さなかったのだろう?」
「ああ、そうだ。結局最後まで、サンジェルマンは丸薬を差し出そうとはしなかった。だからとはいえ、魔神を倒すほどの力も持ち合わせていなかった私はそのまま幽閉して飼いならすしか無かった」
「そのタイミングで私たちが丸薬を……る程ね。すべて理解できたわ」
「さあ、ひと思いに殺してくれたまえ」
アリス・テレジアは目を瞑って、そう言った。
そして、香月は――そのまま刃を振り放ち、アリス・テレジアの首を一閃した。
その瞬間、大きな戦いは呆気なくも幕を閉じた。
大きな犠牲を払いながらも、彼らは勝利した。
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