《《完結》勇者パーティーから追放されたオレは、最低パーティーでり上がる。いまさら戻って來いと言われても、もう遅い……と言いたい。》9-2.なんで勇者パーティー襲ってんです?
人狼ウェア・ウルフになったネニは、驚異的な能力をしていた。建の屋から屋へと跳び移って行くのだ。
オレも同じように跳び移って、後を追いかけた。ネニのようにカッコウ良くはいかないが、幸いにも人間にも通れそうな道ルートだった。
後ろを付いてきているオレの存在に、ネニは気づいているような気がした。
聲をかけてみるべきか?
どうして人狼になっているんだい?
そう尋ねてみるべきか?
しかし今のネニに理はあるのだろうか。人狼の神狀態が、どういうものなのかわからない以上は、迂闊に聲をかけることも出來ない。
萬が一、オレのほうに襲ってきたら、どうしようも出來ない。
今度は都合良く、勇者が助けに來てくれることもないだろう。むろん、前世の記憶だとか、強化師として覚醒するだとか、そんなことが起こらないのも、薄々は勘付いているのだ。
ネニはジッと裏路地を見下ろしていた。
何が見えるのだろうか?
しばらくそうしてくれていたから、追いつくことが出來た。
オレは恐るおそるネニに接近した。人狼の背中は、なんて荒々しいのだろうか。の下で筋が盛り上がっているのがわかる。手の先からは、簡単に人の命を消し去れる爪がびていた。
聲をかけてみるべきか逡巡しているあいだに、ネニは見下ろしていた裏路地へと跳びこんでいった。
「あ、ちょっ」
ネニが見下ろしていた裏路地を、オレも覗きこんでみることにした。
そこには勇者パーティがいた。
前衛剣士の勇者。
前衛盾役タンクのカイト。
後衛魔師のウィザリア。
そして新規參したという強化師のゴルド。
かつてゴルドがいた場所にオレもいたはずなのだ。グスン。なんて傷的オセンチになっている場合ではない。
ネニはその勇者パーティに襲いかかっていたのだ。
勇者たちは、慘殺事件のために夜回りでもしていたのだろう。
なにゆえネニが、その勇者パーティを襲うのか。意味がわからん。何か因縁でもあるのだろうか。
このままではネニが返り討ちに合うのは目に見えている。
オレはしばし屋上から、観戦を決め込むことにした。人狼となったネニは、とてもじゃないがFランク冒険者とは思えないきをしていた。
勇者の剣をかわし、ウィザリアの魔法を爪で切り裂いていた。ヤッパリ人狼に変すれば、運神経とかも上がるみたいだ。
しかし4対1である。
あまつさえ相手は勇者パーティだ。
ネニの攻撃はすべて、カイトに防がれる。あの盾役はそう簡単に崩せない。歩く城塞という異名をつけられているぐらいだ。
そしてネニが疲れを見せはじめたころに、勇者が剣を脇に構えた。そして前傾姿勢になる。あの構えはマズイ。
勇者の奧義、斬撃波、が出る。脇に構えた剣を大きく橫に薙いで、衝撃派を発生させた。剣技と魔法による合技である。
衝撃破がネニに襲いかかる。このままでは直撃だ。
咄嗟のことだった。オレがどうしてそういう行を取ったのか、オレ自でもよくわからない。オレはネニに強化をほどこした。
「金剛鎧」
オレの強化をけたネニのカラダは、勇者の斬撃を弾いた。
「この強化――ッ。まさかッ、なんであんた人狼ウェア・ウルフのこと守ってンのよ!」
勇者はすぐさまオレの存在に気づいて、そう聲を張り上げた。
「いや、その……」
屋上から観戦を決め込んでいたオレは、首を引っ込めた。
さすがに勇者たちが傷つくのは見たくない。以前までオレが世話になっていた――いや違った――世話をしてやっていたパーティなのだ。
さりとて、ネニが傷つくところだって見たくはない。
ネニは跳躍した。
屋上にいるオレのところまで跳んできた。
こうして前にすると、ヤッパリ怖い。正がネニだとわかっていても、スーッと全が冷たくなるような覚をける。
「あ、あの、ネニ……さん?」
ネニはオレのことを擔ぎ上げると、天高く跳びあがったのだった。
あ、オレ、もしかして死ぬかも?
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6/15発売【書籍化】番外編2本完結「わたしと隣の和菓子さま」(舊「和菓子さま 剣士さま」)
「わたしと隣の和菓子さま」は、アルファポリスさま主催、第三回青春小説大賞の読者賞受賞作品「和菓子さま 剣士さま」を改題した作品です。 2022年6月15日(偶然にも6/16の「和菓子の日」の前日)に、KADOKAWA富士見L文庫さまより刊行されました。書籍版は、戀愛風味を足して大幅に加筆修正を行いました。 書籍発行記念で番外編を2本掲載します。 1本目「青い柿、青い心」(3話完結) 2本目「嵐を呼ぶ水無月」(全7話完結) ♢♢♢ 高三でようやく青春することができた慶子さんと和菓子屋の若旦那(?)との未知との遭遇な物語。 物語は三月から始まり、ひと月ごとの読み切りで進んで行きます。 和菓子に魅せられた女の子の目を通して、季節の和菓子(上生菓子)も出てきます。 また、剣道部での様子や、そこでの仲間とのあれこれも展開していきます。 番外編の主人公は、慶子とその周りの人たちです。 ※2021年4月 「前に進む、鈴木學君の三月」(鈴木學) ※2021年5月 「ハザクラ、ハザクラ、桜餅」(柏木伸二郎 慶子父) ※2021年5月 「餡子嫌いの若鮎」(田中那美 學の実母) ※2021年6月 「青い柿 青い心」(呉田充 學と因縁のある剣道部の先輩) ※2021年6月「嵐を呼ぶ水無月」(慶子の大學生編& 學のミニミニ京都レポート)
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