自分の心の中で宣言した後、晩飯が出來たと母さんに呼ばれたので１階までやって來た。風呂とか晩飯等、々することをしてからゲームでもするかと思い直していると、紗香が私をチラチラと見て來ていた。気になって紗香に視線を向けると目が合った。その瞬間、すぐに目を逸らされた。まるで、親に構ってしそうな子供のようだ。

その様子が微笑ましくて笑うと、顔を朱に染めてこちらを見なくなってしまった。その一連の流れを見ていた母さんは何かを察したらしく、紗香を生暖かい目で見ていた。

しばらくすると玄関の方から音が聞こえてくる。

「ただいま」

「おかえりなさい」

姉貴が帰って來た。

姉貴は家に帰ってくると自分の部屋に行き、バックを置いてリビングにやって來た。……下著姿で。

まぁ、いつもと変わらないので追及しない。

「なぁ、聞いてくれ。今日は変なジジイが店にやって來てーー」

と、いつもと同じように愚癡を帰ってきてから早々に言う。接客業だから普通の仕事よりストレスが溜まるのだろう。

「あら、それなら私も同じような験をしたことがあるわ。そうね、あれはーー」

と、母さんが昔の出來事を思い出しながら話す。そのいつもの日常の景を今は見ていて楽しいと思う。思い返してみれば、いつから私は道を踏み外してしまったのだろうか。今思えばバカバカしいと言える。それもこれも男の時にじていた重りがの子になって軽くなったからだろう。他の言葉で代用すれば、の丈にあった場所に収まったと言えるかもしれない。

「ーーなぁ、沙雪もなんかないか？」

「ん？ ごめん。考え事してた」

「私の話を聞かずに考え事とは……って、ん？ 何か変わったか？」

「変わった？」

「なんて言えばいいんだ？ 何かこう、あぁ、分かんね」

姉貴が考える事を放棄した。その後、ふと誰かの視線をじた。出所を確認すると母さんだった。母さんは何かを見極める目をしてこちらをじっと見てくる。すると、口元がき何らかの言葉を紡いでいく。それはーー

か・わ・い・ら・し・く・な・っ・た。

私はその言葉をけてどう返したらいいか分からなかったので、取り敢えず笑っておく。

「……元男だったが故に、無意識に可く振る舞える方法を知っているのね」

「え？」

「何でもないわ」

それにしても自分でもよく分からないが、可いと言われると嬉しくじる。これもの子だと認めてしまったからだろうか？ だからと言って男にをするわけではないが……。というか、私は今でも対象はだ。男と一夜を共にするとか冗談じゃないぞ。

「沙雪？ 凄い怖い顔してるぞ」

「そうだった？ ちょっと変なこと考えてた」

そんなこんなで今日の晩飯の時間は久しぶりに心の底から楽しいと思えた。

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「ルンルン♪ルンルルン♪」

晩飯を食べ終わり、自分の部屋に戻ってきた後、今日、紗香に元からの子が住んでいたような部屋にされてしまったので、どんながあるのかしていたのだが……。

私の心が暴走してしまった。

仕方ない。クローゼットの中が可い服がいっぱいで飽きないのだから。今は、白のブラウスと黃のフレアスカートを組み合わせて自分のに押し當て、これまた増えていた姿見で確認している。

「これにカーディガンもれてみたらもっと可いかも……」

１日前の自分なら何やってるんだと我に返っていそうだが、今の私はこれが素である為、そんなことは思わない。むしろ逆で、もっとんなコーデを探したいと思っているほどだ。

「髪型も変えればもっと選択肢が増えるかも……」

めんどくさいと思ってシンプルに結んでいた髪を解いて、いくつか作ってみる。

（そういえばこのサラサラの髪だって、紗香にお手れの仕方を教えて貰ったからで……）

持続していたのは紗香にぐちぐち言われるからだ。ありがとう、過去の自分！ 紗香に反発してなくて！

そんな訳でお灑落を楽しんでいると、ふいにドアがノックされた。

「何？」

「し私の部屋に來てくれないか？」

姉貴のようだ。

「分かった」

私は服をクローゼットに収納すると、姉貴の部屋に向かった。