《朝起きたらの子になってた。》またまた沙雪ちゃんの人格が現れたところ。

「ん? お姉ちゃんは誰なの……?」

「え……?」

*****

噓だよね? それが本當のことだったら、本當に傷つくよ?

「沙雪ちゃん、噓つかないで良いんだよ? 噓ついたら酷い目に……」

しかし、そこから先の言葉が出てこなかった。その目が本當に私のことを知らないと語っていたのだから。

「どうしたのお姉ちゃん?」

「っ!?」

お姉ちゃんと呼ばれ、突如として一つの考えが脳裏に浮かび上がる。それは、沙雪ちゃんが多重人格であるという仮説だ。

始業式の日に見た沙雪ちゃんはお姉ちゃん、お姉ちゃんと言っている印象だった。しかし、急に一人稱が俺の時があったり、紗香のことを呼び捨てにしたりする時があったのだ。その事から私はこの仮説を立てた。

従って、私がすることは一つである。

「沙雪ちゃん、私は茅野 莉奈って言うの。沙雪ちゃんの親友だよ」

「莉奈お姉ちゃん?」

(ぐふ……ここまで來るものがあったんだ。これは、沙雪ちゃんにお姉ちゃんって言われたいね)

しかし、ここでに流されては駄目だ。

「違うよ。莉奈お姉ちゃんじゃなくて、普通に莉奈って呼んで。私はお姉ちゃんじゃないからね」

「そうなんだ。親友……なんだね。うん、莉奈が私の初めての親友」

沙雪ちゃんは親友という言葉をうっとりしながら、反芻する。

「莉奈……親友。親友は莉奈。うん、すっごく嬉しい……」

(何なのこの子? 私の邪……じゃなくて、正常の心がもっと綺麗になってしまう……)

「ねぇ沙雪ちゃん、ホームルームまで時間あるから遊ばない?」

「ん〜 ごめんね。今、生理中だからそんなにはしゃぐことは出來ないの」

(なるほど。だから、蹲ってたんだ)

私の生理痛は軽いからこんな風にはならない。その代わり……。

視線を下に向けてみると、そこには僅かな膨らみしかないが見える。

(代償みたいなものがこのの軽さだし……)

しかし、沙雪ちゃんのは小さいのに生理も大きいのは不憫である。これは私が責任を持って沙雪ちゃんのを大きくしなければならない。

この前は紗香に邪魔されたのもあるが、私も邪な心を持ってしまったことは否めない。だから、次はちゃんと沙雪ちゃんのことを思ってろう。

そう決意していると、沙雪ちゃんは辺りをキョロキョロと見渡し始めた。

「どうしたの?」

「紗香お姉ちゃんはどこ行っちゃったの?」

(Gに怯えて逃げたなんて言えない……)

「紗香は今、トイレに行ってるよ」

「あ、そうなんだ。てっきり、嫌われちゃったのかと思ってたんだ」

「どうして?」

「私がお姉ちゃんって他の人に言うと不機嫌になってたから」

(その通りです)

「で、でも、本當のお姉ちゃんは二人だけなの」

「うん」

「あ、もちろん莉奈と親友になれて良かったよ。私、莉奈の親友でいられる様に頑張るからね」

「う、うん」

(ぐふ……私はとんでもないことをしてしまった様だ)

*****

【紗香視點】

莉奈にまんまと嵌められた私は、ホームルームが始まるまでの間、廊下で時間を潰した後に教室に戻ることにした。

いや、語弊がある。

戻ろうとしたのだ。

だけど戻ろうと思えなかった。

沙雪があんなに楽しそうに莉奈と話すのだから。(沙雪ちゃんモードになっていることに気付いていない)

「これじゃ、莉奈を使って脅しができないじゃん……」

そう、脅し文句の一つが消えてしまったのだ。これでは言う事を聞かせる為に何を脅し文句に使えば良いのか分からない。

「やっぱり、既事実作らないと駄目なのかな……」

そんなポツリと出た言葉に反応した者がいた。

「紗香? 今の年齢で既事実は不味いと思うんだけど……ほら、今の年齢であ、赤ちゃん妊娠しちゃうといけないから」

「むっつり委員長」

「な……」

私の返しに顔を真っ赤にした結であった。

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