その車はちょこんとローダーにのっていた。

いつもよりもちょっと早く帰っていた。

ふと橫を見るとローダーが走っている。

僕は2cvの小さな窓から何が積載されているのか気になった。

それは、錆びてボロボロだったが、形ははっきりとしていた。

小さくて、荷臺があって、緑がうっすらと殘っている三自車。

ダイハツ、ミゼットだ。

どこかでレストアされるのだろうか。

走っている姿が見れなかったのが殘念ではあった。

ダイハツ、ミゼット。

第二次世界大戦後、焼け野原となった日本の復興に流面で大活躍した一臺だ。

エンジンも車も小さく、狹い路地が沢山ある日本の地形によく合わせられたら一臺でもある。

価格や稅金等々を安くできるように、あえて三という形を選んだ。

そのため、コーナリング時に転倒することもあったというが、多くの日本人（とくに八百屋などの店）にされた三自車である。

小さいながらも多くのが載せられ、高度経済長を支えていた。

現在でも、高度経済長期の寫真などでも、よく寫っているほど、戦後復興の代名詞といえるほどの車だ。

僕は2cvを家のガレージに駐車して、

「そういえば、実家の近くにミゼットがとまっていたけど、あの後どうなったんだろう。まだ、走っているのかな。」

なんてつぶやいて鍵をしめた。