《覇王の息子 異世界を馳せる》曹丕、案人を頼む
宴會は続く。いわゆる宴もたけなわ。
しかし、曹丕は馳走や酒に目もくれず、老人へ質問攻めを行っていた。
「では、我々は都へ向かうことにしましょう。都へはどう向かえばいいのでしょうか?」
『ホッホッホッ。心配せんでも、この村の者なら誰でも都まで案できます、好きな者を案人としてお選びください』
「なんと、何から何まで至れり盡くせりのおもてなし、誠に謝いたします」
曹丕は立ち上がり、その場で深々と頭を下げた。
それを老人は慌てて止めた。
『面をお上げくだされ。これもしきたりの一つですよ』
「いやいや。この恩は、いつか必ずお返ししましょう」
そんなやり取りもあり、曹丕、関羽、そして老人は宴會會場を見て回った。
裏方で料理を作る者、その手伝いの者。それらの者々を除くと、ほとんどの村人が集結しているという。
この場にいる者から案人を選ぶのだ。
関羽は若い男共を見て計る。
殘念ながら関羽を唸らせるほどの膂力の持ち主は見當たらなかったが、それなりの者は何人かいた。
さて、どの者を曹丕殿に進言するか?そう考えながら、曹丕へと目を向ける。
すると、曹丕はある一點を見てきを止めていた。
「どうかなさいましたか?曹丕殿?」
「々、気になる人が―――」
どの者が曹丕の目に適ったのか。曹丕が見ている方へと関羽は目を凝らすが、それらしい人は見當たらなかった。
はて、と関羽が不思議に思ってると曹丕は老人へと話しかける。
「なぜ、あの方は憂いをめた表を浮かべているのでしょうか?」
曹丕が指を刺した方向。そこには、がいた。
そのは、この村へ著いた時に最初に出會っただという事を関羽は思い出す。
しかし、『憂いをめた』という表現は腑に落ちない。
彼の周りには、同じ年くらいの達が集まり、おしゃべりに花を咲かせているではないか。
どこをどう見ても楽しげと表現するのが正しいはずだ。
しかし、老人は曹丕の問に言い淀んでいる。
「どうかなさいましたかな?」
関羽の言葉に老人は我に返ったように語り始めた。
『そのご慧眼、恐れりました。実は彼には生涯を約束した者がおりました。しかし、3年ほど前の事。この村にやってきた《渡人》の案役となり都へ向かい、帰ってきませんでした』
「・・・・・・何が、あったのでしょうか?」曹丕は遠慮しがちに聞く。
『わかりません。都まで到著したとの知らせはありました。帰りに盜賊に襲われたか、それとも……』
「その《渡人》に仕したという事でしょうか?」
そう言ったのは関羽だった。
劉備と曹、2人の英雄に仕えた経験上、関羽には學んだことがある。
それは英雄の條件。
その一つは、強大な求心力。
英雄には、この方のそばにいたい、仕えたいと思わせる魅力があるのだ。
悪く言ってしまえば、英雄とは人ったらし。普通の者ならば、求められれば応じざるえない。
そして、この地は優秀な者を呼び寄せる不可解な土地。
関羽は、この場所に対して、そういう解釈を下していた。
どこともなく英雄が集まる地。ならば、そういった類の者が現れたと……
関羽は、考え込んでいたために曹丕のきに対して反応が遅れた。
曹丕は前に歩く。どう見ても、ただそれだけのはずだった。
だが、その日常的な作には、どこかしさをじさせる。
まるで最初から見られる事を想定された舞のようなしさ。
周囲の者達もそれを見た瞬間に言葉を失い、目を離せなくなっている。
あれほど騒がしかった宴會場が靜寂に包まれていく。
曹丕はの前に立った時には、まるで時間が止まったかのように沈黙が村全を支配していた。
これから何がおこなわれるのか?誰にもわからない。
しかし、何か重要な事がおこなわれる。全ての住民はそう直していたのだ。
そして全ての住民が見守る中、曹丕は彼に名前を聞いた。
「お主、名前は?名前は何と申す?」
『わ、私は、私の名前は、シンと言います』
張からか、それとも恐れからか、の返事は口篭るながら答える。
「そうか、ではシンよ。私と一緒に都へ行かないか?」
曹丕が差し出した右手は、シンはジッと見つめる。
やがて、その意味を理解したのか、シンは曹丕の右手を握り返した。
曹丕が行った事は、都までの案人を選ぶ。
ただそれだけのはず。
だが、それはまるで神聖な儀式のようであり、それを見た全ての人間の心に、何かを深く刻み込む形になった。
Monsters Evolve Online 〜生存の鍵は進化にあり〜
一風変わったVRゲーム『Monsters Evolve』があった。モンスターを狩るのでもなく、モンスターを使役するのでもなく、モンスターになりきるというコンセプトのゲームである。 妙な人気を得たこのゲームのオンライン対応版がVRMMORPGとして『Monsters Evolve Online』となり、この度発売された。オフライン版にハマっていた吉崎圭吾は迷う事なくオンライン版を購入しプレイを始めるが、オフライン版からオンライン版になった際に多くの仕様変更があり、その代表的なものが初期枠の種族がランダムで決まる事であった。 ランダムで決められた種族は『コケ』であり、どう攻略すればいいのかもわからないままゲームを進めていく。変わり種ゲームの中でも特に変わり種の種族を使って何をしていくのか。 人間のいないこのゲームで色んな動植物の仲間と共に、色んなところで色々実験してやり過ぎつつも色々見つけたり、3つの勢力で競いあったり、共に戦ったりしていくそんなお話。 カクヨムにて、先行公開中! また、Kindleにて自力での全面改稿した電子書籍、第1~6巻を発売中! そしてオフライン版を描くもう1つの物語。 『Relay:Monsters Evolve ~ポンコツ初心者が始める初見プレイ配信録~』も連載中です。 良ければこちらもどうぞ。 https://ncode.syosetu.com/n9375gp/ 無斷転載、無斷翻訳は固く禁じます。
8 84貓《キャット》と呼ばれた男 【書籍化】
マート、貓《キャット》という異名を持つ彼は剣の腕はたいしたことがないものの、貓のような目と、身軽な體軀という冒険者として恵まれた特徴を持っていた。 それを生かして、冒険者として楽しく暮らしていた彼は、冒険者ギルドで入手したステータスカードで前世の記憶とそれに伴う驚愕の事実を知る。 これは人間ではない能力を得た男が様々な騒動に巻き込まれていく話。 2021年8月3日 一迅社さんより刊行されました。 お買い上げいただいた皆様、ありがとうございます。 最寄りの書店で見つからなかった方はアマゾンなど複數のサイトでも販売されておりますので、お手數ですがよろしくお願いします。 貓と呼ばれた男で検索していただければ出てくるかと思います。 書評家になろうチャンネル occchi様が本作の書評動畫を作ってくださっています。 https://youtube.com/watch?v=Nm8RsR2DsBE ありがとうございます。 わー照れちゃいますね。
8 54【書籍化&コミカライズ】私が大聖女ですが、本當に追い出しても後悔しませんか? 姉に全てを奪われたので第二の人生は隣國の王子と幸せになります(原題『追放された聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う~』
☆2022/11/4 スターツ出版様 ベリーズファンタジーより発売予定です☆ 改題「私が大聖女ですが、本當に追い出しても後悔しませんか? 姉に全てを奪われたので第二の人生は隣國の王子と幸せになります」 ☆2022/6/12 白泉社マンガpark様にてコミカライズです☆ 原題「聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う~今の生活が楽しいので、迎えに來られても帰りたくありません!~」でコミカライズ中です。 リアは九歳のとき、十二歳になる姉プリシラについて神殿に行く。そこで、姉妹ともども聖女と認定されてしまう。 この國ではひと家庭で二人以上聖女認定された場合、一人を差し出さなければならない。両親は聡明で美しく魔法を使えるプリシラを手放すのが嫌で、迷わず妹のリアを差し出した。 神殿に召し上げられたリアは聖女候補として厳しい修行を積み、六年後晴れて聖女となる。神殿の聖女の中でも、最も強い神聖力をもつリアは、神託により王太子の婚約者となった。 リアは金髪で美しく優しい王太子に淡い戀心を抱く。しかし、順風満帆に見えた將來に陰りが生じはじめた。 アリエデ王國の最北にある黒の森で魔物が大量発生したのだ。リアはこの國の聖女として討伐隊に參加しなければならない。王都と愛しい王太子に別れを告げ討伐隊とともに旅立った。 そして二年にわたる戦いののち、魔物の封印をなしとげ、王都に凱旋するはずだった。 だが王都に帰ったリアを待ち受けていたのは同僚聖女と戦友のうらぎり。 王太子との婚約もいつの間にか破棄されていて、新たに姉のプリシラが護國聖女の名を冠し、王太子の婚約者におさまっていた。 魔物討伐を長引かせた責をおわされ、役立たずの聖女として國を追放されたリアは、西側の隣國との緩衝地帯である惑い森へ捨てられる。そこにたくさんの魔物が巣食っていて……。 森をさまよううちに彼女は、魔獣に襲われた瀕死の金髪美青年を拾う。 ≪全51話予約投稿済み! 毎日18時ごろ更新予定≫ 流行りの追放聖女テンプレのつもり。聖女は無自覚でざまぁ(予定)します。題そのものがあらすじです。足の不自由な人が出てきます。タグ注意、地雷のある方はお逃げください。 誤字脫字報告ありがとうございます!!
8 95僕と狼姉様の十五夜幻想物語 ー溫泉旅館から始まる少し破廉恥な非日常ー
僕の故郷には、狼の言い伝えがある。 東京から、帰郷したその日は十五夜。 まんまるなお月様が登る夜。銀色の狼様に會った。妖艶な、狼の姉様に。 「ここに人の子が來ることは、久しく無かったのう……かかっ」 彼女は艶やかな銀の髪の先から湯を滴らせ、どこか愉快げに笑っていた。 僕は、幻想物語が大好きだ。でもまさか、そんな僕がその幻想物語の登場人物になるなんて……夢にも思っていなかったんだ。 《他サイト、カクヨムにて重複掲載しています》
8 195俺、自分の能力判らないんですけど、どうしたら良いですか?
異世界へ赴き、"異彩"を用いて任務をこなす"開拓団"を育成する教育機関、"學園"へと入學した|御笠《みかさ》 |琥太郎《こたろう》。しかし彼は、異彩の能力すら分からず劣等生のレッテルを貼られてしまう。 で・す・が!! これ、キーワード見てみ?"戀愛"だぜ? 有りますとも、戀愛。彼女いない歴=年齢の寂しい非リアどもに次ぐ。ついでにそうじゃないリア充どもにも次ぐ。 お・ま・た・せ☆ ハーレム?始発電車でお帰り願ったよ。さぁ! 野郎共!一人につき、一人のヒロインだそ? 一夫多妻?我が辭書にそのような文字は無い! はい、調子乗ってました。すいません。ハードル高すぎでした 昨今のハーレム系に一言物申したい。面白いよ?めっちゃ面白いよ?だけどさ?現実見てみ?やれ、不倫だ、あーだこーだ世間からひっ叩かれるんだぜ?そんな世の中でハーレムはちとハードル高くね? と、言うわけで!書いてやりましょうとも!思わず「こんな戀愛をしてみたい!」と思うような物語を! と、言うわけなので、「ハーレムものは、ちょとお腹いっぱいかな?」って方にオススメなので、暇な時にいかがでしょう? あ、プロローグはほぼ説明文だから後で読んでも変わらんよ。
8 116病弱を演じる妹に婚約者を奪われましたが、大嫌いだったので大助かりです
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『病弱を演じて私から全てを奪う妹よ、全て奪った後で梯子を外してあげます』 メイトランド公爵家の長女キャメロンはずっと不當な扱いを受け続けていた。天性の悪女である妹のブリトニーが病弱を演じて、両親や周りの者を味方につけて、姉キャメロンが受けるはずのモノを全て奪っていた。それはメイトランド公爵家のなかだけでなく、社交界でも同じような狀況だった。生まれて直ぐにキャメロンはオーガスト第一王子と婚約していたが、ブリトニーがオーガスト第一王子を誘惑してキャメロンとの婚約を破棄させようとしたいた。だがキャメロンはその機會を捉えて復讐を斷行した。
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