《クラス転移、間違えました。 - カードバトルで魔王退治!? -》第6話「青空ティータイム!」
窓の外から地上を見てみると、全が木々で覆われているという景だった。そこは大地が見えないほど木の葉で隠れ、あるのは森と自分たちが居た高い山だけである。
「なんだ、ずいぶん田舎な場所に居たんだな。森だらけだ」
「森っていうか最早ジャングルデスね。変なとか住んでそうデス」
「最だったら喜びそうだな」
そしてバスはある程度まで上昇すると、その高度のまま橫方向に移を始めた。しかし地面の森はどれだけ飛んでも続いており、地平線の果てまで広がっているようだ。
しばらくして、ようやく森を越えた場所が見えてくる。
森の向こうは巨大な平原だった。今度は逆に真っ平らな野原がどこまでも広がっており、山岳地の多い日本では滅多に見れる景ではなかった。
「凄いな……。こんな景、日本じゃ北海道以外目にかかれないぞ」
「ここ北海道なんデスかね?」
「俺たちは関西に移してたんはずだぞ。北じゃなくて西にいてたんだ」
「しかし、それを証明する人はここには居ないのも確か……」
「移経路なら先生が詳しく知ってるはずだよ、運転手だし。急事態だし先生を起こしてみようか。先生! …………先生?」
「どうした、日向」
「…………ねえ、みんな。先生が居ない!」
「「「「なにぃぃ!?」」」」
「先生、どこ行ったんだ!?」
日向は確かに運転席の近くの座席に誠十郎が眠っている先生を移させていたのを目撃していた。しかし今確認してみればそこに先生は居らず、何も無い席があるだけだった。
先生の失蹤に生徒たちは揺を隠さない。皆あわあわとした様子でその場で混している。
「何てこった! 先生、退職間近だったのに!」
「こんなつまらないことでお亡くなりになるなんて! ……今日は厄日かしら」
「退職する先生のためにとっておきのエロ本を用意してたのに! こんな場所で死んじまったのかよ!?」
「何で死んだ雰囲気になってるのさ!? 居なくなっただけで生きてるかもしれないじゃん!」
「「「いや、いつ死んでもおかしくなかったからあの人」」」
「君ら結構冷酷だね!? 確かにヨボヨボだったけどさ!」
まあ、何を言おうともこの場に先生は居ない。一応、車を隅々まで探してみるが、やはりここに居るのは先に降りた4人を除いた12人の生徒だけだった。
謎が謎を呼ぶ怪奇現象の連続。最早彼らに出來ることはなかった。
「『なるようになれ』、かしらね。も渇いてきたし、これからみんなでお茶にしませんか? 今日は良いお紅茶を持ってきたの」
「良いねぇ。ボクも紅茶に合いそうなお菓子を持ってきてたんだぁ〜」
「あら、高級な洋菓子。喜んで頂くわね」
「考えてもどうにもならん。一度、頭を休めるか」
「香織さん、僕の隣でお茶しませんか? なぁに下心はありません。ちょっと舐めるような目で眺めたいだけです、元とか」
「高いお菓子と聞いて! "タダで食べるお菓子は味い"とは真理を突いた言葉デスよ!」
「それなら俺も一緒に。日向も食べるよな、お茶菓子」
「うん。こんなこと、1年共に同じクラスで過ごしてきた人たちに言うのは申し訳ないんだけど、ゴメン言うね。あんたら、馬鹿じゃないのッッ!!!?」
日向棚歌は、ノー天気なクラスメイトの彼らに、熱い絶をした。
だが、日向も今の狀況を打開できる手段を持ち合わせていないのも事実である。結局どうしようもないということで日向もお茶會に參加し、上等な紅茶と洋菓子に舌鼓を打っていた。
そうしてしばらくの間楽しく過ごしていると、飛行していたバスが突然ドシンッと地面に著地した。
「あら、降りたようね」
「ドラゴンの巣かな? ドラゴンの卵とか食べてみたいんだけど……」
「日向、戦闘準備だ。気を引き締めろ」
「ああ、やっぱり戦うのは私なんだね……」
このあと何が待ちけているか分からない。栄養補給を済ませた彼らはどんな時でもすぐにけるよう警戒を強める。念のため周囲を確認しておこうと、悟が窓の外を見渡してみた。
そして悟は、そこに驚くべきが建っていることに気がついた。
「おい、お前ら! 窓の外を見てみろ」
「何だ何だ?」
皆が悟に促されて外を調べてみると、バスの左側の向こうに巨大な建造があることが確認できた。それはかなり立派で古めかしく、それでいて存在を象徴するかのような顕揚さに溢れた宮殿だった。
皆がその壯大な建に呆気に取られていると、例の金のドラゴンが彼らの前に降り立ってきた。
『まったく、このような狀況で呑気にお茶とはな。流石は選ばれし勇者達と言ったところか』
「おお!? 喋り出したぞこの龍」
「龍くらい喋れるでしょう、くだらないことで驚き過ぎデスよ弁天寺」
「いやいやいやっ! 確かに僕はドラゴンが喋れるかどうか実際には知らないけどさぁ! でも、何というか……ねえ!?」
「ああ、言いたいことは分かるよ影踏くん」
「喋れるなら話は早い。俺たちをこんな所まで連れてきてどうする気だ」
『知れたこと。お前達は選ばれたのだよ、この世界を救う英雄としてな』
「英雄?」
皆がドラゴンの言葉に首を傾げて、そしてそのドラゴンは背中の翼を大きく広げて高らかに聲を上げた。
『ようこそ異世界へ! 選ばれし勇者達よ、世界を代表して我はお前達を歓迎するぞ!!』
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狀況が飲み込めない8人は、ドラゴンの高らかな歓迎の言葉を聞いても頭を真っ白にするだけだった。
突如出現した謎のドラゴン。謎の土地、謎の宮殿。そして、我らがする擔任教師(退職前)の消失。
この不可思議な狀況が、今後どう繋がっていくのか。
それは、誰にも分からなかった。
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