《一臺の車から》25.狼への憧れ (フェラーリ ディーノ 246GT、ロータス ヨーロッパ)
「いってきます。」
2cvにそう言って家をあとにした。
今日から一泊2日の社員旅行だ。
ほんとは行きたくないのだが、人付き合いのため、ほぼ強制參加だ。
短い間だが、意味なくバッテリーの端子は外しておいた。
うちの會社は仕事場からバスで宿泊先の旅館へと向かう。
座席は上司と部下の結びつきを強くするという名目のもと、上司と部下が隣同士に座らなければならなかった。
誰の隣になるのかと思っていたら、僕を呼ぶ聲がした。
呼んだのは2cvをかつて所有したことがあるという課長だ。(15話參照)
「一緒に座らんか。」
僕は斷らなかった。
僕たちが乗ったのは1號車の右側で、窓際に課長が座った。
しばらく走ると、バスは高速に乗った。
周りの席は僕と同じぐらいの20代が上司に向かって堅苦しく話している。
僕は2cvの話しで盛り上がっていた。
話しが通じる人どうしで話すのは実に楽しい。
そんな時、バスの後ろから豪快な音が響きわたると、背の低い赤と白の2臺の車が追い越し車線から抜き去っていった。
50代であるほとんどの上司はくぎ付けとなった。
「おい、あれは…」
「赤いのはフェラーリ、ディーノで、白いのはロータスヨーロッパですね。」
「やっぱりか。いいね~。あのサウンドは~。」
低すぎて、バスからは見えなかったが、抜き去っていくときに後ろ姿が見えた。
後ろから見ても、フェラーリで一番しいボディデザインを持つディーノ。
その姿から當時は霊柩車なんて呼ばれたヨーロッパ。
どちらも1960~70年代のスーパーカーだ。
得意げに話していると、僕と年が近そうなに後ろから話しかけられた。
「なんなの、あの車。」
「フェラーリ、ディーノとロータスヨーロッパという昔のスーパーカーだよ。
どちらも漫畫サーキットの狼で主人公、風吹裕矢がドライブした車だよ。」
「フェラーリとロー…」
「1970年代にスーパーカーブームを巻き起こした車だよ。」
ぽかんとしているの様子をみると、年配の方々の興についていけなかったらしい。
フェラーリはわかっても、車に興味はないからロータスはわからなったみたいだ。
秋だし2臺つるんで紅葉でも見に行くのだろうか、サウンドと興を殘して消えていった。
フェラーリ、ディーノ。
おそらく246GTだろう。
ほとんどのディーノは246GTだ。
ディーノは若くして亡くなったエンツォ・フェラーリの一人息子の名前だ。
エンジンは2418ccのV型6気筒を橫置きミッドシップにしている。
200馬力にはとどかなかったが、車両重量が1100kg未満ということもあり、サーキットの狼では1番のコーナリング能を誇っていた。
しかし、エンツォは「12気筒以外のストラダーレはフェラーリとは呼ばない」といったことから、ディーノには跳ね馬のエンブレムはつけられていない。
ロータスヨーロッパ。
おそらくスペシャルだろう。
サーキットの狼の主人公が一番最初に乗った車だ。
ロータスセブンの後継機として、開発された。
エンジンはロータスエラン(S4)にも搭載されていた1600cc、直列4気筒DOHCエンジンをミッドシップに縦置きされていた。
130馬力にも満たなかったが、FRP製のボディをにまとい、車両重量610kgと驚異の軽量化を実現している。
また、車高や著座位置を低くして、重心が低くなっていることにも注目だ。
そのため、作中ではストレートでライバル(ポルシェやランボルギーニなど)に離されるものの、そのコーナリングスピードをいかして勝負を挑んでいた。
だから、自然とコーナリングが多い首都高やワインディングといった公道で活躍した車なのだ。
旅館には、溫泉があったりとゆっくりすることができた。
宿泊部屋は課長も一緒で、一晩中語り合っていた。
社員旅行から帰ってくると、
「ただいま。」
といって、らかい布で2cvを拭いてやった。
それから寢床についた。
【1章完】脇役の公爵令嬢は回帰し、本物の悪女となり嗤い歩む【書籍化&コミカライズ】
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