《覇王の息子 異世界を馳せる》関羽の神技
レティアリウスは奴隷として生まれた。
奴隷と一言で言っても、王族として生まれながらも、自ら奴隷になった者もいる。
子供たちをローマに移住させるために、一時的に子供へ奴隷の分を與えた者もいる。
しかし、彼にとって―――レティアリウスにとって、奴隷とは屈辱以外のなにものでもなかった。
人よりも格の優れた彼は、戦うを叩き込まれた。
それは地獄だった。反吐を吐き、痛みに痛みを重ねる日々。
そのおかげで、彼はコロッセオでの連戦を続け、解放奴隷の地位を手にれる事ができたのだ。
それが彼を支えている。自らの自由を勝ち取る事が出來た技。それによって築き上げられた矜持プライド。
だが、今―——
奇怪な東洋人の前に、彼の支えは、大きく揺さぶられている。
関羽は目を細め、表は無表。
手にしたを前後にしごいている。
そして、時折―——
レティアリウスは大きく、後ろに後退する。
を突かれたのだ。撃たれてから、初めて攻撃が行われたとわかる神速の一撃。
何度も、この突きをけている。何度も何度もだ。
今、二本足で立つことができるのは、関羽がレティアリウスの當てを狙っているからに過ぎない。
レティアリウスは想像する。
もしも、が當てではなく、無防備な頭部を狙っていたら……
いや、そもそも、ではなく、鋭利な刃を裝備した矛だったなら……
自分は何度、死んでいただろうか?
不意にが軽くなる。何が起きたのか、視線をかし驚愕した。
軽裝とはいえ鉄で補強されているはずの當てに亀裂がり、割れ落ちたのだった。
最早、何度目かの神技を見せられ、靜まり返った観客たちも、深い息を吐くしか反応が取れない。
だが、レティアリウスの矜持プライドは割れ落ちていない。
心では敗北を認めながらも戦い続ける意志。闘志に火をつける。
は半に構える。片側につけた肩當てがを守るように前に出る。
その腕に持つ網を振り回す。決して大きく振り回さずに、手首のスナップだけを効かせ、素早く回す。
それはまるで、闘牛士のケープ捌き。相手の距離を狂わせる。
網の風圧によって地面の土は舞い上がり、足捌きを隠す。
殘る片手には、三又の矛を構えさせて、ただ突くことだけを仕事とさせる。
これがレティアリウスの必殺の構え。
これで幾人かの剣闘士グラディエイターを葬ってきたことか。
切り札であり、これが破られれば、敗北は必至。
その恐怖に打ち勝ち、レティアリウスは関羽を拘束せんと網を投げた。
高速で関羽へ向かい行く網。
おそらく、この戦いを見ている観客には何が起こったのか分からないだろう。
しかし、レティアリウスは鍛えられた視力によって、その技を見た。
網の縁に仕込まれた複數の重り、それを―——
広がりゆく網の中からそれだけを関羽のは正確に捉えて、打ち返したのだ。
関羽に向けて放ったはずの網は、逆にレティアリウスのを覆うように広がっていく。
気がつくとレティアリウスは自ら放った網がに纏わりつき、く事ができなくなっていた。
関羽は、ゆっくりとをかし、レティアリウスの目前で、を止めさせた。
レティアリウスは敗北は認める。
「參った。……俺の負けだ」
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