《朝起きたらの子になってた。》花凜の過去 Last
私が上代先輩のことを樹先輩と呼ぶ様になって數日後。
その日は、火曜日でお晝休みに図書委員の仕事があるので、コンビニで買っておいたサンドイッチを教室で食べて図書室に向かう。
(はぁ、し遅れちゃったかな)
早歩きで図書室に向かっている中、急に呼び掛けてくる聲が聞こえた。
「ねぇ、そこのあんた」
「……」
(私にはあまり知り合いは、いないし違うよね)
「あんただよ」
「は、はい……」
(私だった……)
私に話しかけてきた人は、先輩であろう子だった。見た目が中的でスカートを履いていなければ、かっこいい男子としても見れるだろう。學年の見分け方は、上履きを見れば分かる。
「何でしょうか……」
「上代 樹と関わるのは止めておいた方が良いよ」
「え?」
「上代 樹と関わって姉の沙耶に近づいて來ようとする奴はいる。しかし、その悉くは潰されているよ」
「そ、そうなんですね……」
沙耶先輩ではなく樹先輩の方が関わり合いたいと思ってしまったが、その考えは全力で振り払う。
「だからね? もし、このまま上代 樹と関わるなら覚悟しといてねって話。では、またね」
そのまま、私に忠告をしてきた先輩は何処かに行ってしまった。
「あ、図書室行かないと」
そして、私もし急いで図書室へと向かうのだった。
*****
忠告をけてから二日後の木曜日。
この日は、放課後に樹先輩と図書委員の仕事がある。しかし、授業中に二日前の忠告がぐるぐると頭の中を回転していた。
(覚悟か……って何で私、こんなに悩んでるんだろう?)
しかし、いくら考えても思い浮かばない。樹先輩とはライトノベルの話とかで盛り上がるけど、それだけだ。それ以上でもない。でも、この関係は切り捨てられない……。
(まぁ、いいか)
そのまま授業は考える時間で終わってしまい、いつの間にか放課後になっていた。
放課後になって我に返った、私は荷を持って図書室に向かう。荷を持っていけば、一度教室に戻るという手間も無くなるし、盜難防止にもなる。
図書室付近の廊下を歩いていると、前方に樹先輩を発見したが、他に一人いたので隠れて様子を見る。その一人が子だったからだ。
「上代君に伝えたいことがあるの」
「何だ? ってか、俺はお前のこと知らないぞ」
「そうだよね。でも、これだけは……。私は上代君のことが好きです。上代君は私のこと分からないと思うけど、私は上代君のことを知っています。だから、これからは私のことも々と知って貰いたいです……」
(こ、こ、これは、告白……。い、樹先輩の返答は!)
靜まり返っている廊下で男二人が見つめ合っているシチュエーションに、私は何のライトノベルでこういったシーンがあったか高速で考え始めていた。だけど、出てこない。どうして……ってあれ? 何で私はこんなに悲しい気持ちになってるの? 分からない……。
そんな中、樹先輩は告白の返事をする。
「卻下だ。まず、俺はお前のことを知らない」
「それは、私のことを知って貰って……」
「それで、俺とお前の相が悪かったら嫌だし、何よりもめんどくさい。子は男子に奢ってもらうことが普通と考えている奴もいる。それに、付き合うにしてもお互いのことを知っている間柄で、格とか趣味とかんなことが合わないと嫌だな」
「そ、そっか。なら仕方ないね」
そして、逃げる様に樹先輩から離れていった。
(し、辛辣過ぎる……)
それと同時に安堵している自分の気持ちには気付かなかった。
*****
樹先輩が図書室にった後、3分ほどしてから私も図書室にる。
あまりにも早過ぎると、さっきの告白現場を見ていたことがバレる可能があると思ったからだ。
「遅いぞ、俺は十分前には來てたんだがな」
「ごめんなさい、樹先輩。遅れました」
(本當は3分前って分かってるんですけどね……)
そのことは心の中に仕舞っておいて、付の席に座る。樹先輩はいつも通り、スマホを弄っている。何の為にここに來ているのか分からない。
「「あの(さ)」」
「あ、樹先輩からどうぞ」
「ありがと。地味っ子は、好きな人とかいるか?」
「ふへぇ!」
「何だよ、その反応は?」
「いや、何でもないです」
(うぅ……さっきの告白現場を思い出してしまった)
もし、私があの振られた子ならどうなんだろう? 
樹先輩と會話するのは楽しいし、面白いし、何より溫かい。私がライトノベルを読んでいる時、の子が過激な姿になっている挿絵のページを見ていると、樹先輩はこちらをチラチラと見てきたり、たまに眼鏡を外して目をほぐしている時は、私をガン見してきたりと。
親友だと思っていた人と一緒にいるよりも、今の方が何倍も……。
(あ、そっか。どうして、悲しい気持ちになったのか分かった。樹先輩のことが好きだから、あんな気持ちになったのか……)
不思議だと思った。可い子ぶって男子を釣る気だと勘違いされて、親友と縁が切れたのに。今は、その親友と縁が切れた原因になった男子に好意を抱くなんて。
だから、樹先輩の質問には可い子ぶってこう返した。
「とっても好きな人がいます。気付いてくれるか分かりませんけどね」
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