《俺の高校生活に平和な日常を》第11章 #50「イブリートさんとナターシャさん」
---「へー。イブリートさん達はお隣の國から來られたんですか?」
「そや。つっても2人とも出はもっと別の國なんやけどな。ワイらは今あちこちの國を回って旅しとるんや」
ギルドに向かう道中、お互い軽く自己紹介をすることにした。
トカゲの人はイブリート・ドラゴニクス。ジョブは剣士(ソードマスター)で竜人族の生まれらしい。トカゲではなく竜だったようだ。
そして、フードを被った人はナターシャ・ナナキュリオス。聲でなんとなくわかっていたが、のようだ。フードを深く被っているせいで顔がよく見えなかったが。
ジョブは弓使い(アーチャー)らしいが、さっきの回復魔法のようなアーチャーでは覚えないようなスキルまで覚えているらしい。ナターシャさん曰く、『回復魔法を使える人に教えてもらった』とのことだ。どうやらこの世界では人に教えてもらえれば本來覚えないスキルも覚えれるようだ。
その話を聞いていると、俺でも戦闘の役に立つかもしれないという希が湧いてきた。簡単なことではないだろうが、いつまでも傍観しているわけにはいかない。今回の件もあるし、戦えずとも梓みたいにサポートできればしはマシになるだろう。
2人はアルディーン國の出ではないらしく、他所の國から來たらしい。しかも、アルディーン國に著いたのはつい數日前とのことだ。
そんななか、ギルドに向かう道中俺達を偶然見つけ助けてくれたらしい。ほんとうに不幸中の幸いだったようだ。
「それにしてもお前さんら、災難やったのお。あのレベルのモンスターが街の近くに出る確率はけっこう低いんはずなんやけどなあ。お前さんら、運ないのお」
「ははは、そう、みたいですね…」
イブリートさんが言うにはあのモンスターは低確率でしか出てこないらしい。俺のラックはそこそこあるはずなのだが、強運の持ち主ではなく兇運の持ち主だったとはな。そう考えると半分笑い話にしようとするイブリートさんの話に想笑いでしか返せなかった。こっちからすれば笑い話ではすまないんだけどな。
「けど、間に合ってよかった。あとし遅れてたらカズヒコとアリサは間違いなく殺されてた」
一方、ナターシャさんは俺と背中に背負っている有紗を見て、救えてよかったと安堵の聲をらした。口調は冷靜でフードで表が見えないから本心なのかどうかはわからないが。
ファサ
「あっ」
そのとき、不意に強い向かい風が吹き、ナターシャさんのフードが取れてしまった。
すると、ナターシャさんの顔が初めてあらわになった。
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