《クラス転移、間違えました。 - カードバトルで魔王退治!? -》第8話「龍の真実」
「この向こうに、みんなが集まっているデスよ」
瀬奈とデス子は扉を開く。そこには真っ白なテーブルクロスで覆われた長いテーブルが部屋の真ん中に置かれており、そのテーブルの椅子にクラスメイト達が座っているのだと見て取れた。
瀬奈はキョロキョロと皆を見渡して、そして目的の人、東隼人の姿を目撃して、ホッと安堵する。
「おお瀬奈、1人で置いて來たりして悪かったな」
「問題ない。隼人らの狀況は概ね把握している。この私が來たからにはもう大丈夫、相手がドラゴンだろうと好きにはさせんぞ!」
「ふん、勇ましい事だな。なら早速相手をしてやってくれ、あのドラゴンと」
「はい?」
仏頂面の猿渡悟の言葉に、瀬奈がキョトンとしているとテーブル席の奧側に見慣れないが居るのが気付いた。
そのは、ブロンドの髪を腰までばしており、瞳は海のように澄んだエメラルドグリーン。服は白に金の刺繍が施されたドレスを纏った、まるで異國のお姫様を思わせる可憐な姿をしていた。
はそのしい瞳で瀬奈を見つめ、その瞬間瀬奈の鼓が直接突かれたようにドクンと跳ねた。
「……あの子は?」
「金のドラゴン、……が小ちゃくなったバージョン」
「ドラゴン? ……この子が?」
「よくあるじゃないデスか。異世界のドラゴンが魔法かなんかでの子に変する何てことは」
「よくあるの? 何ゆえ?」
「まあ、男はみんなロリコンって話デスよ」
「そう言う結論になっちゃうわけ!?」
そうやって2人が話していると話の的になっていたらドラゴンが口を開いて、
「あ、々事があってこんな姿をしているが、実際の我は"雄"だぞ?」
「おい辺銀デス子! こいつロリキャラじゃない、男の娘だ!!」
「何デスとぉっ!?」
想像もしてなかった衝撃的な事実に、デス子は雷に打たれたようなショックをけた。ガクッと膝をついてわなわなと両手を震わせ目を見開いている。
「……何てこと、じゃあ私は下に○○○が付いた人を相手にあんなことをしたっていうの!?  あれをあれしてあれしたっていうの!!? ああ、何たる失態ッ!! 何たる絶ッッ!!!」
「々ツッコミたいことはあるが、辺銀デス子。口調が変わってるぞ」
「何たる絶、デスッ!!!! クッ、こんな屈辱を味わったのは、一年前に『うんまい棒』を11円で買った時以來デスよ!!」
「些細な絶だぁ〜。ていうか、下にその…………えっと、付いてたら駄目なの? 見た目はすっごい可いけど」
「駄目デスね。男を相手にれ合いたいとは思えないデス、興しない」
「興って、…………あの、辺銀デス子? 前々から気になってたんだが貴様、"違う"よな?」
瀬奈は反的に一歩下がり、デス子を敬遠の眼差しで見つめ始める。彼の表はどこか恐怖のに染まっているようで、2人の距離が僅かに、しかし確実に開いていった。
一方で、辺銀デス子は判然としない様子で首を傾げている。
「違うって、何がデスか?」
「あ〜何というか、異より同が好きなのかなぁ……的な?」
「んーーーーーーーーーーーーーーっ、……………………YES?」
「肯定した!? しかし疑問形だ、ホントはどっちなのさっ!!?」
「おい、いつまでくだらないことで喋っている。これ以上俺たちは待たせるな」
2人の會話を中斷させたのは猿渡悟だった。彼は険しい顔で2人を見つめながら苛立ったように口調を荒げる。元々短気な格の彼は、今までの時間も2人合流してくるのを今か今かと待っていたのだろう。
これ以上悟を待たせると何が起きるか分からないので、デス子は素直に席に著くことにした。
「いやいや待って、まだこの話は終わってないよ!? これ、発言によっては今後の私らの関係が大きく変わってくるからね!?」
「えっとぉ、気持ちは分かるけど南ヶ丘さん。取り敢えずは座ろう、ね?」
向こうの席に著いていた日向が、絶する瀬奈を「まあまあ」と宥めた。
瀬奈は、納得いかないというじながらも、しぶしぶ席に座る。これで、11人の生徒がテーブルの席に著いた。本來の人數とは何人か足りないが、現在いるメンバーとしてはこれで全員である。
「んん、11人? 降りたのは4人だと聞いていたが……。まさか、並行世界の狹間に?」
「影踏ならあそこでめり込んでるぞ。そこの化(裝化?)したドラゴンに吹き飛ばされて、潰れた蝿みたいになってる……」
瀬奈の疑問に答えたのは、攜帯ゲームの畫面に釘付けになっている、高村銀河だった。彼のゲーム好きは、こんな狀況でも、相変わらず続行中らしい。
「高村銀河! 貴様生きてたのか!?」
「いや生きてるよ!? 半分意識を飛ばされかけたが、何とか生きてたよ。麻袋を被らされて視界は塞がれていたが、耳は無事だったから話は聞いていた。大の事は摑んでいる」
「これで全員だ、ドラゴン。何人かこの場にいない者たちも居るが特に支障は無い。……さて、約束通り話して貰おうか。俺たちをこの世界に連れてきた理由をな」
「ふむ、そうだな。しかし説明したいところだがまだ我らのトップがこの場に來ていないのだ。なのでもうし待ってはくれないか?」
「まだ待たせるのか……、俺らは暇じゃ無いんだぞ?」
「まあ割と暇デスけどね」
「修學旅行、どうっなちゃうのかな? 居なくなった先生や降りた4人も心配だし……」
「大丈夫大丈夫。あいつらなら例え森の中に置き去りにされても平気だろうし、先生もああ見えてパワフルだからきっと生きてるよ、多分」
「……さっき隼人くん、『あの人いつ死んでもおかしくなかったからな』とか言ってなかったっけ?」
「それはそれ、これはこれだ」
「まあ、今から考えていてもどうにもならないだろう」
「同意。不幸中の幸いと言うべきか、降りたのは"魔の2年4組、超・四天王"である奴らだ。私達が余計な心配をする必要はあるまい」
瀬奈はフフン! と、何故か自慢げな顔をした。
説明しよう『魔の2年4組、超・四天王』とは。
2年4組の中で、戦闘力が極力高い4人の者達の総稱である。"剣・技・・"の四拍子揃った彼ら彼らはクラスの守護神として(利用価値がある時だけ)讃えられていた。
因みに名付け親は、南ヶ丘瀬奈である。
「しかし逆に言えば、私たちを守ってくれる人がこの場にいないってことになるよ?」
「そうだな。……殘念ながら、私にめられた莫大な魔力は、先の戦いで全て消耗してしまった。今の狀態で戦闘に赴くことは、大変な危険が伴うだろう。そこで日向棚歌。本日、この時を持って、貴様に2年4組最強の座を空け渡そうと思う。--がんばれ日向、お前がナンバー1だ」
「この狀況で、『お前に全てを託す』みたいな臺詞言うのやめてくれない!?うう……なんでみんな、私を戦わせようとするのかなぁ。私は普通の高校生なのに……」
日向は心戸い、自分に親指を立ててサインを送ってくる瀬奈に不安な表を浮かべた。
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