《友だちといじめられっ子》2
が學校に來るようになって、一ヶ月が経とうとしたある日のこと。その日、はいつもより早く教室に來ていた。しかしは、その日、教室にることは無かった。それは、がドアの前に立ったとき、中から聞こえた會話が原因だった。
「あいつ、なんで學校に來たのかな」
「せっかく、休んでたのにね」
「ほんとだよ。あのまま來なくて良かったのに」
「あ・れ・に気を使うの、面倒臭いんだよね」
笑って話されたその會話を聞いたは、教室にらず、保健室に走った──。
「どうしたの、何かあった?」
保健室のドアを開けると、先生が心配そうに聞いた。
「先生、もう、教室に行きたくない⋯⋯」
はそう言って、ついさっき聞いた會話のことを話した。その聲は、震えていた。
「そっか。それじゃぁ、また、ここにおいで」
先生の優しい聲と笑顔に、が高ぶって、泣きそうになった。
⋯⋯それからはまた、教室へは行かず、學校には來ても、保健室にしか行かなくなった。
「失禮します⋯⋯」
ある日、保健室に、と仲の良かった生徒が來た。
「先生、さっき出張行ったけど⋯⋯」
「うん、知ってる。⋯⋯休ませてもらってもいい?」
「うん」
は、いつものようにベットに行き、カーテンを閉める。保健室に沈黙が流れた。
「あのさ、教室、加奈が片付けてたの?」
唐突な質問に驚きながらも、は「うん」と、小さく答えた。
「ありがとう」
続けてそう言われたは、とても戸った。
「加奈が來ていた時だけ、次の日の教室が綺麗だったからさ。⋯⋯やっぱり、加奈だったんだ。」
「うん」
⋯⋯再び、二人の間に沈黙が流れた。
「あのさ、ごめんね。ほんとにごめん。」
「えっ」
思わぬ言葉に、は再び戸った。
「加奈が教室に來れなくなったのは、私たちのせいなのに。教室に來れるようになった加奈は、教室、片付けてくれてて。ほんとにごめん、ありがとう」
はそれを聞いて、泣きそうになった。の行いに、謝してくれて、謝ってくれて、それだけでもう、には十分だった。
「加奈ー!また來たよー!」
それから、その友人は、度々保健室に顔を出すようになった。の様子を見るために。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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