ゆったりとした時間を過ごした僕たちが公園を出るころには、辺りはもうすっかり夕暮れに染まっていた。

肩に頭を乗せられてドキドキとしていた僕は、もうこんなに時間が経っているとは思わなかった。

どれだけ張してたんだろ。

「じゃあ夕ご飯を食べて、ラブホテルにいきましょ太くん」

「うん。ごはん食べて帰ろっか。どこで食べる？」

ナチュラルにホテルとか言わないで麗華さん。

「もう…つれないわね。順番はおかしくないでしょ？」

「順番はおかしくないけどさ。初デートでそれはどうなのかな？」

付き合うなんて麗華さんが初めてだから分からないことが多いんだけど、いきなりその……ホテルはないんじゃないかな？

それとね、人通りが多いせいか、麗華さんの発言で何人かがこっちを見てるんだよね。

早くこの場から立ち去りたい！

「初デートも初めても処も変わりないわよ！行きましょう太くん！ラブホテルに！！」

「々おかしいから！麗華さんの発言いろいろおかしいから！」

だめだ！とりあえずこの場から立ち去らないと！じゃないといろいろまずい気がする！社會的に！

「と、とにかく夕ご飯を食べに行かない？」

話題を変えて、なんとか麗華さんを落ち著かせようとする。

功したのか、麗華さんは首を小さくコクンと縦に振ると

「そうね。男の子は腹が減ってはセ○クスができない！お腹が減ってるの子には子を飲ませろって言うくらいだものね！」

とんでもない事を言い出した。

「それは麗華さんしか言わないよ！もう、ちょっと來て！」

たまらなくなった僕は、麗華さんの腕を摑んで人通りの多いところからない路地裏へと連れ込んだ。

走ってる最中麗華さんが、「いきなり強引になるのもこれはこれで」とか言ってる気がしたけど気にしない。

まぁ、なんとかこれで、他人に麗華さんのあれな発言を聞かれることはなくなった。

「こんな人通りのない路地裏に連れ込んで何をする気？太くん。はっ…！この変態！人にばれるかばれないかの瀬戸際でセ○クスをしたいって言うの！？」

「違うよ！僕はただ麗華さんのあれな発言を」

「それはそれで興するわね！初めてはロマンチックにって思っていたけど、これはこれで二人だけの特別な思い出になるからいいわね！さあ！太くん！今なら誰もいないわよ！私のしょ」

「し落ち著いて麗華さん！」

興狀態の麗華さんの口を止めるため、僕は彼の口を手でふさいだ。

ペロペロと舐められている気もするけれど、なんとか興は治まったみたいだ。

「落ち著いた麗華さん？」

「（コクコクペロペロ）」

「ふぅ。じゃ手を離すよ。ごめんね急に」

麗華さんの発言のせいで急に手で塞ぐことになったとはいえ、の子の口を急に塞ぐなんて普通ならやっちゃダメだと思うし、やらないと思う。ここは、素直に謝まっていたほうがいい。

そして、僕はゆっくりと彼の口から手を離す。

なぜか、手がべったりとなっていた。

「ぺろ。ん…強引なんだから」

なんだろう。いまの麗華さんからは、何故か妙なっぽさをじるんだけど。

なんか、変なスイッチを押しちゃったのかな？僕は。

「その、時間も無くなるしごはん食べようよ」

刺激しないように、僕は言葉を選んで麗華さんをごはんにう。

「ごはん……じゃあ…その…召し上がれ」

麗華さんはそう言うと、服をはだけさせながら…！！

「待って！待つんだ麗華さん！」

「？」

「僕が言ってるのは食べの方のごはん！」

「？私のことでしょ？」

「なんでそうなるの！」

おかしい！なんか狀況が…というか麗華さんの脳がどんどんアレなほうに向かってるんだけど！

「ふふ。冗談よ。じゃ、夕ご飯食べに行きましょ。行きたいところがあるの」

「冗談にしては悪すぎるよ」

なんとか正常になった麗華さんと一緒に、彼が行きたいというお店に二人で向かうことに。

もう、麗華さんの本気と冗談の區別がつかないんだけどどうすればいいかな？

☆

二人で數分歩いた後、たどり著いたのは、オシャレな看板が立てかけられている喫茶だった。

店の前の歩道ではメイド服を著た何人かの呼び込みの娘がお客をっている。

「メイド喫茶？ここに來たかったの？」

「違うわ太くん。ここはコスプレ喫茶よ」

コスプレ喫茶？最近はこんなのもあるんだ。

なんで麗華さんはここに來たかったんだろう。

「どうしてここに來たかったの？」

の子より男の僕たちの方が來たがると思うんだけど。

あれかな。可い服を著てみたいからとかそんなじかな？

なんだ麗華さんも普通に可いところがあるじゃないか。

「太くんはどんなコスプレが好みなのかと思って。プレイの參考にね！」

「そんな笑顔で言われる僕はなんて返したらいいの？」

全然普通じゃなかったよ。麗華さんは麗華さんだったよ。

「とりあえずりましょうか」

「う、うん。そうだね」

……なんだろう。

僕だって男だ。こういった店に興味が無いわけじゃないからってみたいって気持ちがさっきまであったんだけど、不思議だよね。麗華さんの一言のせいでる気が失せちゃってるよ。

☆

「お帰りなさいあなた！ごはんにします？お風呂にします？それとも…」

店にると、エプロンを著たの子が案をしにやってきた。

ここで重要なのは、麗華さんと違っての上にエプロンじゃなく、ちゃんとした服の上にエプロンを裝著しているということだ。

こんなところに來たこと無いから分からないけど、ここの仕様なのか、コスプレ喫茶ならではなのか、普通の接客じゃなく、著ている服つまりコスプレしている格好によって接客をしているみたいだ。

僕らの前に來てくれたの子は新妻のコスプレなのか、（新妻はコスプレにはいるのか？）前に麗華さんもやった新妻の出迎え方で接客をしてくれる。他にったお客さんに対してはナースのコスプレをしたの子がお注打ちますかなんて言って接客をしている。

こういうじ僕は好きだな。なんだか楽しくなるしね。今度太郎でもってこようかな。

はまりすぎて太郎と一緒に破産する未來が見えるけど。

さて。なんて答えようか。

ここは普通にごはんでって言った方がいいんだろうけど、おふざけでお風呂とか貴でって言ってもいいんじゃないかな。でもまあ勇気がないから言えないけどね。

「えーとじゃあ、ごはんに」

「ちょっといい？」

僕がの子に答えようとしたら麗華さんが凄い剣幕での子の前に立った。

こんな顔をした麗華さんを見るのは初めてかもしれない。

「私の前で太くんをするなんていい度ね」

「あっ、えーと」

「麗華さん？」

一瞬、不倫相手か何かの演技でもしているのかと思ったけど違う。

の子もこれがまじなやつだと思ったらしく、接客を忘れ固まっている。

「見てなさい！あなたのより私ので墮ちる太くんを！」

勢いよくコートをぎ、上著に手をかける麗華さん。

ってちょっとまったあああ！！！

「なにをしようとしてるの！？麗華さん！」

「なにって、決まってるじゃない！新妻をやるのよ！」

「いやいや意味が分からないよ！」

「こんな子に負けていられないわ！私が一番新妻で太くんをできるってことを証明するのよ！！」

え？どういうことだ？いきなりの展開すぎて分からないんだけど、麗華さんは目の前のの子に負けたくないから新妻をやろうとしていて…ああ！とにかく今は麗華さんを止めないと！このままじゃ公然の前で全てをさらけ出した麗華さんが！！

「いいよ麗華さん！新妻なんかしなくて！」

「でも！」

「麗華さんが一番新妻で出來るのは僕が知ってるから！」

ああ。僕は何を言ってるんだ…。これじゃあ麗華さんの新妻姿を見たってことを言ってるようなものじゃないか。いや、実際見たんだけどね。

「新妻ごっこで…！？」

「ああ誤解です！誤解ですから！」

目の前のの子がすごい勢いで引いてるのが分かる。

違うんですよ。誤解なんですよ。これはあれなんですよ。見たのは事実なんですけど。

僕は心の中での子に誤解を解くために必死に弁明していた。

☆

「もうやめてね？麗華さん。みんなの前でいきなり服をごうとするのは」

々言葉を重ねて多の誤解を解いた僕たちは、なんとか店の中に通されて席に著けた。

席について早々したのは説教だ。僕が麗華さんに対して軽く説教をするなんて初めてかもしれない。

「だってぇ」

「だってでもないよ。ほかの誰かも分からない人にを、しかも無償で見せちゃうんだよ？もっと自分のが価値のあるものだと分かってよ」

麗華さんのはとても価値があるものだと思う。麗華さんに限らずの子のは価値があると思うけど、麗華さんのは格別だと思う。そんなを無償で見せるなんてもったいない。

そんなを無償で何かいか見ている僕は世界一幸運だと思う。…を見るたびに何かしらの危険はあるけど。

「それに…僕以外には見られたくないかな」

恥ずかしさが勝って最後の方は聲が小さくなった。

下僕という名の彼氏が何言ってんだって話になるけど。

「うん…！これからも太くん以外には絶対に見せない」

「そうしてもらえると助かるし、嬉しいかな」

「じゃあさっそく今晩は私のじっくり見てね！」

「うんって、え？」

「遠まわしにセ○クスしようっていういなんでしょ？今のは」

「違う！違うよ！」

なんだろう。噛み合ってるようで噛み合って無いね。僕と麗華さん。

☆

「いろんな種類があるんだね」

渡されたメニュー表を見ると、丼ものから麺系、定食にフレンチとたくさんの種類があった。

食べの種類も富なんだけど、僕が気になったのはコスプレという項目だ。

説明書きが書かれてあって読んでみると、どうやらこれは好きなコスプレをしているの子を選べるみたいで、そのの子が料理を運んでくれるみたいだ。別料金を払えばそのまま接客してくれると書いてある。

うん…できれば接客してもらいたい気持ちもあるけれど、これは今度太郎と來た時に頼もう。

これはもう破産の未來だね。ついでに前園さんに太郎がこういう店に來てたよっていうことを教えないとね。

「そうみたい。んとこれは」

「どうしたの？」

メニュー表を見ていた麗華さんの視線がある一點で止まった。

麗華さんの視線を追って僕もメニュー表を覗いてみると、コスプレ験と書かれてあった。

「やろうかしら？」

「え……やるの？」

なんだろう。すごく嫌な予しかしないんだけど。

コスプレ験で著れる服裝はいろいろあって、スタイルのいい麗華さんが著ればどれも映えるんだろうけど、めちゃくちゃ見たい気持ちもあるんだけど、僕の中の何かが著ないで！とんでる。

「辭めといた方がいいんじゃないかな？」

「それもあれなの？他の人に見せたくないから？」

「う、うん。そうだよ」

と違ってコスプレなら逆に見せびらかしてもいいと思うんだけど、コスプレした麗華さんが何かをやらかすよりは、ここで話を合わせておいた方がいい。

コスプレして暴走した麗華さんを止める自信なんてないからね。

「そっか。殘念。々著たかったんだけどな～可い服もたくさんあるし」

僕に向けた言葉ではなく、麗華さんは獨り言と思われる言葉を呟く。

何を考えてるんだ僕は！彼が著たいって言っているのにそれを止めるなんて！

麗華さんはただ純粋に可い服を著てみたいだけなのに！

麗華さんの言葉を聞いて反省した僕は、麗華さんにコスプレ験してみようと提案…

「それにどれが太くんの好みかも分かるし、うまくすればそのままラブホ」

「さあ！麗華さん！何を食べる！？」

うん。やっぱり提案は辭めといたほうがいいね。

「え？そうね。このカップル専用オムライスがいいかしら？」

麗華さんに言われてメニュー表を見てみると、確かにカップル専用オムライスと書かれたメニューがあった。

二人で食べるもののようだし、これを頼もう。値段も二人分にしては安いし。

「じゃあこれにしよっか」

「太くんがコスプレのの子選んでいいよ」

「え、じゃあ…うん」

なんかの子にの子を選んでいいよって言われると、罪悪と恥ずかしさがすごいね。

気恥ずかしい中、僕はメイド服のの子を選んだ。

「他意はないからね？スタンダードに無難なのを選んだだけだから！」

「ふふ。分かってる。えーとメイド服…メイド服あった…ぽちっと」

スマホをいじって何かつぶやいてるけどなんなのかな？

あれだからね？僕は決してメイドコスが好きなわけじゃないからね？無難なのを選んだだけだから！