《神様にツカれています。》第一章 13
「でも……。植を育てたことは、小學校の時の朝顔くらいなんですけど……。手伝って下さるんですよね……」
そんな未経験者でも大丈夫なのだろうか?しかも朝顔は水をやるのを忘れて枯らせてしまったことはナイショにしておこう。
「このタワケ者がっ!!」
怒鳴られたものの、意味が分からない。
「『タワケ』って臺所とかにある洗うモノですか?」
それしか思い當たるはない誠司だったが、麻神様は、怒りの表が空振りに終わったじで、むしろ呆気に取られたようだった。
「アホというほどの意味だが……関西人にアホと言うとシャレにならないので、アホを古風に言い換えたのだが……。やはり頭が殘念過ぎる人間はこれだから……」
がっくりと肩を落としている。何だか時代劇で戦に負けて逃げ出した落ち武者(?)が敵に見つかってしまった瞬間のようだった。
ただ、アホを連呼されるのはマジに止めてしい。馴染の也だってそこまで骨に言わない。頭の良さと――そしてこれはどうでも良いが――子が全員振り返るというイケメン合は、誠司が逆立ちしたって敵わない相手だけれども、何故か気が合ってずっと友達付き合いをしている。
「さっきからの話を聞いておっただろう。神様が農作業をしたり『オレだけど』という電話をかけたりしない。あくまでも人間の行為を元にポイントがチャージされるシステムだ。
しかし、誠司ほどのアホなら多は景気が上向いた、このご時世でも就活は危ないな。いや卒業もか。そういう時のためにプラチナ會員……ではなくて利益を最高額にまで引き上げておく必要があるだろう。なまじ自力で何とか出來るような「ゆう」……いやいや、要領の良い人間とはとても思えないのだからの」
「優秀」と言いかけたことくらいは誠司にも分かる。ただ、神様の言うことも何だか納得だ。
「大學の奧の空き地ですよね……。誰もれないように一応なっていますけれど……。ああ、こーきのヤツが忍び込む方法を知っているとか言っていました。けれど、育て方とか全然分からないです……どうすれば良いんですか?」
幸喜こうきとは髪を赤く染めている一応友達だ。
「あああ。もう特別サービスで教えてやろう。その代わり立派な糸が採れるようになるまで責任を持って育てるのだぞ。そうしなければ神罰が下る……」
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