《僕は彼に脅迫されて……る?》第14話 そうだ、カラオケに行こう!

ゴールデンウィークも最終日。

最初こそ出かけはしていたものの、大半は特に何もすることが無く、家で過ごすことが多いゴールデンウィークだった。

まぁ、部屋で過ごしていた方がなぜか疲れ合が半端じゃないんだけどね。

麗華さんと橘さんが四六時中一緒にいるのは、嬉しい部分3割、(そりゃ僕だって男だ。こんな2人が四六時中一緒に居るのは嬉しいに決まっている)とにかく疲れるが8割と、すでに割合がおかしいことに気づけてないくらい疲れた。

だからと言ってなのか、この鬱憤を晴らすべく、今日はカラオケに來ている。

室空間を選んでしまった數時間前の僕を今、全力で恨んでいるところさ!

「太くん。お金がないからってこんなホテルではなく、カラオケなんていう室空間に連れ込むなんて意外と大膽ね」

「違うよ?麗華さん。今日僕たちは普通に、そう!普通に!歌いに來たんだからね?」

「ねぇ!ご主人様!カラオケって料理も食べられるのね!防犯カメラもないみたいだし、にょたもる?」

「んー。どう考えたらにょたもるっていう発想になるか分からないけど、料理は頼めるよ」

始まってそうそう、いや、部屋にってそうそうこの有様だ。僕は生きて帰れるのだろうか。

なぜ、フリータイムにしてしまったのだろうか?

いや、確かに途中退出してしまえばいいのかも知らない。けれど、學生である僕は、お金がないのもあるし、庶民だからせっかくなら最後まで居たいという気持ちもあるから帰ろうにも帰れない。

こんな時にケチケチ神が働いてしまう。

「というか橘さん、カラオケ來たことないの?」

「だって私、友達居ないし、一人で來る気にもなれなかっし」

やばい。また僕は地雷を踏んでしまっていたようだ。

僕のバカ!

「んん。麗華さんはある?」

「私もないわ。家にあったし、わざわざ行く必要がないから」

こっちはこっちで住んでる世界が違いすぎて、すごい。家にカラオケがあるなんて。最近は家向けのもあるなんて聞くけど、麗華さんの場合は、部屋ごとなんだろうな。

「でも、カラオケって意外といいところなのね。防音だし、外からじゃ中の様子があまり分からないし、それにソファもフカフカだし。最近のカップルがカラオケボックスでセック」

「麗華さん!それ以上は言わないで!」

「……!まさかご主人様……。今日私たちをカラオケボックスにったのってそれが狙いで……?……だめよ。私。ご主人様の命令は絶対なのだから。拒否権なんてないんだから。ご主人様のしたい場所、したいプレイを私は命令のままにやればいいのよ!」

「違うから!さっきも言ったけど、普通に歌いに來ただけだから!だからそんなに僕を怯えた表で見ないで!」

どうしてカラオケボックスにっただけで疲れるんだ!

というか、歌を歌うどころか、また選曲すら出來てないなんて!

ちょっと飛ばしすぎだよ!麗華さん!橘さん!

「太くんは、カラオケには來たことがあるの?」

「あーえーと、僕は一応來たことがあるんだけど、家族でしかないね」

悲しいかな。僕も友達と來たことはまだ一度もない。

まさか、初めての家族以外のカラオケがこんな2人となんて考えもしなかったよ。

「じゃあ初めて、なのね!」

「え?う、うん。まぁ、そうなるかな?」

なんか麗華さんが初めてなんて言うとニュアンスが違うせいか、変なことを想像してしまう。

しょうがないじゃないか!僕だって男の子なんだから!

「と、とにかく歌おうよ。せっかく來たんだしさ」

って數十分。

ようやく僕はこのワードを言えた気がするよ。

世の他の高校生はこんな思いをしてまでカラオケに來てるのかな?

普通に尊敬するんだけど。

「じゃあ、太くん!どうぞ!」

「え、僕から?」

「私もご主人様の歌聲聞きたい」

……どうしよう。

歌う気ではあったんだけど、まさかトップバッターを務めることになるなんて思ってもなかったよ。

場があんまり盛り上がってない時に歌うのってやなんだよね。

家族でしか來たことがないからかもしれないんだけど。

「じゃあ僭越ながらトップバッターを努めさせてもらうよ」

僕はそう言うと曲を選ぶために、選曲機と呼べばいいのか、タブレットがし大きくなった版の選曲機を取る。

最近のはタッチ作がしやすいんだね。

僕が來た時はタッチがあまり反応しなかったから、なんかだよ。

僕が何にしようか迷っていると、橫でそれを見守っていた麗華さんがずいっと畫面を覗き込んでた。

「デュエットって、二人で歌うやつのこの?」

「そうだと思うよ。歌ったことがないから分からないけど」

「じゃあ、これにしましょう!太くん!私と一緒に!」

「ちょっと待ちなさい!麗華華麗!そうと言うのなら最初は私とご主人様にしなさい!」

「あら、奴隷ごときが主に逆らう気なの?」

「私のご主人様は太さまだけよ……!」

バチバチと視線をぶつけ合い、火花を散らすふたり。

まさかこんな事でケンカになるとは。

本當に世の高校生たちはどうやってカラオケを満喫してるんだろう?

部屋にってからさぁ歌おうかとなるまで數十分。

よし、歌うぞとなったはいいもののケンカ発。

こんなことを毎回他の高校生はやってるの?

最近の高校生って凄かったんだね。

だって3人じゃなくてもっとたくさんで行く時もあるんでしょ?すごい。凄すぎるよ。

まぁ、そんな事より、今はこの2人をどうにかしないと!

「落ち著いて!麗華さん!橘さん!」

「落ち著いて居られないわ太くん。すごく大事なことよ。これは」

「そうよ。ご主人様。これは譲れないわ」

どうして2人はこんなにもいがみ合っているのだろう?

カラオケって楽しくワイワイするところだよね?

「どっちとも歌うから!それでいいでしょ?」

僕がそう言うと、互いに睨み合っていた2人が僕に振り向き

「「どっちが最初?」」

と聞いてきた。

「えーと、それは……」

2人の迫力に負ける僕。

正直どっちからでもいいんだけれど、そんな事を言ってしまったら火に油を注ぐことになるのは明白だなー。

僕的には順番はどうであれ、こんな見た目はすごくの2人とカラオケに來れて、なおかつデュエットできるなんて嬉しい限りなんだけど。

「じゃあ3人で歌おうか!」

悩みに悩んだ挙句、僕は3人でという提案をした。

しかし、この提案には2人とも乗れないみたいで。

「それはできないわ」

と否定されてしまった。

「どうしてかな?」

とりあえず理由を聞く僕。

3人なら公平でいい気もするんだけど。

「それはね太くん。マイクが2本しかないからよ」

致命的ミス!

そうだったー!!

マイクは2本しかないんだった!

「太くんの聖剣も合わされば3本ね……。3本で攻められたらどうにかなっちゃいそう……(/ω\)」

「ねぇ!今なんて言ったの?なんて言ったの!?」

顔を隠しているけれど、麗華さんよからぬもっと言えば破廉恥なことを考えたよね!?

「問題は最後の1本であるご主人様の逞しい聖剣をどこの鞘に納めるかね。上下後ろ……ご主人様の変態…!!」

「ねぇ!何を想像したの!?一何を想像したの!?橘さん!僕のどこに変態の要素があるの!?」

ダメだ……もう僕にはこの2人を止めれる力がない。

助けてドラ〇もん!この2人を止めれるひみつ道を出して!

「じゃあ、あの、2人で歌うのはどうかな?」

照れ臭っている麗華さんと、僕を汚みたいに見てくる橘さんに、マイクを渡しながら提案する。

僕が歌わなければこれで解決。

「あの……。橘さん?できればそんなに遠ざからなくても」

僕がマイクを渡すために近づこうとすると、スっと1歩橘さんは下がる。

1歩近づくと、1歩下がる。

うん……想像の僕に何かされたみたいだ!

すごく嫌われてるぞ!

僕何もしてないじゃん!

「ごめんなさいご主人様……。頭では分かってるんです…。このご主人様は悪くない、いい人って!けど、けど!が……がどうしても強ばって、ご主人様を拒否するかのように避けちゃうんです!」

「うん……なんかごめんね?想像の僕がやらかしたみたいで」

なんだろうこの、映畫とかでよくあるクライマックスに向けて仲間を説得する時に、言われるようなセリフは。

勝手に想像して、被害をけるなんて僕はどうしたらいいんだろう……。

実際の僕なら橘さんには何も……しないかもしれなくないのに。

だってしょうがないじゃないか!男の子なんだから!

気を取り直して、マイクをけ取ってくれた麗華さんに聞く。マイクをけ取ってくれることがこんにも素晴らしいことだなんて、僕は知らなかったよ。

でも、麗華さんはけ取ったマイクをコトッとテーブルに置くと、

「私はいいわ」

と言って斷られた。

「え、どうして?」

「だって私は太くんと歌いたいんだもん」

どうでもいい話なんだけど、の子がもんって言うと、すごく可いよね!

「え、でもそれだとケンカになっちゃうし」

幸か不幸か、2人とも僕と歌いたいからケンカをしてくれている。

僕を取り合ってケンカなんて、なんか照れくさいけど、素直に嬉しい。

けど、この狀況で僕が麗華さんと歌うと、貓みたいにウゥと低く唸っている橘さんが襲ってくるかもしれない。

だから、OKって言いたいんだけど、ここは平和のためにOKだなんて言えない。

「どうしてそんなにも僕と歌いたいの?歌いたいんなら順番も関係ない気がするけど」

自分って言ってて恥ずかしいけれど、聞かなくちゃいけない。

平和のために。

「太くんと歌いたいのは當然じゃない!彼氏なんだもん!私の!それに、太くんの初めてはなるべく全部私がもらいたいなって……」

…………。

どんだけ可いんですか!

この人は!

普段あれな発言をしているとは思えない程の可いさだった!

あれ?なんだこれ?がドキドキと……

「だから私の初めてもあげるわ!もちろんこの初めてって言うのはセック」

「それ以上は言わないでぇえええ!!」

チクショー!!

臺無しだよ!麗華さん!!

せっかくいいじだったのに!!

思えば今のドキドキもアレな発言をしないのかハラハラしてたドキドキだったんだね!

どうしよ……一曲も歌ってないのにもうがガラガラだよ。

「ごめん……ちょっとが乾いたから飲み持ってくるね」

の乾きと、ガラガラ合いと、とりあえず休憩したかった僕はひとまず、この場をさることに決めた。

「じゃあ私も行くわ」

「私も」

そして、當然と言わんばかりに2人も付いてきた。

うん!休憩できないね!

カラオケの素晴らしいところって、歌が歌い放題のところと、ソフトドリンクバーがあることだと僕は思うんだよね。

目の前に広がるのは多種多様な飲み

炭酸系に、コーヒ系、ジェラートまであるし、ソフトクリームもある!

最近のカラオケってすごい!

僕が目をキラキラさせながら何を飲もうか迷っていると、

「うーん。ソフトクリームは白なのはいいけど、に付けたら溶けちゃうわよね?どうしようかしら?」

と、麗華さんの獨り言が聞こえてきた。

ツッコまない。ツッコまないぞ!

ソフトクリームをどういう用途で使うのか気になるけど絶対ツッコまないぞ!

「このガム・シロップって使い方によってはローションになったり……ご主人様の変態!!私のが甘いからって舐め回すなんて!」

橘さんの獨り言も聞こえるけど、ツッコまないよー。

それにしても橘さんの想像力は逞しいね。

想像上の僕がまた何かやらかしたみたいだし。

僕が2人の獨り言を全力でシカトしていると、

「あれ?太じゃん!」

と、聲をかけてきた人が居た。

僕のことをファーストネームで呼ぶ男友達なんて

「太郎!」

悲しいかな。太郎しか今のところ居ないんだよね。

「どうしてここに?」

「いや、咲月のやつがカラオケに來たいって言うからよー連れてきたんだ」

「え、そうなんだ。よく來たね。ここのお店県外なのに」

新幹線を使って1時間ってところにある場所なんだけど、よく來たなー太郎。

「咲月と一緒にカラオケに居るのを學校のやつらに見られるわけにはいかないからな。それより、太もよくこんな場所まで來たな」

2人と居るのを見られるわけにはいかないからね。

風當たりが強いのに、また、強くなっちゃいそうだからね。

「まぁ、々あってね」

「そうなのか。って、お前!私服著てて誰かは分かんないけど人だなーって思ってた2人組が華麗ちゃんと橘ちゃんじゃねーかよぉおおお!」

ちっ、気づきやがったか。

「コノヤロ、俺とかに見られないためにここまで來やがったなー!どうせ最後までいるんだろ?帰りは一緒に帰るぞ!」

「うん。分かったよ」

この際、太郎と帰った方がいいだろう。

前園さんも居るんなら麗華さんと橘さんも大人しくなるだろうし。

「うんじゃな!また後で」

「うん。じゃまた」

太郎と別れ、再び飲みを選んでいると、ギュッと袖を摑まれた。

「誰と話していたの?」

そこには、目をらせてはいるものの、一切笑いの表がない麗華さんがいた。

「た、太郎と話していただけだよ!」

「なーんだ。辰巳くんと話してたのね。どこかの泥棒貓と話しているのかと思ってストローを軽く兇に変えてたところだったのよ?でも、まさか辰巳くんと會うなんて偶然もあるものね」

しれっと恐ろしいことを言わなかった?麗華さん。

「となると咲月も一緒なの?」

「うん。そうみたいだよ。帰りは一緒に帰ろうってわれたからOKを出したんだ」

「そうなんだ!分かったわ!」

ようやく笑顔になって麗華さん。

冷や汗が止まらなかったよ。

「誰と話しているのかと思えばご主人様唯一の友達の辰巳と話してたのね」

「そういうことは言わないで橘さん。ナイーブは問題だから!」

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