《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》宴
「お待たせしました! 準備が整いましたので、宴會場にいらしてくださいー!」
それから。
応接室で待つこと1時間。
思っていたよりも早くに呼び出された俺たちはレミスさんに連れられるがままに宴會場に向かう。
だがしかし
宴會場にあったのはある意味、俺にとって想定外の景であった。
「えーっと……。あの、食とか、そういうのはないんですね」
宴會場の中は応接室と同じように海水がらないような作りとなっていた。
ここまでは良い。
問題なのはテーブルの上に置かれているのが、空っぽの鍋と皿だけで何も用意されていなかったという點である。
「いいえ。食なら沢山、用意しましたよー!」
そう言ってレミスさんが指さす先にあったのは、ガラス越しに広がる海であった。
よくよく見ると海の中はガラスの壁によって仕切られていることが分かる。
「ささ。何でも好きな魚を好きなだけ注文して下さいねー!」
そうか!
そういうことか!
つまりはこのガラスの向こう側は、規模の大きな生簀のようなものなのだろう。
「うふふ。新鮮な海の幸をその場で調理して提供するのが、人魚族流のもてなしの仕方なのです」
面白い試みだと思うのだけど、本當にこのシステムは機能するのだろうか?
流石にこんな大きな生簀になると魚を持ってくるのも一苦労じゃないか?
注文する度に生簀の中を潛らないと料理を用意できないのでは、あまりにも非効率的な気がする。
「はいはーい! それじゃあ注文いいかしら? アタシ、マグロのカルパッチョ、あん肝ポン酢、ウニの浜焼きが食べたいわ!」
お、お前はまたそんな……オッサン好みのプリンが多そうな料理ばかり注文しやがって!
アフロディーテはの神を自稱する割にコレステロールとか気にしないんだよな。
それでも抜群のプロポーションを維持できている辺りに人生の不條理さをじる。
「承知いたしました。お客さまにご注文の品を!」
レミスさんが指示した次の瞬間。
生簀の中に無數の黒影が出現する。
タツノコファイター LV 25/25 等級C
生命力 188
筋力値 293
魔力値 118
神力 230
スキル
水屬魔法(中級)
時速にすると100キロくらいは出ているんじゃないだろうか。
かろうじて黒影の正を見抜くことができたのは、《鑑定眼》のスキルがあったからだろう。
「はーい。ご注文の食材がりましたー!」
な、なんだって!?
早すぎて何が起こったのか全く分からなかったぞ。
純白の調理著(?)にを包んだタツノコファイターが、天井のから次々に降り注ぐ食材を調理していく。
タツノコファイターSUGEEE!
その結果。
まるで牛丼屋にでもっているのかと錯覚するようなスピードで俺たちの前に料理が運ばれてくることになった。
「う、味い!」
おそらく保存方法が良いのだろうな。
カルパッチョはマグロだけでなく使われている野菜も新鮮そのものであった。
あん肝って生で食べたらこんな味がするんだ!
口の中でふわりと溶ける濃厚な味わいは、まるでフォアグラを食べているかのようであった
考えてみればウニを食べて味いって思ったのも初めての気がする。
ウニと言うと100円の回転壽司のしか食べたことがなくて、個人的には苦手な味だったんだよな。
「皆さまのためにこんな飲みを用意しました~」
「これは……?」
そこでレミスさんが持ってきたのは、明のがった一升瓶であった。
「ごめん。俺は未年だからアルコールはちょっと……」
「いえいえ。これは《天狗の清水》と言ってお酒とは似て非なるものです。だから未年の方が飲んでも全く問題ありませんわ」
「そうなの?」
「僭越ながらもご説明いたします。天狗の清水というと、魔族の間に伝わる特殊な飲料です。酒類と似ていますが、分が異なるため完全に合法です」
「…………」
なんだその都合の良い飲み!?
でもまぁ、俺より長く生きているキャロライナとレミスさんが問題ないって言っているんだから問題ないだろう。
おそるおそるコップを口の中に近づけてみる。
味い!
ほんのり甘くて後味はスッキリ。
飲んだことないけど、たぶん日本酒っていうのはこんなじの味なのだろうな。
調子に乗った俺はその後もガブガブと天狗の清水を飲み続けるのであった。
~~~~~~~~~~~~
「ゾ~タ~! 熱い~! 熱いわ~!」
「ウハ~! 海外石の床でゴロゴロ……幸せッス!」
「キャロライナ様……どうかお許しを……」
それから1時間後。
慣れない飲みを口にしたせいか俺たち一向はすっかりと出來上がっていた。
それぞれの酔い方の違いを観察していると面白い。
アフロディーテって酔っ払うと服をはだけさせる癖があるんだな。
クッ……。
もうしでエッチなところが見えそうなのだが、肝心な部分が見えないのが殘念である。
シエルはハイテンションのまま床の上をゴロゴロしている。
なんというか……非常に面倒臭いじの酔い方だな。
ロストに関しては泣き上戸なのか、宴會場の隅の方でシクシクと涙を流していた。
未だに逆レイプ事件のことを引きずっているのだとしたらし可哀想になってくる。
「お料理の方はお口に會いましたか?」
料理に舌鼓を打っていると、レミスさんは俺の隣の席に移してきた。
「はい。俺、こんなに味しい料理は生まれて初めて食べました!」
「うふふ。それは良かったです。それではソータさま。あ~ん、して下さい」
「えっ。ちょっ!?」
レミスさんを料理を箸で摑んで俺の口元に運んだ。
さ、流石にそれはまずい気がする。
年齢こそ年上であるが、レミスさんは外見的には中學生くらいのロリである。
そんなロリ娘にご飯を食べさせれもらうなんて犯罪の匂いがしてしまう。
「お気になさらず。これは人魚族流のもてなし方なのです」
そうか!
人魚族の流儀であるならば仕方がないな。
郷にいては郷に従え。
これには別に変な意味はない。変な意味はないのである。
「わ、分かりました。あ~ん」
俺が料理を食べた次の瞬間。
更に驚くべきことが起こった。
「うふふ。ソータさまは可いですね」
何を思ったのかレミスさんは……俺の頭をナデナデしてくれたのである。
その瞬間――。
俺の脳裏に投影されたのは、圧倒的な大宇宙の景であった。
綺麗な蒼の彗星が地球に向かって降り注いだ次の瞬間――。
俺はこの世界の真理に辿り著くことができた。
ああ。そうか。
ようやく分かったよ。
レミスさんは俺のママになってくれるかもしれないの子なんだ!
「ママアァァァァァ!」
極まった俺はそのままレミスの膝の上にダイブする。
いや、違うよ?
これは天狗の清水の効果でテンションがハイになっているだけだからな?
人間っていうのは、真面目なやつほど酔うと格が変わるものなのである。
逆説的に考えると、酔うとの子に甘えたくなってしまう俺は超が付くほどの優等生なのだろう。
「あの、いえ……。わたくしは別にソータさまの母親というわけは……」
これはまずい!
流石に調子に乗り過ぎただろうか?
唐突な赤ちゃんプレイのスタートに流石のレミスさんも若干引き気味である。
「ママアァァァァァ! ママアァァァァァ!」
ええい。
しかし、ここまで來たからには後に引けん!
なるべく酔った演技を作りながらも俺は、渾の『ママママ攻撃』で強行突破を試みる。
「もう、ソータさまったら甘えん坊さんなんですね」
作戦功!
俺の執念に負けしたのか、ついにレミスさんは、赤ちゃんプレイをけれてくれたようである。
初めて會った時から思っていたのだけどレミスさんは外見の割に大人びているというか、母本能に溢れているじがする。
流行の言葉で説明すると『バブみ』があるって言うのかな?
レミスさんには一緒にいると、甘えたくなってしまう魔の魅力があった。
「マァ~マ! マァ~マ!」
「はいはい。ママですよ~。なでなで。なでなで」
モッチリとしたレミスさんの膝上に頭を乗せた俺は至福の一時を味わっていた。
「ソータさまは良い子ですねー。そろそろおねんねしましょうか?」
全の酔いが限界に達したのだろう。
レミスさんのの中に顔をうずめた俺は、そのまま意識を途絶えさせていくのであった。
- 連載中411 章
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