《朝起きたらの子になってた。》裏の出來事

「それでは一週間後」

「うん、またね」

タクシーで家まで送ってもらったが、帰り際の一言以外は何も喋らなかった。時刻は16時くらいでおやつの時間からし経った時間だ。休みの日のこの時間ならすぐに自分の部屋に引きこもってネットゲームをしているが今はそんな気分ではなかった。

自分の部屋にると畳んである布団の上にドサっと飛び込んだ。家を出る前は気軽なじだった。麗華と花凜で三人で遊んで楽しむはずだった。

なのにーー

「花凜……」

デートする前は花凜の告白は斷ろうと思っていた。初っ端から告白された時はずっと想っていたこともあり、このまま振っては可哀想だと思ってお試しと言い訳して諦めてくれるのを待っていた。

でも、一緒にいるうちに心地良くなっていく私がいた。そして、決定的になったのがイルカショーの時だ。

私のために怒って、守ってくれた。

を張って助けた事は何回かあったけど、助けてくれたことなんて一度もなかった。

その後からはドキドキの連続だ。だけど、それさえも花凜には見破られて……。

私はスマホを取り出すと、買いに付き合ってた時に電話番號等の連絡先を換して手にれた花凜のLIMEのアカウントを見る。トップ畫像は大分前に行った花凜の家(ビル)から撮られた夜景だろう。私はトーク畫面を開いて今日の想とか何か送ろうか迷って結局何も送らなかった。

そして、私はスマホから目を離して布団に顔を押し付けた。

初めて人を心の底から好きになった。世の中のの子はこんな気持ちを抱いているとは思っていなかった。

シミュレーションゲームで可い子を好きになって告白するのとは訳が違う。だって、あれは架空の存在。絶対に敵わないだって分かっているからだ。

でも、と無縁の生活を送ってきた人が現実のを知ってしまうとどうなる? 

苦しい。

こんなにも心の底から會いたいと思ってしまう。一緒にいたいと思ってしまう。

でも花凜は一週間後だと言った。一週間後にまた告白するとも……。私はそんな焦らしプレイは好きではない。やるならこそぎやってほしいタイプだ。でも、好きな人がそう言ったなら仕方ない。

だから、私の返答はもう既に決まっている。

********

《花凜視點》

沙雪を見送った後、タクシーに行き先を伝えて自分の家に向かう。その間にスマホを見ると一件の著信履歴があった。妹の麗華だ。LIMEの方では麗華がスタンプを沢山送りつけてきて悔しさが滲み出ているのをじ取ってし笑ってしまった。そうしている間にも家の前に著いたので代金を払って、タクシーを降りる。

そこで私は麗華に電話を掛けた。

「もしもし……」

『お姉様! 無視するなんて酷いです。スタンプ送りつけても無視しますし、電話しても無視しますし、わたくし寂しかったですわ』

「ごめんなさい。後日、埋め合わせします……ところで風邪は治りましたか?」

「もうとっくに治ってますわ。大、お姉様は……』

その後は今日の事には関係ないお叱りをけ続けた。でも、全く反論が出來ない。心の何処かで麗華の言ってる事が正しいと分かっているからだ。だが、それだけでなく、麗華がいたから今の自分がいると自覚しているから負い目をじているのもある。

『……今日はこのぐらいにしておきます。ところで、何の用件ですか?』

やっと、本題にれる……と思ったが、口に出したらまた、攻撃をける事になるので抑えた。

「紗香さんの電話番號を知っていますか?」

『紗香さんですか? 知っていますけど何かあるのですか?』

「えぇ、し話したい事があったので……」

それからというものの麗華から紗香の電話番號を教えて貰い、もう家の前にいる事を告げてから電話を切った。

そして、自宅(ビル)のエレベーターに乗ると、再び電話を掛けた。

********

《紗香視點》

「はぁぁ〜〜」

溜息ばかりが口の中から排出される。

幸せが逃げると言うが絶賛、幸せは逃避行している。沙雪の事を思うと獨り占めしたい、私のものというような獨占したい気持ちが溢れてきてしまう。私はそのが怖い。沙雪が他の人を好きになって付き合い始めたら、いつ沙雪に牙を剝くか分からない。守りたい人を傷付けたら本末転倒である。

ベッドの中でもそもそしているとスマホが震えた。

「誰?」

知らない番號からの電話でし警戒する。

「もしもし……」

『お久しぶりです』

凄く綺麗な聲だった。でも、どこかで聞いた事がある。

「どちら様?」

『これは失禮しました。麗華の姉の花凜と申します。以前は夕食にお招き頂きありがとうございます』

「こちらこそ、ありがとうございます」

『単刀直に言います。私は樹さん、いえ、沙雪が好きです』

「そ、そうですか。ということは沙雪のことは知っているんですね」

『はい、ずっと前から知っていました』

「そうですか……」

私は電話に応じてからたった數十秒で、先程思っていた事が現実に起きてしまい何とも言えない気持ちになった。

「その事を私に言って何の返事をすればいいのですか?」

『ただ、お禮が言いたかったのです。紗香さんがいたから今の沙雪は幸せそうな顔をしているんです』

「私は何もしていません」

『……話してみてその様には思えませんでした。それに、沙雪は紗香さんにしてます・・・・・』

「……出鱈目なこと言うんですね。私たちは兄妹でしたが今は姉妹です。その様なは持ち合わせて……」

『はぁ……』

私の言葉を遮って大きな溜息をついた。そんな事をしたら幸せが逃避行してしまう。

『なんか々と面倒になりましたので、愚癡りたいと思います。……そうやって、気持ちを隠しといてラスボスみたいに立ちはだかるのは迷です。私はそんなフラグ全てぶち壊してラスボスなんて登場させません。それに、沙雪のこともそうです。こんなにもしてくれてる妹がいるのにその本當のにも気付かないで、娘扱いしてるんですよ? 全部、都合のいい様に解釈して逃げてる』

さり気無く、私を貶している様に聞こえたがそれどころではない。

「沙雪は私のことを娘扱いしているんですか?」

『そうです』

「じゃあ、私のことをしてるって言ったのは……」

『羨ましいですね。私は言われた事がありません』

何だか、私の中で消火されそうな火に油を注ぎ込まれる様な覚がしてというかんなものが発しそうだ。その時に花凜から燃料のプレゼントをされた。

『獨占したいという気持ちに怖くならないでください。それはしてれば絶対に思います。私も沙雪を獨占したい気持ちがあります。だから、私と戦って奪い合って下さい』

それは一種の宣戦布告だった。

それに思い出した。沙雪ちゃんとの約束を。

「……後悔しても知りません」

『ッ!?』

「あなたがどれだけ沙雪を思っているのかは知りませんが、そんなちゃっちい想いじゃ私には敵いません。悪い蟲は即刻潰します」

それだけ言うと一方的に私は電話を切った。そして、先程掛かってきた電話番號を『悪い蟲』と登録した後、私は狩に行く心で部屋を後にした。

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