《ルームメイトが幽霊で、座敷。》夏休みと幽霊と天巖戸
「……わかりました。それでは、なんか手掛かりってのはありますか?」
「違うのよ」
「はい?」
「場所は解ってるの。問題は……どう連れてくるか、なの」
ちょっと待ってくれ。このの子、何かに取り付かれてでもいるのか? 何を言ってるのかさっぱりわからないんだが。
「あー、天巖戸あまのいわと伝説ねえ」
「天巖戸?」
俺は碧さんがなんだかつぶやいていたので、尋ねてみた。
「そうそう。須佐之男尊スサノオノミコトとか天照大神あまてらすおおみかみとかが出てくる神話のことよ。……簡単に言っちゃえば引きこもりが世界を変えたのよね」
「端折りすぎじゃないのかそれは?!」
「あ、あのー……さっきからどなたと話してらっしゃるんですか……?」
「あー、そっか」
おれはの子の言葉でようやく現実へと引きずり戻された。たしかにそうだ。この子は知らないんだ。
ってなわけで、種明かしが必要だったりするのだ。
「ちょっと手をだしてみて」
「はい?」
俺に言われて素直に差し出した手に、碧さんは悪戯をする子供のような笑顔(実際それから似たような行為をするのだが)でれた。
その直後だった。
「……なんですか、何もないじゃないですか……ってあわわ! 目の前に和服を著たグラマラスなお方が?!」
「はいはーい! こんちは!」
すげえ気分たけえな。久しぶりに俺以外の人と話せたからだろうか? にしてもなんだかすげえ笑顔だな。よっぽど彼の驚きっぷりが気にったのか。逃げなくていい。むしろ俺の被害がなくなって助かる。
「……あの、その、この人は?! まさかルームメイト、彼?!」
「そーよー」
「を當てるんじゃありません。違うよ。よーく足元を見てみなよ」
そう言われて彼は足元を見て――言葉を失った。
「え……足がない……!?」
「これでわかったろう。彼のこと」
そして、彼は小さく頷いた。
【書籍発売中】【完結】生贄第二皇女の困惑〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜
【書籍版】2巻11月16日発売中! 7月15日アース・スターノベル様より発売中! ※WEB版と書籍版では內容に相違があります(加筆修正しております)。大筋は同じですので、WEB版と書籍版のどちらも楽しんでいただけると幸いです。 クレア・フェイトナム第二皇女は、愛想が無く、知恵者ではあるが要領の悪い姫だ。 先般の戦で負けたばかりの敗戦國の姫であり、今まさに敵國であるバラトニア王國に輿入れしている所だ。 これは政略結婚であり、人質であり、生贄でもある。嫁いですぐに殺されても仕方がない、と生きるのを諦めながら隣國に嫁ぐ。姉も妹も器量も愛想も要領もいい、自分が嫁がされるのは分かっていたことだ。 しかし、待っていたのは予想外の反応で……? 「よくきてくれたね! これからはここが君の國で君の家だ。欲しいものがあったら何でも言ってくれ」 アグリア王太子はもちろん、使用人から官僚から國王陛下に至るまで、大歓迎をされて戸惑うクレア。 クレアはバラトニア王國ではこう呼ばれていた。——生ける知識の人、と。 ※【書籍化】決定しました!ありがとうございます!(2/19) ※日間総合1位ありがとうございます!(12/30) ※アルファポリス様HOT1位ありがとうございます!(12/22 21:00) ※感想の取り扱いについては活動報告を參照してください。 ※カクヨム様でも連載しています。 ※アルファポリス様でも別名義で掲載していました。
8 73【書籍化/コミカライズ決定】婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜
★書籍化★コミカライズ★決定しました! ありがとうございます! 「セリス、お前との婚約を破棄したい。その冷たい目に耐えられないんだ」 『絶対記憶能力』を持つセリスは昔から表情が乏しいせいで、美しいアイスブルーの瞳は冷たく見られがちだった。 そんな伯爵令嬢セリス・シュトラールは、ある日婚約者のギルバートに婚約の破棄を告げられる。挙句、義妹のアーチェスを新たな婚約者として迎え入れるという。 その結果、體裁が悪いからとセリスは実家の伯爵家を追い出され、第四騎士団──通稱『騎士団の墓場』の寄宿舎で下働きをすることになった。 第四騎士団は他の騎士団で問題を起こしたものの集まりで、その中でも騎士団長ジェド・ジルベスターは『冷酷殘忍』だと有名らしいのだが。 「私は自分の目で見たものしか信じませんわ」 ──セリスは偏見を持たない女性だった。 だというのに、ギルバートの思惑により、セリスは悪い噂を流されてしまう。しかし騎士団長のジェドも『自分の目で見たものしか信じない質』らしく……? そんな二人が惹かれ合うのは必然で、ジェドが天然たらしと世話好きを発動して、セリスを貓可愛がりするのが日常化し──。 「照れてるのか? 可愛い奴」「!?」 「ほら、あーんしてやるから口開けな」「……っ!?」 団員ともすぐに打ち明け、楽しい日々を過ごすセリス。時折記憶力が良過ぎることを指摘されながらも、數少ない特技だとあっけらかんに言うが、それは類稀なる才能だった。 一方で婚約破棄をしたギルバートのアーチェスへの態度は、どんどん冷たくなっていき……? 無表情だが心優しいセリスを、天然たらしの世話好きの騎士団長──ジェドがとろとろと甘やかしていく溺愛の物語である。 ◇◇◇ 短編は日間総合ランキング1位 連載版は日間総合ランキング3位 ありがとうございます! 短編版は六話の途中辺りまでになりますが、それまでも加筆がありますので、良ければ冒頭からお読みください。 ※爵位に関して作品獨自のものがあります。ご都合主義もありますのでゆるい気持ちでご覧ください。 ザマァありますが、基本は甘々だったりほのぼのです。 ★レーベル様や発売日に関しては開示許可がで次第ご報告させていただきます。
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