舊都『ガラシアーノ』

薄暗き夜空に、白みがかる。間もなく太が登場するのだろう。

古城に朝が始まる。

古城。古びた城。都としての機能を失い。

風や雨に曬され、風化して自然に帰るのを待つばかりの城。

そうなる運命を変えたのは、そこを気にった者がいたからだ。

その古城に近づいていく者がいた。１人ではない、複數人。

その中の１人が、他の者の歩みを止めさせる。

「１人で行く。他の者はここで待機。しばらく待て」

男はグルカ・ヌル。

數時間前に曹丕たちと戦闘をしていた集団の司令だ。

彼は、先ほどまで消していた気配を戻し、古城の中へっていく。

まるで、來客としての自分を城に教えるように、コツコツと高い足跡を立て進んでいく。

「お待ちください。グルカ様」

その歩みを止める聲がした。

この城の主『魔王』の従者だ。

従者は、室であるにも関わらず、フード付きのマントを羽織っており、その表までは見えない。

しかし、グルカは知っていた。

マントの中は若い年。名はショウだ。

従者でありながらも的で、喜怒哀楽が出やすい表を隠すためにマントで顔を隠している。

なかなか、変に生真面目で好ましい格の持ち主である。

グルカは、それ知っているために、つい、ちょっかいを出してしまう。

最近では、どうやら嫌われているようだ。

「これはショウ君。私相手にお出迎えかな？ご苦労さま」

そう言ってさらに歩を進めようとするグルカをショウは、慌てるように止める。

「お待ちください。グルカ様」

先ほどと一言違わぬ言葉と必死さに噴出しそうになるグルカであったが、なんとか堪え、涼しい顔を作って見せた。

「はて？どうかしましたかな？」

「いくら、グルカ様とは言え、まだ日も昇りきらぬ朝に無言で來客など、無作法にもほどがあります」

「ほうほう。ではショウくんは、私に門まで戻って、大聲で來客の目的と朝の挨拶をんでいるわけですな？」

「誰も、そこまでは・・・・・・」

「まぁ確かに、急ぎの用で私も昂ぶりを抑えきれてなかったようだ。この時間ならば、我等が『魔王』もベットの中でお休みあろう。しばらく客室で待つことにしよう」

グルカは「ショウくん、ありがとう」と付けたし、客室へ向かおうとする。

だが、そのグルカを止める聲が聞こえた。

「私の睡眠は常に淺い。いつ來てくれても構わんよ。グルカくん」

振り向くとそこに『魔王』がいた。立っていた。

柱にを預け、なにやら、白いがったコップを片手に、こちらを見ていた。

ショウくんは、すぐに片膝を地面につき、『魔王』に従う者として『魔王』を迎えていた。

その景にグルカは心底驚かされる。

自分が気づかなかったということは『魔王』は気配を消していたという事だ。

しかし、一度、その姿を認識してしまうと、その威圧によって目を背けることが許されない。

何気ない立ち姿ですら、絶対的な王をめている。

（なるほど、これは王だ）

そうグルカは、自が雇われた立場である傭兵であるにも関わらず、『魔王』へ忠誠を誓うのであった。