《ルームメイトが幽霊で、座敷。》巫との霊質(前編)
「目を覚ましたか」
「……もしかして?」
気付けば祐希が起きて俺より先に尋ねていた。起きてたならなんかモーションでもいいからおきてることを示せよ。
「私が、宮庁神霊班班長、古屋恵梨香よ。はじめまして、瀬谷理斗くん」
「え……なんで俺の名前を?」
「ちゃんと副班長から聴いてるわ。なんでも私の一個上なんだって」
「…………はい?」
その言葉には俺だけじゃなく、祐希も驚いているようだった。
「えっ?! ……班長、年下だったんですか!!」
「そーよー。でも、別に年下だとしても語る理由なんてないでしょ? どうせ実力主義の世の中なんだし」
「まあ、そうですけど……」
「おい、まさか會ったことないのか?」
「この一年間、忙しかったもんで、一切班には手出しできてないのよ。んで、代わりに副班長に任せてるんだけど……。そのじならうまくいってるみたいだね」
「あの……ところで、なんで俺たちをここに?」
それが聞きたいんだ。そうじゃなきゃここまでの六時間半が無駄になる。
「……大沢神治という男は知ってるね?」
「……?」
「知らない? ……昨日、君といろいろあった男のことだが?」
「あいつか」
おれはすぐにその顔を思い浮かべ、苦蟲を潰したような表を示す。
「そう。あいつ……って言っちゃダメだな。年上だし。彼には、仲にもなった巫がいる。そこまでは?」
「知っている」
「ならいい。彼の名前は……神薙めぐみという。かつてこの出雲大社にいた巫だ。それは知っているか?」
知らない、と俺ははっきりと言った。こういうのははっきりしとかないと後に響くからな。
「なら、言うことにしよう。彼は、とても強い霊質だった。……要はカミサマやら幽霊やらが憑きやすい質だったのさ」
「それがどうしたってんだ?」
「人の話は最後まできくように、と習わなかったか?」
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