《朝起きたらの子になってた。》莉奈さんの家に來たところ。

目の前にペンギンがいる。

いや、目の前だけではない。周囲一がペンギンに囲まれている。大きなペンギンのぬいぐるみ、小さいペンギンのぬいぐるみ、そして……正面にはペンギンの著ぐるみを著ている一人の。略して、ペンギン

対して俺は、ペンギンの形をしているベッドに両手両足を手錠で拘束され、きが取れない狀態だ。これではペンギンの餌になるのも時間の問題。

ペンギンはベッドの上をもぞもぞと移してこちらに寄って、手を差しべてきた。どういう顔を浮かべているのか著ぐるみを著ていて分からないが、友好的な関係を築きたいのだろう。

「……」

それはこちらとしても好都合。この手錠を外してほしいと頼みたいのだが、何故か聲が出ない。それに加えて俺は手足が拘束されてかせないので、何かを伝える手段がない。その狀態がしばらく続いた後、ペンギンき始めると同時に、いやらしい笑いが著ぐるみを通してれてきた。

「ふふふふ、やっと二人っきりになれたね。これから貴は私のペット。大丈夫、生活に支障はないから。だって、私が全部面倒見るんだから安心してね」

ペンギンは先程のいやらしい笑いに反して、とても幸せそうな笑いをすると、俺の耳元で囁く。

「好きだよ、沙雪ちゃん、してる。だからーー同族になろ?」

そのままペンギンは俺に覆い被さり、君もペンギンになるんだよ? と言うような扱いをして……

*****

「あぁぁぁぁぁぁぁ〜〜!!」

「うわぁぁ!」

放課後の教室で悲鳴が響いた。

教室に殘っていた生徒達は何事かと様子を伺う。

「はぁはぁ、なんて夢だ」 

「急にんだけど大丈夫なの?」

「寒気がしたが何とか」

「なら、良かった」

も分かったので、教室に殘っていた生徒達は再び雑談にった。そこで、前の席の椅子が倒れている事に気が付いた。

「何してんだ? 地面冷たくて気持ちいいのか?」

「違うよ。沙雪が大聲出したからびっくりしただけ」

地面に倒れていた紗香は、立ち上がるとブンブン頭を振るう。髪に付いてしまったゴミを取り除いているのだろう。しかし、あれだ。このきはそっくりである。

「馬が尾を振っているみたいだな」

「それは流石に失禮じゃないかな?」

「じゃあ、帰るか」

「そこスルーしちゃうんだね。もう、知らないから」

俺がカバンを持って教室を出ようと思った時には、紗香は一足早くカバンを持って早々に教室から出て行ってしまった。早く、家に帰って何かをするのだろうか?

「って、まさか……」

思い出した事がある。確か、授業をけなかったら俺の部屋がの子が住んでいる部屋になるとか言っていたような……。

(させてたまるか!!)

俺は凄い速さでカバンを持ち、ドアを開けて教室から出ると、昇降口までダッシュ。下駄箱には既に紗香の上履きがあった。

(ち、早い!)

靴に履き替えて外に出ると、そのまま校門に向かってダッシュ……出來なかった。その訳は至って簡単である。

「はぁ、疲れた……」

力の無さだ。

実は、昇降口までダッシュしている最中で力は切れていた。特に階段がきつかった。だが、負けてたまるかと気合をれて、に鞭を打って走っていたのだ。

それに加えて走れない理由はもう一つある。

燦々と照りつけて來るこの太だ。教室は涼しくて快適だった。廊下はまだ耐えられる暑さだった。しかし、外はダメだ。終わる。蒸発してしまう。

「あぢぃ〜〜……」

になってからは汗を掻くことは無いに等しかった。しかし、この暑さは逆らえない。額からは既に汗が滲んできている。

しかし、ここで負ける訳にはいかない。走るのは無理でも歩きでなら帰れると言い訳をして自宅を目指した。

*****

「はぁ、やべぇよ。チャリで來れば良かった……」

男の時に通學していた時は、今通っている近くのコンビニにチャリを置いていたので、ここからは楽なはずだった。しかし、紗香と一緒に行くのもあってチャリ通はしていない。それが裏目に出た。

「コンビニ寄るか……」

この暑い中を今の狀態で歩くのは無理だと判斷して、コンビニで一時休憩する事にした。もう、俺の部屋は諦めた……。

コンビニにると店員の「いらっしゃいませ」の聲が聞こえてくる。そこで俺は真っ先にアイスが売っているエリアへと向かう。

「何買うかな……」

買うアイスが決まったので、そのアイスを取ろうとするが向かい側にいた人も同じを取ろうとしていた。

「「あ、すいませ……」」

俺は向かい側にいた人を見てフリーズした。一方、同じアイスを取ろうとしていた人もフリーズした後、笑顔になった。

「奇遇だね、沙雪ちゃん」

「あ、あぁ莉奈さん」

同じアイスを取ろうとしたのは莉奈さんであった。紗香もいない中、莉奈さんと二人きりは危ないとに染みている。だが、なってしまったものは仕方がない。

「あれ? 莉奈って呼んでくれないの? 學校では言ってくれたのに」

「え?」

(どういう事だ。全く記憶にないんだが?)

気味の俺を無視して莉奈さんは気にする事なく続ける。

「まぁ、いいや。それよりも沙雪ちゃん。これから時間ある? 良かったら、私の家來ない? このコンビニから近いから涼しくなるまでいてもいいよ」

それにと莉奈さんは付け加える。

「汗でけちゃってるから、著替えた方がいいでしょ?」

その莉奈さんの指摘を聞いて、俺は自分の格好を見てみる。そして気付いた。まぁ、あれだ。汗で下著類が濡れてYシャツ越しから下著が見えてしまっていた。これは野郎共が見たら十中八九、好奇の視線で見てくるだろう。

その事から俺が取った行は一つだった。

*****

「お邪魔します」

「いらっしゃい」

莉奈さんの家に寄ることにした。まず、玄関先で匂いを吸う。

す〜〜

(あ、いい匂いする。の子が住んでるだけでいい匂いがするんだな)

どこかの子三人から何か文句を言われそうな事を考えながら、靴をぐ。

「すぐ近くにある部屋が浴室だから、使っていいよ。著替え・・・は後で、持って行くから」

「ありがとう、莉奈さん」

「いえいえ〜」

所にると、汗でビショビショになった制服をいで行く。

「あ……」

生理中の事をすっかり忘れており、自分がナプキンを著けている事を失念していた。パンツと一緒にナプキンを外すと、ナプキンのある一點が真っ赤に染まっていた。

「怖っ! てか、シャワー浴びて大丈夫なのか?」

これならネトゲしてる時間のしは生理の時にしてもいい事は調べておくべきだった。まぁ、起きてしまったのが朝で、調べる時間なんてなかったが。

仕方なく、カバンからスマホを取り出すと二件の通知がっていた。

『私の妹の部屋です』

からの寫真送付。

その寫真は、まぁ、あれだ。見なかった事にしておくべきだ。

気を取り直して、俺は生理の時にシャワーを浴びても大丈夫なのか調べる。

「ふむふむ、むしろ浴びた方が良いんだな……」

だが、俺は注意すべきだったんだ。他人の家の洗面所で、すっぽんぽん狀態でスマホを弄っている狀態を。

(ガチャ)

 

「お姉ちゃん、僕もお風……」

「ん?」

洗面所のドアが開いてって來たのは、俺の長をし低くした小學生ほどの子だ。その子は俺が洗面所にいる事に気付くときが固まった。そして、俺の全をしばらく見た後、頬が真っ赤に染まった。

「ご、ごめんなさい〜〜!」

その子は洗面所から出て行くと、幾度か壁にぶつかりながら、去って行った。その後、直ぐにドタドタと音が響いて莉奈さんが洗面所にって來る。

「沙雪ちゃん、大丈……ぶはっ! やば、刺激強すぎ!」

「え?」

莉奈さんは鼻を抑えて、背を向けて喋る。

「沙雪ちゃん、お願いだから早く浴室っちゃって。生理中でも大丈夫だから!」

「は、はい」

無駄に強い喋り方をする莉奈さんに戸いながら、俺はスマホをカバンにしまうと浴室にった。

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