「ハッ！ 何か今ものすごく気持ちの悪い景を見た気がする！」

 「急に大きな聲をだしてどうかしたんですか？」

 「いえ、 ただ俺と千鶴が人同士で、 しかも俺が千鶴に対して好きとか気持ち悪いことを言っている。 そんな景が急に頭の中に浮かんできて、 あまりにもありえない景だったのでし鳥が立ってしまっただけです」

 「そ、 そうなんですか。 もし調が悪かったらいつでも言ってくださいね」

 「はい！」

 本當にラピスさんは優しいな！

 全く。 千鶴もしは見習ってしいものだな。

 「シュンシュン！ あそこに村が見えるのだ！」

 「本當だな。 こんな山の中に村があるなんて隠れ里とか何かか？」

 「シュン様はあの村に行ってみたいのですか？」

 「そうですね。 俺達が王都を出てから二週間たったわけですし、 しぐらいゆっくりしたいですからね」

 「わかりました。 それじゃあ中にりましょうか」

 「いいんですか？」

 「だってこのパーティのリーダーはシュン様なんですよ？ それなら言うことを聞くのは當然じゃないですか。 それにこの子たちも最近走りっぱなしで疲れているでしょうし……」

 ラピスさんはそう言いながら今俺達の馬車を引っ張てくれている馬を指さした。

 ちなみに今馬車を作しているのは俺だ。

 馬車の作は俺が思っていたのよりかなり難しかったためまだラピスさん程うまくできないし、 スピードもあまり速くは出せないが一応作できる程度にはなった。

 「それに食料もそろそろ底をつきそうですので買いもしたいんです」

 「なるほど。 それならあの村で二日程度滯在するのはどうですか？」

 「そうしましょうか」

 「私もその意見に賛なのだ」

 「さてそうと決まったら早く中にるか」

 「わかりました」 

 俺はラピスさんの返事を聞くと村の中にっていった。

 村は山の中にあるということもあり、 自然が多く畑が沢山あった。

 だがなぜか村の中には若い男だけあまり見られなかった。

 これは何か面倒ごとの気配をじるな。

 「さてと村の中にったわけだけど馬車と宿どうしましょうか？」 

 「旅のお方がこんな山の中にある村に一何用ですかな？」

 俺達にそう聲をかけてきたのは六十代と思わしき男だった。

 「ええと俺達は、 港町サファイアをめざしている途中なのですが、 その道中で偶然この村を見つけたものですから立ち寄ってみた次第です」

 「そうなのですか」

 「それで一つ質問なんですがこの村に俺たちが泊まれるような場所ってないでしょうか？」

 「この村には旅のお方が泊まれるような宿屋はないのです」

 おっとそれは弱ったな……

 「ですがちょうど一件空き家があるのでそこをお貸ししましょう」

 「ありがとうございます！ それと馬車なんですが……」

 「それは私が預かっておきますので、 ここに置いておいてください」

 「お願いします」

 「ではこちらについてきてください」

 「あ、 もうしだけ待ってください！」

 俺はそう言うと馬車に乗っている千鶴達の元へと向かった。

 「おい！ お前たち降りろ！」

 「ちょっと俊。 急に降りろっていうのはに対してし失禮なんじゃない？」

 「せめて事ぐらい説明してしいですよね～」

 「事は後で説明してやるから今は頼むから俺の言うことを聞いてくれ」

 「わかったわよ。 全くしょうがないわね」

 「本當に仕方ないですね。 ここは俊さんの言うことを聞いてあげましょう！」

 「あ、 ありがとう……」

 多分こう言ったときの俺の顔は相當引きつっていたと思う。

 主にこの二人に対する殺意でな！

 「シュン。 その顔かなり不気味だぞ」

 「シュン様。 何事も我慢が大事ですよ」 

 「そんなことより早く私は降りたいです……」

 「ん？ なんでだ？」

 「そ、 それは……」

 何か俺に言おうとしている葵は、 足をにし、 何処かもじもじしている様子だった。

 俺はその葵の様子を見て察した。

 きっと葵はトイレに行きたいのだと。

 「あ～葵。 何も言わなくていい。 大お前の言いたいことは察した」

 「あ、 ありがとう……」

 「もうしばらく我慢できそうか？」

 「多分大丈夫……」

 「了解。 それなら早く行くか」

 俺はそう言うと、 男の元へ戻り、 案を再開するようお願いした。

 ～十分後～

 「つきました。 ここです」

 　男が指さしたのは、 木でできた小さな家だった。

 「鍵はこちらですのでお渡ししておきますね。 それとすみません。 この家を貸すにあたり一つだけお願いがあるので後でこの中の誰かひとり私の家まで來てもらえないでしょうか？」

 やっぱり俺の予想は當たっていたようだ。

 だが背に腹は代えられん！

 「わかりました。 それでは後で俺がうかがいましょう」

 「ありがとうございます。 私の家はあそこですので手が空いたらいつでもいいのでおこしください」

 そう言って男が指さした家はこの村の中で一番大きな家だったのでそのことから察するに、 彼はきっとこの村の村長なのだろうと俺は予想した。

 俺がそう予想を立てているうちに村長と思われる男は消えていた。

 「さて俊。 今の狀況について説明してもらいましょうか」

 「わかってる。 でも先に葵」

 俺はそう言った後、 葵に家の鍵を投げた。

 「い、 行ってきます……」

 「アオイ様どうかなされたんですか？」

 「えっとそれは……」

 「トイレでしょうね」

 「そうなのか？ それならそうと早く言えばいいじゃないか」

 流石ハク。 獣とだけあってその辺の恥じらいは一切ないのな。

 「ははは……」

 クリスはお姫様と言うだけあってか葵の気持ちがよくわかるようで、 ハクの発言に対しては苦笑いをしている。

 「そんな事よりも早く説明してよ！」

 「葵が戻ってきたらな。 だから今はとりあえず家の中にらないか？」

 「賛なのだ！」

 エルザはそう言うと走って家の中にっていった。

 「ほらお前たちも早く行くぞ」

 俺がそう言うと千鶴は渋々といった様子で俺についてきた。

 「へぇ～案外おしゃれじゃないか」

 家の中には一通りの家があり、 木の匂いがしていて、 俺としてはかなり気にいった。

 「なかなかいい家じゃない」

 どうやら千鶴も気にいったようだ。

 「私も將來こんな家で俊さんと幸せな家庭を築きたいです！」

 「安心しろルビー。 そんな未來は一生來ない」

 「え？ もしかして俊さんもっと大きな家がよかったんですか？」

 「違うわ！ 俺とお前が結婚する未來がありえないって否定したんだよ！」

 「またまた～とぼけちゃって～」

 「人の話をちゃんと聞け！」

 「あの～この家。 寢室が一つしかないんですがどうしましょうか？」

 「それなら俺はここで寢るから子組は寢室をつかっていいぞ」

 「俊がこっちで寢るなら私もそうするわ」

 「お前だけは絶対に來るな！」

 「私も俊さんの隣で寢たいです！」

 「もし朝起きたとき俺の隣にお前がいたらその時は、 一日中この家の屋から地面に向かって吊るしてやるからな！」

 「なんですかそれ！ 今すぐしてしいです！」

 「皆さんお待たせしました……」

 何処か申し訳なさそうな様子で葵は俺たちのいる部屋の中にってきた。 

 「大丈夫だったか？」

 「う、 うん……」

 「それならいい。 さてとそろそろ説明するとするか」

 俺はそう言うと馬車に乗っていた組に向けて今の俺たちの狀況について説明した。

 「なるほどね」

 「その理由なら納得です」

 「私もだ。 正直しをかしたい気分だったからシュンの意見は名案と言えるだろう」

 「クリスも最近ずっと馬車の中に乗っていて疲れていたので、 シュン様の意見には大賛です！」

 「私は言うまでもないです……」

 どうやら皆馬車の中にずっといたことになからずストレスが溜まっていたようだ。

 まあそうだよな。

 「さてと俺は今からあの男の家にいってくるけど千鶴たちはどうするんだ？」

 「私はラピスとその奴隷を連れて買いに行くつもり」

 「私はしこの村の周りを走ってくる」

 「私はお留守番しているのだ」

 「クリスも不本意ながらこの吸鬼と一緒にお留守番しています……」

 やっぱりクリスはエルザの事が嫌いなのね。

 「了解。 それじゃあ行ってくるわ」

 俺はそう言うと家を出て男の家へと向かっていった。