《従妹に懐かれすぎてる件》五月三日「従兄と伯母」
「いらっしゃい佑真君。よく來たわね」
「そんな平然を裝われても無駄です。全部聞こえてましたからね」
梨恵さんは何食わぬ顔でこちらを見ているが、この人はつい先程までゾーニングが必要なアダルティ用語を連発していたのだ。男子高校生同士のノリならまだしも一児の娘を持つ母親がしていい発言ではない。
「まあ聞こえるように言ったからね。テクニシャンのゆ・う・ま・君」
「いい歳こいてあざとく振る舞うのはやめてください」
四十手前のにウインクされるなんて罰ゲーム以外に何が考えられるだろうか。好きならご褒かもしれないが、生憎俺はそのような屬は持ち合わせていない。
「もぅ、釣れない子ねぇ。でも構わないわ。佑真君は彩音を好きになってくれればいいからね」
「はあ……」
「彩音のアピールも順調みたいだし。さっきのアプローチもっぽくて素敵だったわよ」
あぁ、この親は早いに対処しておかないと大変になるな。
梨恵さんは俺と彩音をどうしてもくっ付けたいらしい。別にそれ自は構わないのだが、方法が大膽すぎて困っているのである。
最近の彩音は言がおかしい。魅的な言葉にドキッとするが、それは全て梨恵さんの仕業だと思っている。澄み切った青空のように清純でマリーゴールドのように可憐な彩音が梨恵さん悪魔の手によって洗脳されつつあるのだ。
お淑やかで可い彩音を守る為に俺は戦わなくてはならない……。
「ありがとうお母さん。私もっと頑張るからね!」
「ふふふ。困ったらいつでも相談するのよ。私がお父さんを落としたテクを教えてあげるから」
「梨恵さんはもう黙っててください」
この人は娘になんて教育をしているのだろうか。もし彩音が今でも実家暮らしをしていたら狀況は更に酷くなっていたかもしれない。
「あら、私の介が必要無いの? それってもう二人のは通じ合ってるって意味かな?」
「違います。彩音ももう高校生ですし今は俺が預かってますので、余計な口出しは不要かと思いまして」
彩音の意志は尊重したい。もし他者がそこに割ってろうとするならば止める必要がある思うし、仮に彩音が梨恵さんを頼っているとしたら、それは頼る相手が間違っている。
いずれにせよこの親子の結託関係は早急に解かなくてはならないのだ。
「ゆうにぃ、それって遠回しのプロポーズ?」
「はぁ!? なんでそうなるんだよ」
「だって預かるとか口出しは要らないとか……もう私はゆうにぃのモノって言っているのと同義じゃん」
「いやいや違うから。単に俺は彩音の保護者として言っただけだから」
彩音の気短な格は昔からだったと思うが、今は梨恵さんの手によって面倒臭さがプラスされているな。あざとくて可いと思うけど、俺は素直な彩音の方が好きだ。
「……ほほう、なるほどね。確かに私のアシストはもう要らないかもしれないわ」
「分かっていただけたようで何よりです」
「佑真君。これからも彩音の面倒を見てやってね」
梨恵さんはらかな笑顔を浮かべてから、踵を返し部屋を後にしようとする。散々放送止用語を連呼していたけれど、最後はまともな態度をとるんだな。
やはりどんな変態であっても彩音の実母に変わりはない。親としての責務はなからずあるのだろう。
「あ、そういえば伝え忘れたけど」
ふと梨恵さんが立ち止まってこちらへ振り返る。
「……何ですか?」
「今日家に夜みやちゃんが遊びに來てるから。多分リビングにいると思うけど……」
「了解です。後で行きます」
夜みやちゃんとは梨恵さんの妹の娘――つまり彩音の従妹にあたる子で今は確か六歳になったはずだ。俺が実家暮らしだった頃はよく子守を任されたりしていて、まるで年の離れた兄妹のような関係だったりする。
最近はあまり帰省できていなかったため、夜ちゃんと會うのも久しぶりだ。子供の長は著しいから、きっと前回よりもすくすくと大きくなっているに違いない。
「ふふ、でもいくら可いからって夜ちゃんに乗り換えるのは駄目よ。小學生にをするのは流石に心しないからね」
「あぁもう、どうして貴方はそんな変な事しか言えないんですかね」
やれやれと溜め息がこぼれる。もう梨恵さんには一ミリも期待してはいけないのかもしれない。手遅れだよこの人……。
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大変長らくお待たせしました! 久々の更新です。
別途連載していた作品が完結しましたので、今後しばらくはこちらを優先的に更新する予定です。
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