《朝起きたらの子になってた。》姉貴に相談してるところ。
トイレで考えるのは一旦保留にして、食事をしていた席へと戻ってきた。
「隨分と遅かったね」
「あ、あ〜、急に腹が痛くなってな。籠ってたわ」
紗香は俺にジト目を向けてきたが、俺のポーカーフェイスと言い訳を聞いて渋々引き下がった。
(危ない危ない。顔にでるところだったぞ)
そしてすぐさま視線を地味っ子に向ける。どうやら、麗華と話している様だ。聞いてみることにする。
「ーーお姉様、お姉様。わたくしお友達がたくさん出來ましたわ。お姉様が學生の時にいたという友達の數には勝てないと思いますが……」
「それは良かったわね。それに前にも言ったと思うけど、大切なのは人數じゃなくて中なのよ。數十人の友達より數人の親友の方が価値があると思っているわ」
(地味っ子がなんかいいこと言ってるな。てか、あいつ友達いたのか?)
そんな俺の心を見かしてきた地味っ子は、こちらをチラ見してきた。
(な、何だ?)
「ある一人の先輩がいてね、その人は自分を何も隠していなかったわ」
「どういうことですの?」
「裏の顔がないの。自分を前面に出しているから、どんなことを考えているのか分かっちゃうの。何を考えているのか分からない人って不安にしかならないでしょ?」
(確かに……ってそれ、俺のことか!)
「例えばの子の中で一人稱を『俺』って言いたい人もいると思うの。でも、周りが『私』だから自分も『私』にしている人がいる。その辺り沙雪さんは『俺』で通しているから、周りに流されていないわ。ちゃんと自分を出してる」
「そうですわね。ということは沙雪さんは自分を偽っていないのですわ」
「それは、どうかな……」
(これ、俺が元男だったことを遠ざけようとしているのかね?)
「沙雪さんは隠すのが下手ですわね」
「うっせ」
俺が機に頭を乗っけて照れ隠しをしていると、地味っ子は俺に指を指してきた。
「あの様な態度のことをツンデレって言うのよ」
「地味っ……花凜さん? いい加減なことを教えるのは良くないと思いますよ?」
「いい加減なんですの? お姉様の言うことは正しい方が多いですのよ?」
「……」
(地味っ子め! 実の妹に変なことを教えている可能が高いな)
その後も、散々弄られた。そして、結の母親が『帰って來なさい』とメールが來たらしいので、今日はお開きとなった。しかし、學級委員も學校にスマホを持って來ている様だから、うちの學校は終わりだな。
*****
帰りは、麗華の計らいでそれぞれの家まで送ってくれた。結、蓮、俺と紗香の順番で送ってくれたので、蓮と結の家がどこにあるか知ることが出來た。いつか遊びに行こう。8割ほど行かないかもしれないが。
「「ただい(まんもす)」」
俺と紗香は家にると、リビングに向かった。
「おかえり、晩飯食べて來たわよね」
「うん」
「じゃあ、私先にお風呂ってくるね」
「良いわよ」
紗香はリビングでお茶を一飲みした後、2階に行った。著替えを取りに行ったのだろう。俺はそれを追いかける様に2階に行き、自分の部屋……ではなく、姉貴の部屋の前に立った。
そこでノックをする。
「って良いぞ」
それを聞いた俺はドアを開けて中にる。
「沙雪か。何の用だ?」
姉貴の部屋は、意外にもぬいぐるみなどが多く、の子の子してる部屋だ。まぁ、これらは姉貴が中學から高校までの期間で集めたものだが。
「地味っ子に會った」
「ん? あぁ、確かあの図書委員で目立たない様にしていたジミーちゃんか。それで、どうかしたのか?」
「それで告白された」
「告白ね……って、は?」
姉貴は口を開けて固まってしまう。
「今は凄く人になってて……」
「ちょっと待て。それは、お前が樹だってバレていたのか?」
「うん。気付いたのは地味っ子の妹……つまり、今の俺の友達から聞いた報だけで、俺であると検討はついていた様だった」
「怖いな……。相當、沙雪のことが好きだな……。いや、それで、どうしたいんだ?」
「分からない。でも、男の子でもの子でもどちらでも良いって言ってくれたことは嬉しかった」
「なら、付き合っても良いんじゃないか? 聞いた限りだと、ジミーちゃんは沙雪の為に自分を変えたらしいからな」
「え?」
「昔の話になるが、私が変わった後からは、ジミーちゃんとは會っていなかっただろ?」
確かにそうだ。思いの外、優しくて意地悪な姉貴が変わってしまったのがショックで、周りが見えていなかった。それに気付いた時には、地味っ子との関係も切れていた。
「まぁ、それが原因で暗くなってしまっていたお前を何とかしたくて、そのジミーちゃんは変わったんだろ。……変わろうとするのは意外と怖いものだからな」
「まぁ、これだけは言える。ジミーちゃんは『樹』もも『沙雪』もどっちも好きだってことだ」
それを聞いた俺は思い出した言葉が出てきた。それは、數時間前に聞いた地味っ子の言葉。
『ーー大切なのは人數じゃなくて中なのよ』
言い換えてしまえば、大切さなのは外見じゃなくて中。つまり地味っ子は『樹』でも『沙雪』でもなく、『俺』という存在を好きになってくれていたのだ。
「はぁ……マジか……」
「それで答えは出たのか?」
「一応は。じゃあ、部屋に戻るわ」
「あぁ」
それから自分の部屋に戻り、いつも通りにパソコンを起した。
(あ、制服著たままだった……。スカート履く耐がついたものだな。嫌な耐だが……)
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