《異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育しています ~》魔王討伐クエスト
魔王城が出現してから翌日のこと。
當然ながら冒険者ギルドは空前絶後の騒ぎになっていた。
「おいおい。これはエライことになっちまったな」
「まったくだ……。今のうちにオレ……田舎に帰ろうかな……」
魔王城の出現にとって不安に駆られた人たちが職業を問わず集まっているからだろう。
大勢の人間たちがギルドの中に押しかけた結果、部屋の中はムワッとした熱気に包まれていた。
「どういうことだよ! オレたちが魔王討伐クエストをけられないって!」
「ふざけるのも大概にしろ! オレたち冒険者が町の平和を守らなくて、誰が守るっていうんだ! ああん?」
魔王城の出現をけた人々の反応は大きく分けて2パターンある。
1つは魔王城という未知の存在に対して距離を取ろうとする者。
もう1つはこの機會をチャンスと捉えて、我先にと功績を挙げようとしている者であった。
「うわっ。本當にあるよ。魔王討伐クエスト……」
溢れんばかりの人ゴミを押し分けてギルドボードを確認してみると、目的の張り紙はそこにあった。
☆急クエスト
●魔王の討伐
必要R :A
功條件:サラス海岸上空に出現した魔王城の探索
功報酬:応相談
繰り返し:不可
(備考)
魔王城の探索には高価な『浮遊石』が必要なので候補者は絞る予定。
魔王討伐の必要クエストランクはA。
どうやらDランク冒険者である俺には無縁の仕事らしい。
これまでの急クエストは1人でも多くの冒険者がけられるようにということで必要ランクがGだったのだが、魔王城に送迎するコストがギルド持ちとなっている以上、無條件に參加させるわけにはいかないのだろう。
「邪魔だ! 邪魔だ! そこをどけ!」
おやっ。
たしか……この聲は……!?
聞き覚えのある男の聲がしたかというと、騒がしかったギルドの中が水を打ったように靜まり返る。
「やばいぞっ。道を開けろ!」
「ベジルタ兄弟だ! 逆らったら殺される!」
突如としてセイントベルの街の凸凹冒険者コンビ、ベジルタ兄弟であった。
人は見かけに寄らないということだろう。
外見だけで言うとネタキャラにしか見えないが、何を隠そうこの兄弟……Aランク冒険者としてセイントベルの街では名の知れた実力者なのである。
「へへっ。兄貴っ。ついにこの時が來ましたね」
ジャガイモのような型をしたベジルタ(弟)は、鼻息が荒くしながらもカウンターで付を始める。
「ガハハハ! オレたちベジルタ兄弟の名が世界中に轟かせてやろうぜ!」
ゴボウのような型をしたベジルタ(兄)は、椅子の上にふんぞり返りながらも豪快に笑い始める。
そうか。
ベジルタ兄弟はAランクの冒険者だから『魔王討伐クエスト』をける資格が一応あるわけだな。
「おい。見ろよ。ベジルタ兄弟が魔王討伐クエストを注しているみたいだぞ」
「あの兄弟ならもしかして……本當に魔王を倒しちまうかもしれねぇな……」
いやいやいやいや!
流石にそれは魔王さんサイドを舐めすぎだと思うぞ?
なんと言っても相手は、あまねく魔族たちの頂點に立つ存在である。
人類の中で魔王を倒せる可能があるとしたら以前に會った『雙剣のクロウ』くらいのものだろう。
クロウの所屬している『深淵の帳』という組織は、アーテルハイド最強の『魔族狩り』である。
中には俺のような『異世界から召喚された勇者』も多數在籍しており、『魔王討伐』を目標に掲げて日夜修練の日々に勵んでいるのだとか
……。
…………。
うん。自分で言っていて気付いたんだけど、これ、別に俺が戦う必要ないよね?
この世界には俺以上のチート能力を持った人間たちが沢山いるみたいだし、魔王討伐については暫く保留しておくことにしよう。
未だに騒ぎが収まる様子のない冒険者ギルドの中で俺はそんなことを思うのであった。
~~~~~~~~~~~~
ギルドを出た俺は本日の冒険を共にするの子たちをボールの中から召喚する。
「……それで結局、魔王討伐クエストはスルーして來たっていうわけね」
ギルドの中の出來事を報告すると、アフロディーテは呆れた表を浮かべていた。
「ああ。やっぱり俺は正面から魔王を倒しに行くキャラじゃないかなぁ、って思ってな」
一刻も早く天界に戻りたいと考えている神さまには悪いが、生憎と俺には『魔王討伐』と目標に掲げて命を張れるモチベーションが存在しない。
異世界暮らしも快適になってきた頃だし、魔王討伐は別の人間に任せるのが得策だろう。
「ふ~ん。まぁ、別にいいんじゃない」
「あれ? 怒らないんだな?」
「え? どうしてアタシが怒る必要があるのよ?」
「???」
「???」
アフロディーテの表は、本気で何を言われているか分からないじのものだった。
もしかしてコイツも俺と同じ……異世界暮らしが楽しくなってきて魔王とかどうでも良くなってきたタイプか。
今のところ自分の気持ちに無自覚なようだが、指摘すると面倒なことになりそうなので黙っておくことにしよう。
「それでソータさん。魔王城に行かないとなると、今日は何処に行くんスかね?」
「ああ。魔王関連のクエストでちょうどいいのを見つけたんだ」
本日、俺が注したクエストは以下の通りである。
☆急クエスト
●インプの討伐
必要R :G
功條件:サラス海岸に出現したインプを1匹討伐すること
功報酬:8000コル
繰り返し:不可
どうやら先日、サラス海岸に出現した魔王城の影響で浜辺にインプという魔が大量発生しているらしい。
討伐報酬は驚きの1匹8000コル。
このクエストは魔王を倒して名を上げようとしている冒険者にとっても、魔王に怯えて距離を取ろうとしている冒険者にとっても人気がなく、ギルドとしても報酬を上げざるを得なかったというわけである。
「流石はソータさんッス! コバンザメ思考というか……小心者というか……」
放っておいてくれ。
大、『魔使い』の貧弱なステータスでどうやって魔王を倒せって言うんだよ……。
心の中でツッコミをれながらも俺はステータスを確認する。
カゼハヤ・ソータ
職業 魔使い
レベル 595(↑8)
生命力 275(↑5)
筋力値 100(↑1)
魔力値 218(↑4)
神力 3093(↑40)
加護
絶対支配
スキル
カプセルボール 鑑定眼 魔配合 コンタクト 神作 スキルレンタル 変
使役
アフロディーテ
キャロライナ・バートン
シエル・オーテルロッド
ユウコ
ロスト・トリザルティ
レミス・リトルフォールド
ワーウルフ
アダマイトゴーレム
ケダマロ
ワイバーン
クラーケン
ゴブリンナイト ×15
ライトマッシュ ×6
キツネビ ×4
マッドマッシュ
スパイフィッシュ
先日レミスさんをゲットしたことによって俺のレベルは大幅に上がっていた。
けれども、そこはハズレ職業『魔使い』。
上昇するステータスの數値は微々たるものである。
こんな程度のパワーアップでは魔王はおろか、元魔王軍の師団長レベルを相手にするのも厳しいだろう。
「……賢明な判斷だと思われます。おそらくあの空に浮かぶ魔王城の中に本の魔王はいませんから」
「えっ。そうなのか?」
何時ものことながらキャロライナは不思議なことを言う。
キャロライナの口ぶりはまるで本の魔王が何処にいるのかを知っているようなんだよな。
「はい。これはあくまで私の勘ですが……あの城の中にいるのは、魔王の名を騙る不屆きものに違いありません」
珍しくの籠った口調でキャロライナは斷定する。
キャロライナがそう言うのならば余計に魔王を倒しに行く必要がなくなったな。
そうだよ。
魔王が復活しようと俺のすることは何一つとして変わらない。
何時ものように『のんびり&まったり』異世界を満喫することにしよう。
この時の俺は呑気にも、そんなことを考えていた。
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