《朝起きたらの子になってた。》妹とG退治 part1

 莉奈さんを倒した紗香は、俺を連れて教室から出た。そのまま昇降口にまで行き、靴を履き替えて帰路に就く。

 そして今は、學校から出て7分ほど歩いたところにある川沿いの道を歩いている。家までは殘り半分ほどといった地點である。

「なぁ、我が妹よ」

「なに? 私の妹よ」

(ちょーっと、聞き捨てならないワードが出てきたが、俺は優しいから聞かなかったことにしてあげよう。それに、さり気無く手を繋いでくるのも気にしないであげよう)

「莉奈さんは、その、紗香の彼なんだろ? もっと大切に扱うべきだと思うぞ」

「違うって、さっきも言ったよね?」

全く笑っていない顔で、紗香は俺の肩をグリグリと丁度良い強さで押してくる。気持ちいい。

「俺に遠慮しなくて良いよ」

「何にも遠慮してないけど! 」

「それはない。紗香からったらしいからな」

「それは、まぁ、うん」

俺はしどろもどろする紗香の様子に違う答えを導き出出してしまった。

「そうかそうか、恥ずかしいんだな。分かるぞ、好きな人のことを追求されると居心地が悪く……」

しかし、俺はその言葉を最後まで喋ることが出來なかった。

紗香にすごい剣幕で睨まれたのだから。

それに若干、目が潤んでいるのが不思議でならない。

ーーねぇ、沙雪には好きな人がいるの?

(めっちゃ答えにくいな……)

とりあえず俺は好きな人がいたか、脳で検索をかけてみる。

そうすると、紗香のことを考え始めていた。

の子になってから、々と教えてくれた紗香。

の子になって困っていた時に、何だかんだ言いながらも助けてくれた紗香。

男だった時は何も言わずに、俺のことを心配そうな目で見ていた。朝飯の時は時間が合わなかったけど、晩飯だけは一緒に食べてくれていた。

それに何よりも俺のことを見捨てたり、いない人の様に扱うことはしなかった。

そんな紗香のことを思うと俺は……

(いや、それはないな。紗香は妹なんだから)

「いないぞ」

「そ、そうなんだ」

紗香は俺に背を向けて、嬉しそうにブツブツ言いながらガッツポーズをした。

「酷いな、俺に彼がいないことでそんなに喜ぶなんて……」

「あ、これは違うよ。腕が勝手に上下しただけだから。それより、今日はどっか寄って帰ろうよ」

「嫌です。もうスカートいでズボンに戻りたい。男の尊厳が家出しちゃう」

「ブラとかの下著につけてる時點で、消えてると思うんだけど」

「それは言うな……」

*****

家に帰ってきた。

家に帰ってきて早々にしたことは、2階にある自分の部屋に行って、制服をぎ捨てること。

(はぁ〜やっと解放された……)

Yシャツとスカートをぎ捨てた後、勢いでブラとキャミソールをごうとしたが、なんとか耐えた。

紗香に著けてないところを見られると、余計に酷い(可い)下著類を著けさせられるから。

それにどういう訳か、著けていないとバレる。

『なんか違う』と言って、俺の服を捲ってくるのだ。

(こういう話はやめておこう。メンタルも家出しちゃう……)

気を取り直して俺は、紺のジーパンとねずみのパーカーをタンスの奧の方から取り出して著る。

(あ、手前に置くと、ヒラヒラした服にいつの間にか変えられます。洗濯機に放り込むと、著ていない筈のヒラヒラした服が帰ってきます。著ていた服は帰ってきません。全く、こんな酷い事をしてくるやつは、よっぽど……)

ーーガチャリ

「沙雪ぃ〜〜助けて〜〜!」

犯人である紗香が、ノックもせずに俺の部屋に飛び込んできた。純白の下著姿で。

「な、なんだよ」

何故か紗香の下著姿を見てドキドキした。だが俺は今にも泣きそうな雰囲気の紗香を見ると、そんなは吹き飛んだ。

「わ、私の部屋にGが……」

「まさかの伏線!」

「お願い、お兄ちゃん助けて」

(俺の呼び方が定まっていないな。これはガチなやつか)

「お兄様に任せておけ」

「何でもいいから早くして!」

「あ、はい」

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