《史上最強の魔法剣士、Fランク冒険者に転生する ~剣聖と魔帝、2つの前世を持った男の英雄譚~》火魔法
日が暮れて、夜になった。
現在、俺が何をやっているのかというと、熱を利用した火起こしである。
前世の記憶を頼りに見様見真似で挑戦してみたのだが、これが酷く難しかった。
木の板の上に小さな木を押し付けて、ゴシゴシと押し付ける。
途中に何度か『惜しい』と思うことはあったが、なかなか火が起こるという段階には至らない。
とにかく俺は気良く、地道に作業を続けてみることにした。
ボッ!
おっ。今、一瞬、火のが見えたような気がするぞ。
その後も同じような要領で、試行錯誤を重ねながらも挑戦してみる。
「おおー」
作戦功だ。
燃え上がった火はたちどころに周囲に置いた枯れ葉を移り、大きな火を作り出すことになった。
【スキル:火魔法(初級)を獲得しました】
【スキル:火魔法(中級)を獲得しました】
【スキル:火魔法(上級)を獲得しました】
ステータス畫面を確認すると、火屬魔法のスキルを一気に獲得していた。
苦労した甲斐もあってか、一気に上級まで上げることができたみたいだ。
「キュー?」
おつかいに行かせていたライムが、薪を持って帰ってきた。
「助かったよ。お前も食うか? これ?」
「キュー!」
せっかく火がついたので、ゴブリンの巣窟から拝借してきた干しを炙って食べてみる。
うん。うまい。
ゴブリンたちの作った干しはお世辭にも旨いものではなかったが、これなら食べられそうである。
「キュー! キュー!」
炙った干しがそんなに気にったのか、ライムも何時も以上に旨そうに干しを齧っていた。
「うわあああああああああ! こ、こっちに來るなああああああ!」
異変が起きたのは、のんびりと夕飯を食べていた時のことであった。
その時、俺の視界にってきたのは、モンスターに追い掛け回されている1人の男の姿であった。
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