《僕は彼に脅迫されて……る?》第4話 彼氏彼の関係
「って!ちょっと待って!麗華さん!」
僕らの教室、E組にる直前に彼は、僕と太郎と前園さんにしか聞こえない程度の聲量で付き合ってる宣言を言った。
僕かと言えば、彼にしか聞こえないように、いきなり付き合ってる宣言をした彼に僕はつっこんだ。
いや、付き合ってるんだけど!付き合ってるんだけども!
「はぁ!?付き合ってる!?」
そして、太郎の悲鳴とも、雄びとも思える聲が飛ぶ。その聲音には悲壯が混じっていた。
彼の衝撃発言に驚いたのか、太郎のその聲は朝から応援団にも勝てそうな程の聲量だった。
「ちょっと!近くでそんなに大きな聲出さないでよ!」
そして、前園さんの右ストレートと思われる正拳が、太郎の腹めがけて炸裂する。
わーお。ボコべっていう鈍い音が聞こえたぞー。
それと、太郎のせいで近々始まるであろう応援歌練習なんていうイベントを思い出しちゃったじゃないか。あー嫌だな応援歌練習。
「痛てぇ!ばっ、咲月お前……!毆ることはねぇだろ?!俺じゃなかったら骨いってんぞ!?」
太郎、そうは言ってるけど、あの音は骨も言ってたよね?
「うるさいわね!怪我したら私が晝夜問わず面倒みるからいいでしょ!?」
「そうじゃあねーだろ!?いいか?まずは……」
前園さんと太郎が何故か始めた口論を宥めようとした僕だけど、これに生半可な気持ちで參戦したらただじゃ済まないと思い、躊躇する。
ってその前に……
「ちょっと來て!」
前園さんと太郎の口論をオロオロした様子で見ている彼の腕を摑み、この場を離する。
彼には、聞きたいことがあるからだ。
そして、太郎と前園さんを置いて、彼を僕は連れ出した。
☆
彼を連れ出した場所。それは、例の育館の裏だ。朝練をやっていたであろう部活の人達が居なくなるとほんとに人の気配というものがないね。
「いきなり何するのよ。痛嬉しかったじゃない!」
「あ、ごめ……ん?」
僕が摑んていた腕を、どこかおしそうに見つめる彼。まさか、嬉しいと言われるとは思ってなかった僕は、耳を疑う。
彼は腕を見つめながらも、その顔は思案していた。
「なんで私をここに連れて……はっ!この変態!」
「ちょっと待って!君が何を考えたのかは分からないけど違うから!君の考えてるのと違うから!」
「こんな人気の無い場所に連れ込んで……私を犯す気でしょ!?この変態!」
「だから違うって!」
「はっ!まさか、朝の続き?この発期!」
「それも違う!ていうか、朝の続きってなに!?」
もしかして、若妻とかの続きじゃないですよね!?
「嫌がる私を無理矢理……それは、それで……さぁ…!來て!」
「なんでけれ態勢とってるの!?」
彼は、両手を広げて僕を迎えいれようとしている。気のせいか、さっきまで保たれていた一定の距離がまってる。
「普通に考えれば當たり前のことじゃない。彼氏である太くんが、彼である私を求めることは!」
「ちょ、ちょっと待って!待って!ストップ!止まって!その事で、いや、その関連で話があるんだ!」
僕の言葉がやっと彼に屆いたのか、やっと彼はその歩を止めた。
「関連……?はっ!プレイの容!?この変態!」
「プレイとか言わない!そっちの話じゃなくて彼氏彼の方の話!」
「え?私たちが付き合っていて週8で一緒にお風呂にってる方の話?」
「いろいろツッコミたいところが多いけど、そう!その話!」
あー。まだ會ってから一週間も経ってないのと、週8って言うのと、一緒にお風呂にってるについてツッコミたい!
「で、何を話したいの?」
やっと、気分が落ち著いたのか、彼は凜とした顔で聞いてくる。早めの段階でその表を作ってもらいたいものだ。
「うん。僕と麗華さんは付き合ってるんだよね?」
「ええ。そうよ?え?なに?もしかして、別れたいの?殺すわよ」
「違くて!そうじゃなくて!って怖い!目が怖い!」
彼の目は鋭く、その目つきだけで人を殺せそうなレベルだった。
「ほっ……んん。え?じゃあなんなの?」
「ほら、僕らは付き合ってるけどさ、僕らの本來の関係は主人と下僕の関係でしょ?」
「?……!あぁそうよ!その通りよ!あなたは彼氏と言う名の下僕なんだから!」
一瞬なんのこと?
みたいな顔を彼はした気がするけど、気のせいか。
「そう。それでさ本來の関係がそれである僕らのことを付き合ってるって言っていいの?とか思ってさ」
表面上は付き合っているとはいえ、本來の関係が主人と下僕の僕らの関係を、そう他人に言っちゃっていいのかな?と僕は思った。
まぁ、僕は彼の下僕だから助言的なことしか言えないから、こういう風にしか言えないのだけれど。
こんな僕の問いに対して、
「別にいいじゃない?付き合ってるのは事実なんだし」
と、彼は言った。
「麗華さんがいいのならいいけど」
まぁ、彼がいいと言うのならいいのかも。
マイマスターには従わないとね。
「太くんは、その、私と付き合ってるていうのが嫌なの?」
彼はこう聞いてきた。
嫌か、どうか……か。
正直な気持ちは嫌じゃない。
僕だって高校生になったばかりだけど、一介の高校生だ。それなりに、リアリア充充したい。
まぁ、真実があれで、リア充かは分からないけど。
「僕は嫌じゃないよ」
だから、正直な気持ちを答えた。
「そ……。じゃあ……しゃんとしてよね?か、彼氏なんだから」
そう言った彼の顔は、朱に染まり、どこか照れているみたいだった。
☆
「で、付き合ってるとはどういうことだ。太?」
教室にはいり、カバンを席に置いて、いろいろやっている僕の機に、僕が教室にる頃には口論が終わっていたみたいで先にっていた太郎がすごい剣幕で聞いてくる。怖いな〜。
それと、どうでもいいことかもしれないけど、彼が教室にった瞬間、わっと教室がざわめき出すのが分かった。あれは、すごかったよ。アニメとかで見るが教室にっただけで、クラスの男子がざわめき出すのをリアルで見れるなんて思っても無かったからね。
それと、僕がった時にはクラスの男子ほぼ全員から殺気を送られたよ。まさか、験できるなんて思っても無かったから、ビックリしたよ。……100人…いや、…友達10人できるかな……。
付き合ってるという報はまだ出回ってないだろうし、たぶん朝の手を繋いだことなんだろうな~。
「えっとね、その」
まさか事実を言うわけにもいかず、僕がいい淀んでいると、彼が近くにやってきて代わりに答えてくれる。
「言葉の通りよ辰巳くん」
「華麗ちゃん……」
すごいよ太郎。
まさか、朝の今でもう彼のことを下の名前で呼ぶなんて。
これが、コミュ力の高い訣なんだね。
「私と太くんは彼氏、彼という関係で付き合っているわ」
気のせいか、彼は、彼氏彼というフレーズだけ強く言った気がした。
まぁ、主人と下僕の関係なんて言えないもんね。
「殘念だったね太郎。華麗もう付き合ってて」
そこに、前園さんもやって來た。
「告白する前に振られるなんて殘念ね!あとで愚癡は聞いてあげるわよ!」
落ち込んでいる太郎を追撃するように、前園さんは太郎をうすら笑いでおちょくる。
やめてあげて!太郎のHPはもう0だ!
「ほら、もうあんたの狙ってた華麗は柳瀬くんと付き合ってるんだし」
そして、チラチラと太郎の顔を伺いながら、前園さんは言葉を重ねる。
太郎が狙ってたと言うのを本人がいるのに言っちゃう前園さんは々な意味で怖いなと思いつつ、アピールしている前園さんは可いなと思ってしまう。
「そうだな。他の子探さないとな~」
けれど、太郎には前園さんのアピールは伝わらなかったみたいだ。
太郎のバカ!
「で、どっちから告ったんだ?」
「あーそれはね」 
なんて言おうかな?と思っていると代わりに彼が答えてくれた。
「私からよ」
「え?華麗ちゃんから!?」
「そうよ」
「まじかよ~いいなー太」
羨の眼差しで見てくる太郎。
うん。あれは、いいものじゃないよ?太郎。
とんでもなく、すごいことになるから。
弱みを握る握られるってね。
「ち、ちなみなんだけどさ華麗。告白の容とか教えてくれない?」
「ええ。いいわよ」
前園さんの希に答えて、彼は告白の容を教えている。事実は言わないよね?自分のを相手に見せて、その時の瞬間を記憶メディアに殘しといて脅すなんて。
前園さんにしか、聞こえないように喋っている彼を見ながら、僕はヒヤヒヤしていた。
☆
授業のない學校が終わり放課後。
僕たち4人は太郎が立案した親睦會をするべく、一路ファミレスへと來ていた。
まさか、學校帰りにファミレスに寄るなんていうイベントを、高校生になって二日目で葉えられるとは思わなかったよ。中學のときの僕じゃ考えられないね。
「それにしてもすごかったね。華麗」
「なんのこと?」
彼、麗華さんの対面上に座る前園さんがメニュー表を開きながら言う。
皆にも見えるようにするあたり、前園さんは気が気いて素敵だなーと思う。
こんな子に好意を寄せられている太郎に若干のイラだちをじちゃう。
「ん?どうした?太。俺のことをそんなにみつめ……いや、睨んで。怖いぞ?」
「気にしないで。僕は眼で視力が2.0しかないんだ」
「めちゃくちゃいいじゃねーか!」
どうやら、顔に出ちゃってたらしい。
いけない。いけない。
笑顔じゃないと。せっかくの友だちを無くしちゃうところだよ。
「笑顔が怖いんだが」
まったく、笑顔を怖いとか言うなんて失禮しちゃうな太郎には。
ちなみにだけど、僕の目の前に太郎、その隣に前園さん。そして、僕の隣に麗華さんと言うのが席順だ。
「ほら、対面式での1年生代表挨拶」
「そう?べつに、すごくないと思うのだけど。ただ紙に書いてある文書を読んだだけだし」
「えーと、そうじゃなくてね」
「?」
二人の會話を太郎に嫉妬しながら聞いていた僕は、麗華さんが前園さんの聞いた言葉の意味を理解してないと分かった。
「麗華さん違うよ。前園さんが言いたいのは、麗華さんが挨拶を凜として述べて、その容姿と、聲で上級生の男子を見とれさせてたってこと」
彼の対面式での挨拶は、學式の時と同じく素晴らしかった。張り詰めた若干の張の中に響く、彼の凜とした聲は、聞いていた全員の気持ちを心地よいものにしたと思う。僕も聞き惚れちゃったし。
「だよね?」
確認のため、前園さんに確認を取る。
前園さんが言いたいことがこれじゃなかったら恥ずかしくて明日學校に行けなくなっちゃうよ。
「うん!そうそう!ほんとに凄っかたよ!華麗は!何人もの男子の先輩たちが華麗に惚れてるの傍から見てて分かったんだから!」
「そ、そうからしら?」
彼は、前園さんが言ったあと、若干頬を染めて照れ笑いをする。その仕草もまた彼の魅力を引き立てるのか、太郎がぼーと彼を見つめていた。
その、ぼーと見ている太郎を前園さんがジト目で見ているのも僕には分かる。
「太くんはどうだったかしら?」
「どうって?」
「その……私の挨拶の姿とか……」
彼にしては、珍しく、珍しく?
もじもじしながら聞いてくる。
そんな仕草もまた彼の……以下略。
「うん。とてもよかったよ。凜としてたし、それに綺麗だったよ」
彼の挨拶は、品があるというか、聲が凜としているのも関係しているのかは分からないけど、こう、なんて言うのかな?とても綺麗だと思うし、カッコイイ。
挨拶一つで育ちの良さが分かるってものだ。
「き、綺麗……」
何故か彼は、僕の言った言葉を繰り返し、両手を頬に添える。
ん~何か変なことを僕は言っちゃったのかな?
素直な想を言っただけなんだけど。
「まったく~華麗ったらデレデレしちゃってー!可いんだから!」
「で、デレデレなんて、そんな」
「柳瀬くんに綺麗って言われてそんなに嬉しかったの?このこの~!」
「や、やめてよ咲月」
つつき合ってるの子同士の景はいいものだね。
こう、なんて言うのかな?心が落ち著くよね。
「ていうか昨日から付き合ってるんだよね??なのに、こんなになるなんて、どれだけ柳瀬くんのこと好きなのよ~!」
「も、もう!やめてったら!」
の子同士の絡みを微笑ましく見つつ、この瞬間を、この時間を僕は楽しんだ。
麗華さんもこう見てると普通のの子なんだけどなーという想を持ちつつ、僕たちは夕飯時までファミレスで親睦を深めた。
ちなみに、會計時に、太郎がカッコつけて全員分の料金を出そうとしたけど、結局足りなくて皆で普通に割り勘にしたのはここだけの話。
6/15発売【書籍化】番外編2本完結「わたしと隣の和菓子さま」(舊「和菓子さま 剣士さま」)
「わたしと隣の和菓子さま」は、アルファポリスさま主催、第三回青春小説大賞の読者賞受賞作品「和菓子さま 剣士さま」を改題した作品です。 2022年6月15日(偶然にも6/16の「和菓子の日」の前日)に、KADOKAWA富士見L文庫さまより刊行されました。書籍版は、戀愛風味を足して大幅に加筆修正を行いました。 書籍発行記念で番外編を2本掲載します。 1本目「青い柿、青い心」(3話完結) 2本目「嵐を呼ぶ水無月」(全7話完結) ♢♢♢ 高三でようやく青春することができた慶子さんと和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。 物語は三月から始まり、ひと月ごとの読み切りで進んで行きます。 和菓子に魅せられた女の子の目を通して、季節の和菓子(上生菓子)も出てきます。 また、剣道部での様子や、そこでの仲間とのあれこれも展開していきます。 番外編の主人公は、慶子とその周りの人たちです。 ※2021年4月 「前に進む、鈴木學君の三月」(鈴木學) ※2021年5月 「ハザクラ、ハザクラ、桜餅」(柏木伸二郎 慶子父) ※2021年5月 「餡子嫌いの若鮎」(田中那美 學の実母) ※2021年6月 「青い柿 青い心」(呉田充 學と因縁のある剣道部の先輩) ※2021年6月「嵐を呼ぶ水無月」(慶子の大學生編& 學のミニミニ京都レポート)
8 193反逆者として王國で処刑された隠れ最強騎士〜心優しき悪役皇女様のために蘇り、人生難易度ベリーハードな帝國ルートで覇道を歩む彼女を幸せにする!〜【書籍化&コミカライズ決定!】
【書籍化&コミカライズ決定!】 引き続きよろしくお願い致します! 発売時期、出版社様、レーベル、イラストレーター様に関しては情報解禁されるまで暫くお待ちください。 「アルディア=グレーツ、反逆罪を認める……ということで良いのだな?」 選択肢なんてものは最初からなかった……。 王國に盡くしてきた騎士の一人、アルディア=グレーツは敵國と通じていたという罪をかけられ、処刑されてしまう。 彼が最後に頭に思い浮かべたのは敵國の優しき皇女の姿であった。 『──私は貴方のことが欲しい』 かつて投げかけられた、あの言葉。 それは敵同士という相容れぬ関係性が邪魔をして、成就することのなかった彼女の願いだった。 ヴァルカン帝國の皇女、 ヴァルトルーネ=フォン=フェルシュドルフ。 生まれ変わったら、また皇女様に會いたい。 そして、もしまた出會えることが出來たら……今度はきっと──あの人の味方であり続けたい。王國のために盡くした一人の騎士はそう力強く願いながら、斷頭臺の上で空を見上げた。 死の間際に唱えた淡く、非現実的な願い。 葉うはずもない願いを唱えた彼は、苦しみながらその生涯に幕を下ろす。 ……はずだった。 しかし、その強い願いはアルディアの消えかけた未來を再び照らす──。 彼の波亂に満ちた人生が再び動き出した。 【2022.4.22-24】 ハイファンタジー日間ランキング1位を獲得致しました。 (日間総合も4日にランクイン!) 総合50000pt達成。 ブックマーク10000達成。 本當にありがとうございます! このまま頑張って參りますので、今後ともよろしくお願い致します。 【ハイファンタジー】 日間1位 週間2位 月間4位 四半期10位 年間64位 【総合】 日間4位 週間6位 月間15位 四半期38位 【4,500,000pv達成!】 【500,000ua達成!】 ※短時間で読みやすいように1話ごとは短め(1000字〜2000字程度)で作っております。ご了承願います。
8 149Skill・Chain Online 《スキル・チェイン オンライン》
Skill Chain Online(スキルチェイン・オンライン)『世界初のVRMMORPG遂に登場』 2123年、FD(フルダイブ)を可能にするVRギアが開発されてからニ年。 物語の様な世界に期待し、いつか來ると思い続けてきた日本のゲーマー達は、そのニュースを見た瞬間に震撼した。 主人公・テルもその一人だった。 さらにそこから、ゲリラで開催された僅か千人であるβテストの募集を、瞬殺されながらもなんとかその資格を勝ち取ったテルは、早速テスターとしてゲームに參加し、すぐにその魅力にはまってしまう。 體験したSCOの世界はあまりにも、今までの『殘念ソフト』と言われていたVRゲームと比べて、全てにおいて一線を害していたのだ。 來る日も來る日もβテスターとしてSCOの世界にログインする。 SCOの正式オープンを向かえていよいよゲームが始まるその日。SCO専用の付屬部品を頭のVRギアに取り付けて仮想世界へとログインした。 ログインしてすぐ、始まりの街で言い渡されるデスゲーム開始の合図。 SCOを購入する際についてきた付屬部品は解除不可能の小型爆弾だったのだ。 『ルールは簡単! このゲームをクリアすること!』 初回販売を手に入れた、主人公を含む約千人のβテスターと約九千人の非βテスター約一萬人のゲーマー達は、その日、デスゲームに囚われたのだった。
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