《病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです》第31話:閑話・求婚・アレクシス皇太子視點
「陛下、どうかキャメロン嬢への求婚をお認めください」
「本気なのか、アレクシス。
もうキャメロン嬢は皇國の方伯ではないのだぞ。
一國の王に戴冠したのだぞ」
「分かっております、皇帝陛下。
キャメロン嬢への求婚が大陸のパワーバランを崩す政略結婚になる事、政治的にも軍事的にも重大な結果を生むことは重々承知しております」
「本當か、本當に事の重大さに気がついているのか。
他國が介してくるだけではないのだぞ。
アレクシスに正妃を送り込み、皇后となったときに影響力を手にれようとしていた、皇國の貴族共が本気で邪魔をしてくるのだぞ」
「確かに以前ならばその危険がとても大きかった事でしょう。
ですが皇帝陛下の英斷とキャメロン嬢の軍事力により、皇國に大きな損害を與えることなく一番の抵抗勢力を討伐できました。
今ならば殘った派閥が連合したとしても皇室直屬の軍だけでも討伐できます。
ましてキャメロン嬢の領主軍を味方にできれば、皇族が長年んでいた専制政治が可能になります」
「愚かな、皇族が全て一致団結できるとでも思っているのか。
そなた弟妹はもちろん、傍流の皇族も皇位を狙っているのだ。
傍流皇族の中にはお前の正紀の座を狙っている家もあるのだ。
そんな者たちが混を好機ととらえたら、収拾のつかない混となるのだぞ」
「ですが我ら皇族本家本流にも好機ではありませんか。
キャメロン嬢の莫大な経済力と強大な軍事力が私の力となります。
それに皇帝陛下なら調べられているのでしょ、キャメロン嬢個人の力を。
あの莫大な魔力が私の力となるのです、誰が敵に回ろうと恐れるに足りません。
なにより私とキャメロン嬢の子供は、皇族本家本流の力とメイトランド王家の力を引き継ぐことになるのです」
表向きの理由なんてどうでもいい。
私はキャメロン嬢を心からしている。
彼を想うだけが高鳴り甘く疼くほどだ。
この想いに従ってキャメロン嬢に求婚する。
だが皇太子である以上、周囲に人間を説得しなければ求婚すらできない。
なくとも皇帝陛下だけには認められないとどうにもならない。
「確かにキャメロン嬢の膨大な魔力と蘇生復活魔は素晴らしい。
すでに大陸中の権力者がキャメロン嬢の配偶者の座を狙っている。
だからこそ先程から反対しているのだ。
すでに皇國はキャメロン嬢に十分な恩を売っており、お前は元人であると考えられているのだ。
これ以上強い関係を結ばなくても、十分キャメロン嬢に対する影響力を持っていると考えられているのだ。
これ以上強い関係を結ぼうとしたら、多くの刺客が送られてくるぞ」
「分かっております。
その覚悟はできております。
それでも、それだけの危険を冒すだけの利があるのではありませんか」
頼みます、父上。
どうか許可してください。
もし許可してくださらなければ、私はキャメロン嬢へののために國を捨てなければいけなくなります。
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