《神様にツカれています。》第一章 15
「この契約書を読した上で署名・捺印をこの欄に記すると完了だ」
何だかバイトの面接の時みたいだった。ただ誠司が今バイトをしているコンビニでは米粒よりも小さな字でびっしりと書いてなかった。ただ、神様とのの契約書だったら、何かもっと古めかしい筆と墨で書かれた巻紙(?)のようなが相応しいような気がするが、目の前にドヤ顔で置いたはどう見てもPCか何かで作したと思しき「現代風」だった。
まあ、ネカフェのことにもかなり詳しい神様だけにもしかしてそんな場所で作したのかも知れない。
PCをる神様というのも意外過ぎるが、この目の前のザビエルハゲなら何でもアリなような気がする。
「えっと、これ全部読まないといけないのですよね。ええと『神、以後は甲こう契約者、以後』…………何て読むんですか?」
ポカーンとスイカを叩く音と共に頭部に激痛が走った。
「アホか。誠司はネットも見ないのか?今時の若者のクセに……。
しかし、頭の鳴る音も見事に誠司を表現しておったな。スイカはスイカでも中がスカスカで出荷出來ないレベル……。いや、それは置いておいて『乙おつ』と読む。
5ちゃんでも『乙!』と書かれている。まあ、意味は異なるが『お疲れ様』の最初の二文字が由來だ。そんなことも知らないのか……」
盛大なため息をつかれて、かなり傷付いた。頭も痛い上に心まで折れてしまいそうになる。
というか、何で神様にそんなことで呆れられてしまうのかも分からない。一応その巨大掲示板にってみたことは有ったが、専門用語というか業界用語の羅列でサッパリ意味が分からずにそっと閉じた覚えがある。「乙」の字も見たような気がするが、定かではない。
「まあ、甲の字が読めただけマシかもしれんの……」
神様は自分を勵ますようなじで呟いている。読めた理由を言うと再び叩かれそうな気がして止めたが。
それは誠司も大阪の人間なだけにタイガー〇ファンだ、熱狂的ではないものの。だからその球場名を知っていただけということはナイショにしておこう。アホを連呼されてはたまったものではない。馴染の也に呆れられるのはまだ良いけれどもそれは友達という、一応対等な関係だからだ。
そうか、こう考えればいい!オレって賢いかも!と心の中でガッツポーズをした。
妹と兄、ぷらすあるふぁ
目の前には白と黒のしましま。空の方に頭をあげると赤い背景に“立ち止まっている”人が描かれた機械があります。 あたしは今お兄ちゃんと信號待ちです。 「ねぇ、あーにぃ」 ふと気になることがあってお兄ちゃんに尋ねます。お兄ちゃんは少し面倒臭そうに眠たそうな顔を此方に向け 「ん? どうした妹よ」 と、あたしに話しかけます。 「どうして車がきてないのに、赤信號だと止まらないといけないの?」 先ほどから車が通らないしましまを見ながらあたしは頭を捻ります。 「世間體の為だな」 お兄ちゃんは迷わずそう答えました。 「じゃああーにぃ、誰もみていなかったらわたっていいの?」 あたしはもう一度お兄ちゃんに問いかけます。お兄ちゃんは右手を顎の下にもって行って考えます。 「何故赤信號で止まらないといけないのか、ただ誰かのつくったルールに縛られているだけじゃないか、しっかり考えた上で渡っていいと思えばわたればいい」 ……お兄ちゃんは偶に難しい事を言います。そうしている間に信號が青に変わりました。歩き出そうとするお兄ちゃんを引き止めて尋ねます。 「青信號で止まったりはしないの?」 「しないな」 お兄ちゃんは直ぐに答えてくれました。 「どうして?」 「偉い人が青信號の時は渡っていいって言ってたからな」 「そっかー」 いつの間にか信號は赤に戻っていました。 こんな感じのショートストーリー集。 冬童話2013に出していたものをそのまま流用してます。 2016年3月14日 完結 自身Facebookにも投稿します。が、恐らく向こうは二年遅れとかになります。 ストリエさんでも投稿してみます。
8 197神様を拾った俺はイケメンになれるそうです
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