《ルームメイトが幽霊で、座敷。》巫との霊質(後編)
習いましたが、なんとなくそんなのは覚えてないだけです。子供って都合のいいことは覚えてるけど、都合の悪いことは忘れちゃうでしょ? それと同じ。
「……と、あなたは言いそうなので先に話をさっさと進めちゃうわね」
「なぬ?! まさかの心を読まれている!! これは一どういうこっちゃ!!」
「……話、続けますよ」
そう言ってまず班長さんはお茶を一口飲んだ。あのおかっぱ頭のの子(とか言いつつ実際はカミサマだ! とか言ってたけど容姿がだったからには変わりない)が煎れたものだろうか。
「……さすがキガクレノミコト。お茶が味しいですこと」
「めぐみに教えられてきたからの。これくらいお茶の子さいさいじゃ」
「そうですかい」
キガクレノミコトって人(いや、カミサマだけどね?)の話を聞いてなんだか班長さんは顔を膨らませていたが、正直どうでもよかったので話を早く進めてしい。
「それで、どこまで話してたっけ」
「霊質のところまででしょうか」
「そうそう、そうだった」
班長さんはそう言うと、何枚か紙を取り出した。びっしりと文字が書かれていたので一瞬で読むことはできなかったが……それ以前に字が達筆すぎるってのもあるんだけどな。
「巫は霊が憑きやすいで出來ています。……つまり、忌み神などを巫に取り憑かせることもあったのです。人封印とも言いますね。今のイタコも、もとは巫と似たようなことをしていましたが、イタコに関しては今は幽霊にのみ取り憑かれてしまいますね。巫は幽霊でも妖怪でもカミサマでも取り憑けてしまいますから」
「……つまり?」
「巫はカミサマを憑かせ、そのまま永遠に封印していく……そういうことが、二年前まで完全にまかり通っていました。この世界では」
「しかし、アイツが全てを変えてしまった」
「アイツ……とは?」
「大沢神治。タイガノミコトが天照主あまてらすのぬしになることを予知した人間のことだ」
キガクレノミコトは、間髪もれずに言ったのでおれは頭の処理が追いつかなくなってしまった。つまり……カミサマすら変えられない世界のしくみをアイツが変えちゃったってこと?
それって……すごいことなんじゃないのか? ……ってか、ならなんであんなところにいるんだろうか。
「……話には続きがありましてね」
班長さんはさらに一枚、寫真を取り出した。
そこには――異様な景が映っていた。
巫服を著たを取り囲むように――紫の霊が現出していた。
「これは……!」
「……カミサマの暴走、ですよ」
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