《にヲタクという誇りを掲げて》第6節/ぼっち部は皆ヲタクにあらず
あれから、泡沫さんと関わってからみんなの印象が変わっていった。
いや、本當に僕の中だけの印象が変わったのだろうか?
みんな、平たく全にり付けていた噓でできた幕を、泡沫さんの泡で剝がされたのではないだろうか。
あの日を境に、ぼっち部は変わっていった。
どうなったのか、それを自分の中で整理をつけるために、ぼっち部の面々の自分の中での印象をまとめて見ることにした。
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茣蓙川ござがわ紳士しんし先輩。
三年男子、趣味はゲーム、アニメ鑑賞、キャンプ。
長は190程で型は大柄で骨に太っている。何なら実は鎧でも著込んでるんじゃないかというほど。
いつもフードを深くかぶっているという見た目の印象にそぐわずに、やたらとアウトドアに詳しく、自のキャンピングカーを所持しているという噂がある。(あくまで噂であるため事実かどうかはわからず)
宗像むなかた鈴里すずり先輩。
二年子、趣味は運。運の中の何かが好きなどというものではなく、運そのものが好きなのだという奇人。
170近くの長に茶髪のポニーテール。は黒で元には大きくて邪魔そうな塊が二つついている。
その格は見た目通りに快活なだ。ちなみに中學の時に陸上子の日本新記録をたたき出したという噂がある(あくまで噂であるため事実であるかどうかわからず)
快活すぎるが故に周囲の人間から引かれ、「そんなところに痺れるあこがれるぅ」な男子達の告白も、自分と十種競技で勝てた男しか付き合わない、と突っぱねているらしい。
正直いって不可能だろう。この間もルームランナーで自の腳力だけで5時間走り続けていた。
鎖屋くさりや留めるみ先輩。
三年子。趣味はBL、主食、おかずもBL、日常的にBLブロマイドを自作して校にばらまくという迷行為を行う奇人。しかし、何故か教師からの信頼は厚く、注意されることが一切ないのが現狀。
親が付けたその名の通り育つ、ことはなく、某テレビから出てくるの幽霊のように髪を長くばしている。
長は150くらいだろうか、小柄で髪が長く、痩せ型。恐怖の三拍子が綺麗に揃っている。
完全に腐りきったその格から、「BLハンターの腐リ矢」とで呼ばれ、書店等でBL書籍を漁る彼の目撃報は多々。
過去になにか大きなショックがあったせいで現実のイケメンに心を開けなくなった、という噂がある。(あくまで噂であるため事実であるかどうかわからず)
峯岸みねぎし碧華あおか。
一年子。髪型はショートボブ。長160そこそこで男子からの圧倒的人気を誇る。よく理事長室に出りする姿が目撃されており、蕓能界デビューが近いのではないかという噂が耐えない。(あくまで噂であるため事実であるかどうかわからず)
こちらも男子からの告白はすべて斷っており、子との友の話も一切聞かない。
と、ここまで部員の面々のことを語ってきたわけだけれど……謎だらけで意味不明なこの面々の中でも最も謎なのがこの人。
水無月みなづき桃花とうか。
三年子。ただし、子だという事実を知っているのはごく一部の人間で、彼自は自のことを男と言い張っており、聲も中的なため見分けがつかない。
僕が見分けをつけることが出來たのもほぼ奇跡的で、たまたま月一のちゃんと子の制服で通っているところに遭遇したからである。
普段は男子用の制服にを包み、髪型も中的に方に屆くか屆かないか程度の長さで通している。
この人にはほかの部員にある(あくまで噂であるため事実であるかどうかわからず)というものはなく、その代わり存在そのものが謎、という特異なケースだった。
彼のことを知っている人間達は必ずこのように話す。
「彼がなぜ未だに學校に來れているのだろう」と。
出席日數については足りているが、何分授業に參加しないために単位は確実に足りていないはずだ。
そんな彼が退學になっていないというこの事実は、真面目に學校に來ている他の人間を侮蔑する行為であり、真面目が損をするというのはこのようなことか、ということが伺える。
兎にも角にも単位の足りないはずの彼が部長を務めることが出來ている理由もわからず、イレギュラー度が極まりを知らなかった。
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まだこの時の自分の中の彼らのイメージは可らしいものだっただろう。
ぼっち部の何ふさわしい、元からぼっちの人間と、ぼっちにならざるをえなかった人間たちという印象しかなかったろう。
彼らが、平凡である僕にはとてもついていけないくらいのイレギュラーであり、僕は完全に場違いなのだということを知るのは、もうし先の話だ。
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