《朝起きたらの子になってた。》デートしよ!
「ねぇ、沙雪?」
「は、はい」
腕の中でビシッと背筋をばす沙雪が可くて、つい力をれて抱きしめてしまう。沙雪と著している今の狀態はとても至福でどうしようもなく沙雪が好きなのだと実してしまう。
「私ね、沙雪のことが好きなの」
「はい!」
「そんな沙雪にも好きな人ができたのは知ってる」
「はい……え……?」
「宣戦布告されたの。その人からね。だからこのままじゃ駄目だって気付かされた」
「どうしてそんなこと……」
「そんなの私が知るわけないじゃん」
「ごめんなさい!」
沙雪は私の心を知ってか知らずかビクビクと震えている。さっきまでの余裕そうな態度から一転しているので新鮮である。
「許してしかったら一つ聞いてくれる?」
「出來る範囲でなら……」
その返答に私は満足すると沙雪から離れてその場で立ち上がる。
「明日ーーデートしよ!」
********
翌日
雲のない青空の下で待ち合わせ場所である遊園地の場口付近で沙雪は立っていた。それを場口に並んでいる何十人かの好奇な視線が捉えている。そこに偶然を裝って話し掛けようとしている人もいたが、沙雪の小學生並みの長と周囲の目線も相俟って話し掛けられずにいた。なにより、警備員が目をらせている。
そういう私は遊園地に到著後、沙雪を見つけ聲を掛けようとして……死角になるところで項垂れた……。
いやいや、今のは見間違い……。
私は決心を決めてもう一度、沙雪に視線を向けて……再度項垂れた。
な、なんなのあの可いは?
私より遙かにの子歴が短いのにオシャレ慣れしている格好は? 泣くよ?
そう、沙雪の外見はどこからどう見てもオシャレ好きな子小學……中學生だった。あんなにスカートは嫌だと言っていたのに丈が長いチュールスカートをに付け、肩出しのレースシャツを著てる。その上、一丁前に日傘をさしてる。
まじまじと遠くから観察していると、何かに気付きごそごそとカバンを漁り始めた。手に取ったのは日焼け止めクリーム。日焼けに関しての配慮は……なるほど、もうの子だ。
私は考えるのを止めて、トボトボと沙雪のもとに向かった。
「おまたせ、沙雪……」
「あ、紗香。って、どうしたんだ?」
「何が?」
「いや、凄い顔が引きつってるから」
「……例えてみるなら、1、2回行った友人の家全の配置を完全に覚えてる人を見た気持ちかな」
「怖っ……それで何かあったの?」
両手を後ろに持っていき、こてんと首を傾げて上目遣いで見てくる沙雪は完全に可らしいの子のきで敗北を味わった。そして、私は吹っ切れた。
「もぉぉ! こんなに可くなって! 私に対する嫌味か! そんな可い子にはちくちく攻撃だ!」
そう言って、私は人差し指を無防備になっていたお腹に突っついていく。
「ちょっ、地味に痛い」
「しはその可さホルモンを私に分けろ」
「紗香だって可いよ」
「そんな軽く言われても全然嬉しくない」
「とっても可い……」
「え……?」
まさか、そんな甘ったるい聲で言い返されるとは思っておらず、攻撃を止めてしまう。
「私のためにお灑落してくれて嬉しいと思ってる。でも、それよりも、紗香に好きって言われた時、なんて言うか恥ずかしかった……」
「っ!?」
私は思わず沙雪から視線を外す。
待て待て待て待て。
頬を真っ赤に染めて恥ずかしそうにしちゃダメだって。ただでさえ可いのにもっと可くなっちゃダメだって! あぁ……刺激が強すぎる。私にはまだけ止められそうにない。今日のデートは失敗したかもしれない……。
「……だから」
「ふゅっ……」
いきなり手を握ってくるから、なんか変な聲出ちゃったよ!
「今日は楽しもうね」
ってる……。沙雪の笑顔がってる……。
後ろに神々しさすら覚える神が佇んでおられる……。
サラサラサラサラ……。
私はそのを前にしてチリとなって飛ばされていった。
********
人混みの多い中、何とか遊園地の中に場すると私は近場にあるベンチに紗香を座らせた。
場口に並んでる最中、顔が悪かったから終盤とはいえ、この夏の暑さにやられたのだろう。私は日傘の中に紗香をれてあげた。
今日、日傘を持ってきた理由は、昨日の花凜とのデートでし日焼けしてしまったからだ。だから、持ってきておいて良かった。
「紗香、大丈夫か?」
「無理……お兄ちゃん・・・・・ギュってするね」
「うぇ?」
「ぎゅー……」
「さ、紗香!?」
紗香は小學生低學年・・・・・・の時の様な態度で腰に腕を回して、お腹に頭をり付けてくる。り付けてくるごとに紗香から甘い香りが漂ってきてなんだかむずくなる。だが、何かに気付いたらしくばっと頭を離した。
「お、お兄ちゃんじゃない!? ご、ごめんなさい。いきなり抱きついてしまって!」
「だ、大丈夫だけど……」
って、なにこの狀況!
紗香どうしちゃったの!
と言える訳もなく、私は紗香を観察していると辺りを見渡し始めた。
「お兄ちゃんどこ……」
ズキューン
昔、かくれんぼをしていた時に何度もその表を見た。その表に何度、心を撃ち抜かれた事か。
私を見つけられそうにない時、泣きそうになった時に涙目になって言うのだ。だから、私はその可さに負けてかくれんぼで紗香に勝ったことがない。
「ねぇ、紗香?」
「なに? お姉さん・・・・?」
「っ!?」
何故だか紗香は私のことを忘れているみたいだ。
それにお兄ちゃんは『樹』の時の私だ。紗香が私のことを覚えていない事にがジンジンと痛む。
私は気を紛らわせて紗香に話し掛けた。
「もし良かったら、私と一緒にお兄さん探そっか」
「いいの……?」
「うん。私、一人・・で遊びに來てたから一緒に行こ?」
「う、うん! ありがとう、お姉さん」
紗香はベンチから立ち上がると、私の手を摑んだ。
こうして私と紗香の絶対に見つけられない人探しというデート?が始まった。
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