《朝起きたらの子になってた。》神の宣告

『名前はありませんでしたよ?』

じゃあ、そのリンネという名前は何なんだ?

『可いでしょう?』

そうじゃねぇよ。

『では、一何だと言うんですか?』

こっちが聞いてんだよ!

『それは置いといて』

置くなよ。何個置いてると思ってんだ。

『莉奈はとても寂しい思いをしていました』

スルーしちゃうのね……。まぁそれで、どうして莉奈さんが寂しい思いをするんだ?

『あの子は極度の人見知りで親と話す事も難しかったのです。でも、それではいけないと本當の自分を隠して偽の自分を演じてきました。だから、本當の自分を見てくれる人は誰もいない。その事が悲しくて寂しかったのです』

莉奈さん……。

『でも、大丈夫です。私が心の傷を癒しておきました。だから、沙雪さんには本當の莉奈と接してしいのです』

ん……? 莉奈さんが俺をママって言ってくるのはひょっとして……。

『……』

なんか言えよ! 俺の"母神"なんだろ! 後始末は俺に任せる気か!

『嫌ですね〜 俺のだなんて。上代リンネと名乗りましょうか? ふふふふ』

……うん、無視しよう。

"母神"とか下らない存在は、この際無視して今の現狀をどうするか考える。と言っても、莉奈さんは「ママ! 大好き!」と言って甘えてくるばかり。どうしたらいいか……。

『オムツを履かせましょう。子供なら親にお手れされたいはずです。もし、難しそうなら頭の中で私を思い浮かべて練習臺にしても良いですよ?』

今、悪魔の囁きのようなものが聞こえたが気のせいだろう。俺は気を取り直して莉奈さんと対面する。

「莉奈さん」

「え……」

あれ? 名前言っただけで凄く悲しい目を向けられてしまったぞ? 

『莉奈は沙雪さんを母親だと思っています。母親から他人行儀な呼び方されたらどう思いますか?』

意味わからんけど、後で覚えてろよ……。

心の奧底で復讐心を溜め込むと、俺の中の母親像を想像して行に移す。

「莉奈よく聞いてくれ……いや、聞いてね」

「うん」

「俺……私にも同じようなことがあってね」

「ママ?」

「詳しい事は言えないけどその時は辛かった、苦しかったよ。どうして、気付いてくれないんだって怒ったりもした。それも、ずっと何も言わずに心配してくれてた人に八つ當たりして。でも、それでも、その人は変わらずに接してくれた。そのことがとっても嬉しかった」

本人には言えないが、事実救われていた。こんな俺なんかといて何が楽しかったんだろうか。そんな俺の言葉に莉奈は寂しそうな表をする。

「ママも同じだったんだね……。私も人見知りで誰とも話せなかった。だから、変わったの。でも、それは本當の私じゃない。ただ演技をしていただけ。それに気付いた時はとっても悲しい気持ちになってた。だけど、ママは気付いてくれた」

莉奈は俺に向かって笑みを浮かべて言った。

「本當の私を見つけてくれてありがとう。ママもママを救ってくれた人が好きなんだね」

「あ、えっと、うん」

言われてみればそうなのだろう。俺はあいつのことを好きなのだろう。でも……。

『なるほど。沙雪さんは好きなのですね。だから、地味っ子ちゃんでしたっけ? その人の告白にはじなかったのですね。ですが、萌えてはいましたね』

なんで知ってんだよ……。

『神ですので』

口の軽さは紙だな。

重も付け加えましょう』

知らねぇよ……。

『冗談はさておき、真剣な話をしましょう。近々、大きなイベントが舞い込んで來ます。そのタイミングまでには自分の気持ちの整理はしておいて下さい。そうしなければ』

しなければ?

『後悔する事になるでしょう』

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