《朝起きたらの子になってた。》大丈夫
それからというものの憂鬱な気分で遊園地にいたのが噓だったかのように紗香は楽しんでいた。そして、私は噓のようにお菓子を貰い続けた。3袋目からは考えるのを放棄した。
「──そういえば、義姉ちゃんはどうして一人で遊園地に來たの?」
呼び方もお姉さんから義姉ちゃんになった。どうやら、私は紗香のお気にりになったらしい。このままでは上代家に嫁りする事になる。自分の家に嫁りとは不思議な気分だけど。と言っても、その相手は私なんだけど。
「えーっと、気分転換的な?」
「そっか。私は気付いたらここにいたよ」
(それは怖い)
「いつもお兄ちゃんによく連れてきて貰ってたから、無意識で來ちゃったのかも……」
たしかに連れて行った記憶がある。パンダカーにいくら取られたか分からないぐらいには。
「ねぇ、義姉ちゃん、最後にあれ乗らない?」
そう言って紗香が指差したのは夕暮れ時という事もあり、綺麗にイルミネーションされた観覧車だった。
********
「綺麗……」
「懐かしい……」
観覧車に乗るのなんて久しぶりすぎてそういった想が出てしまった。でも改めて自分達が住んでいる地域を上から見るのは不思議なじがする。見知らぬにビルやマンションが建っていたり、ショッピングセンターやコンビニといった店ができていたりする。
気づかぬにそれだけの時間が経っているのだと改めて実させられる景だった。
「そんなに経ってたんだ……」
「義姉ちゃん? どうして泣いてるの?」
「え……?」
紗香に指摘されて初めて気付いた。ぽろぽろと頬を伝って流れ出す雫の正に。
「どうしてなのかな……」
の子になってから表の作が全くできていない。表かになったといえば、聞こえはいいがこの部分は治ってしい。弱さは出しちゃいけない。本當の涙は出しちゃいけないんだから。
その時になって思い出すのはまだ生きていた頃の父さんの言葉。
『俺がいなくなってもあいつらは大丈夫だろう……と思いたいがそれは無理だな。紗由理は誰もいない所で悲しむだろうし、沙耶はあれで中々寂しがりやだ。紗香は……お兄ちゃんっ子だしお前がいれば大丈夫だろ。悔しいけどな。だから、もしもの時は三人を頼んだぞ?』
その言葉は枷となっていた。
守っていかなきゃならない。
父さんが果たしていた役割を擔わなきゃいけない。
自分が何とかしなきゃいけない。
苦しくても悲しくても何とかしなきゃ。
だから、大丈夫。
大丈夫……
**** ****
《紗香視點》
義姉ちゃんが泣いている。
どうして泣き出したのか分からないけれど、何だかが苦しい。自分の中にいる誰かが早く! と急かしてくる。だけど分からない。何を早くしたらいいのかが全くもって……。
その時になって自分のに験したことのない膨大な量の記憶が埋め込まれていく。
「うぐぅぅ……」
『お兄ちゃん』『お兄ちゃん』『お兄ちゃん』『お兄ちゃん』『お兄ちゃん』『お兄ちゃん』『お兄ちゃん』『お兄ちゃん』…………。
痛いほどの『お兄ちゃん』連呼。誰がこんなに言ってるんだ。そう思わざるを得ない。だけど……それはいつしか変わっていた。
『沙雪』
え……? 
目の前にいる義姉ちゃんがお兄ちゃん? だってお兄ちゃんは家で引き込もって……。
『どりゃぁぁぁぁぁぁぁ!』
『えぐぅ!』
『元の時間に戻れ。ついでだから々やっちゃったけど、貴なら何とかなるでしょ。じゃ、ばいばい』
突風のようなだった。その人が去って行くと、私はどこかに引っ張られるようにして、その場所から姿を消した。
**** ****
やっと戻ってこれた。まさか、過去に飛ばされるとは思ってもいなかった。これも沙雪が可いのがいけない。だから、ちょいとばかり昔のお兄ちゃんにお仕置きしてきたところだ。
それに思い出してきた。
前にも似たような覚えがあったと。それもおそらく──
『私が関係しています』
やっぱりだ。何となくだがそんな事だろうと思っていた。あの一瞬、『お禮するなら、でしいですね』と聞こえた時からずっと引っ掛かっていた。
そうでしょう? お父さん・・・・?
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