《覇王の息子 異世界を馳せる》眠る関羽
「參った。……俺の負けだ」
投網剣闘士レティアリウスの言葉を聞き、関羽は黍を返し、悠々と闘技場コロッセオを後にしようとする。
だが———
(馬鹿な!?)
背を向けて去っていく関羽の姿に、殘されたレティアリウスは驚きの聲を噛み殺す。
確かに勝敗を決めるのは、戦った剣闘士グラディエイター同士が決める事だ。
コロッセオの戦い。真剣を持った戦いでありながら、その死亡率は2割ほどと驚くほど低い。
最も、生き殘ったとして、再起不能の怪我を負った剣闘士が奴隷の分ならば、その後は保障はないが……
だが、敗者への生殺與奪の権利。それを持っているのは勝者ではない。
観客だ。あまりにも無様な戦いを見せた剣闘士に対して、『生か?死か?』の聲援を放ち、その聲の數で敗者の処遇を斷ずる。
これは、何もレティアリウスの時代の話、ローマ帝國の闘技場コロッセオの話ではない。
今現代、コロッセオを再現したこの戦いでも採用されている。
そして観客たちは、呆けたまま『生か?死か?』を問う聲を上げていない。
つまり―——
この戦いは、まだ継続しているのだ。
あまりにも無防備な背中を曬し、関羽が遠ざかっていく。
レティアリウスは手にした三又の矛トライデントに力を込めていた。
手から零れ落ちたはずの勝利が、再び目前に落ちてきている。
投擲すれば、外すはずのない距離。
レティアリウスは、まるで何かにわれるように投擲のフォームを開始す―——否。
レティアリウスのきが止まった。代わりに大量の汗がから溢れ落ちていく。
それは投擲直前に浮かんだ疑。
自分から遠退いて行く相手、彼は本當に無防備なのか?彼は本當に隙だらけなのか?
本當は―——俺をっているから、そう見えるだけなのではないか?
われている。殺せるものなら殺してみろと言われている気がしてくる。
一度、生まれた疑は彼の思考を縛り、彼の行を拘束する。
そして―——
彼は三又の矛トライデントを投擲する。
ただし、投げた先は関羽の背中ではなく、自の足元だった。
関羽は控え室に戻ると、上著を羽織り、すぐに退室。
その足で興行主の元へ向かう。
歯が浮くような賛辭の言葉を聞き流しならが、報酬をけ取る。革袋にれられた金貨の重さを確かめ、素早く闘技場を後にした。
関羽が去った後の闘技場では、彼を稱えようとする剣闘士。士として迎えようとする軍人。お抱えの剣闘士として雇おうとする貴族たち。そういった人々が関羽の姿を探していたが、それは関羽のあずかり知らない事であった。
関羽が向かった先。そこはお世辭にも上等とは言えない建。
小屋と言った方がいいかもしれない。
関羽は鍵を開け、中にる。
中は、酷く狹い。そこに巨の関羽がると、稽にすら見えてくる。
室にあるのはベットのみ……いや、よく見るとベットの橫に何かある。
革袋の山。革袋は膨らんでおり、中がっている。積み上げられた高さは関羽の長に近い。
そこに関羽は、先ほど手にした報酬を無造作に投げれる。
金貨と金貨がぶつかり合う音が狹い室に流れた。
一、どのくらい溜め込んでいるのだろうか?なくとも、この小屋に似つかわしくないほどの大金である。
そのまま、関羽は前に倒れた。先ほどの戦いのダメージが襲ってきたのだ。
関羽に的なダメージはなかった。
しかし、すり減った神経が神的なダメージとして、関羽を疲労を與えた。
1戦、2戦なら問題はない。
しかし―——この日、関羽が行った試合數は5試合。5連戦である。
年に4度でも戦えば多い方にる闘技場の戦いで5試合。
つまりは、剣闘士が稼ぐ年間の収以上の金を稼いだ事になる。
革袋越しに伝わってくる金屬のヒヤリとした涼しさが、戦いで昂ぶった関羽のを鎮めてくれる。
その心地よさに関羽は眠りについた。
そして、夢を見る。
この街に辿りついたばかりの頃の夢。
―——遡るは半年前―——
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