《朝起きたらの子になってた。》の神

「莉奈は甘えん坊さんね」

「えーっと……」

私ーー莉奈は、困していた。

沙雪ちゃんにめられているだろう"子力"を引き出す為に、あれやこれやとやった。多、私のが顔を出して……噓です。顔を出しまくってしまった結果、"子力"ではなく、その上位互換である"母"が目覚めてしまったのだ。

「でもね、私はいいと思うの。こうやって甘えられる時間は有限なんだから。甘えられる時はたっぷり甘えなさい。貴はいつだって私の娘よ」

沙雪ちゃんの"母"がやばい。もうそれだけしか言えない。どの母よりも"母"をじる。久しくじていなかった溫もりがすぐそこにある。抵抗するなんて烏滸がましい。私は素直にその恩恵をれたいと無意識に呟いた。

「ママ……」

心の中ではどう思っていようとも、この"母"の塊である沙雪ちゃん……沙雪ママには勝てない。

「寂しかったのね。大丈夫よ、私がついてる。莉奈を悲しませたりしないから」

沙雪ママはそう言うと、私を元に引き寄せて頭をで始めた。その手つきはどこまでも優しくて私を歓迎するように包み込んでくれる溫もり。

「ママ……ありがとう……大好き……」

どうやら沙雪ママは私がずっと抱えていた悩み事に気付いていたようだ。実は私が極度の人見知りだと言うことに。

普段の私は自分を偽って演じてきた。だから、偽であって本じゃない。人見知りだと馬鹿にされないように偽っていただけなのだから。でも、沙雪ママは見破ってくれた。本當の私を見てくれた。

なら、もうこの溫もり以外はいらない。沙雪ママだけでいい。全て投げ捨てて沙雪ママの子供になる。他のことはどうでもいい。沙雪ママの前では邪魔であるのだから。

「私もよ。莉奈が好き。私の元に來てくれて嬉しいわ」

「ママ!」

極まった私は沙雪ママに力強く抱きつく。沙雪ママは驚く素振りをしたが私を抱き返してくれる。まるで、自分の寶を扱うかのように。

「いい子ね。素直で可い娘を授かれて幸せでどうにかなっちゃいそうだわ……」

「ママ! 私もお母さんがママでよかった! こんなにも私のことを思ってくれるから、大好き」

「莉奈!」

「ママ!」

沙雪ママと私はひしっと抱きついた。お互いが掛け替えのない存在だと認識するように。

**********

俺ーー沙雪は困していた。

気付いたら莉奈さんが俺に抱きついて「ママ!ママ!」と連呼してくるのだから。まぁ、可いからいいんだけど。

そこで、不意に頭の中に直接聲を掛けられる覚に陥った。

『初めまして沙雪さん』

うおっ! 何だ? 急に來るからびびったぞ。

『それはごめんなさい。まずは名乗るわ』

うん。

『私は沙雪さんの中に存在する"母"そのものよ』

それは、名前なのか?

『それはいいとして』

名乗る意味無いな!

『でも、只の"母"じゃないわ。沙雪さんの中に存在する"母力"が高過ぎて、私は"母"じゃなくなったわ』

なんで、さっき"母"って名乗った!? というか、"母力"って。

『それもいいとして』

良くねぇよ……。

『莉奈が沙雪さんを刺激したことによって、沙雪さんに存在していた"子力"は進化して"母"になったのよ』

ポケ○ンかよ!

『それをイメージして貰えばいいわ。その"母"は只の"母"ではなくて、努力値極振りの"母"だったのよ』

わかりやすいな。というか、何で努力値極振りになってるんだ?

『莉奈さんからけてるスキンシップのおかげね』

なんとなく分かった。

『それも、いつもギリギリで止めてしまうのよ? 進化する直前でBボタンを押しているようなものなのよ?』

これは紗香がBボタンに収まるな……。

『でも、Bボタンは無くなり進化は開始した。それと同時に特殊進化も実行されたのよ?』

特殊進化? 何の條件だ?

『達すること』

聞かなかったことにしよう。

『莉奈に首を舐められて達してしまったのよ』

言うなよぉ。確かに、舐められた時凄く気持ちよかったが……って、何言わせてんだ!

『勝手に言いましたよ? 』

もう、知らん……。

『無駄話はさておき、私は通常の進化と特殊進化を一変に行ってしまったのよ』

それは、なんかロマンがあるな……。

『通常でしたら"母"に進化します。しかし、努力値極振りに特殊進化、どうなると思います?』

ぶらずに教えてくれ

『死ぬかと思いました。至る所がボキボキと鳴ってが作り変えられるんです』

怖っ!?

『私はそれを経てなったのです。世界の頂點の……』

頂點の?

『神様に』

へ?

『改めて名乗りましょう、私は神の一柱、"母神"。お気軽にリンネとお呼び下さい』

どうやら、俺の"母"とやらが神様になったようです。というか、名前あったのかよ!

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