《貧乏だけど、ハイスペックです!》7話 なっちゃった。
「ん?えーと、今なんて?」
「なんだ、聞こえなかったのか?
  お前をこの私、櫻 風子に仕つかえる執事にしてやる。
  と、言ったのだ」
いやいやいや……別に聞こえてなかったわけじゃなくて、この屋敷で働く=イコール執事となって、主人あるじであるこの櫻 風子に仕えることだということに戸とまどっているだけなんだよね。
「働くとは言ったけど、それって、執事として君に仕えるってことなの?」
「あぁ、そうだぞ。知らなかったのか?」
いや、あたりまえじゃないか!
そんなわけのわからない決まりなんて知ってたら何者だ、ってなるよね!
などと、一人で闘する誠也。
そんな誠也を橫目に、風子は続ける。
「まあ、別に変な話でもないだろ?
  既にこの屋敷には櫻さくら桃華ももかという立派なメイドがいるんだからな」
まあ、たしかにそれは不思議じゃない。
……ん?
あのメイドさんの名前。
櫻 桃華……ん?んんんん??
櫻?!
そういえば倒れた自分の世話をしてくれたあの心優しいメイドさんの名前を聞くのを忘れていた。
それどころか、そんなメイドさんを放って部屋を飛び出した。
僕は、なんて恩知らずなことをしてしまったのだろう。
今度會ったら謝っておこう。
が、いまはそんなこと、正直どうだっていい。
あのメイドさんの姓が、櫻だって?!
それって……。
「あぁ、その様子じゃ私と桃華の姓が同一であるということに困しているようだな。
  まあ、結論から言うと、私と桃華は、
  腹違いの姉妹なんだ」
なるほど、それで姓が同じなわけね。
……って、なるかあ!
なんで、腹違いとはいえ、姉妹が主従関係にあるの!
しかも姉が仕える方って……。
こんなとき、どう返せば良いのか、誠也には分からなかった。
ただ、黙っていることしかできなかった。
そんな誠也を見かねて、風子はさらに続ける。
「で、桃華が義妹いもうとである私に仕えている理由なんだが、こいつがちょっと厄介でな。
  お前は私に仕える執事となるんだから、當然知るべきなのだから、今話しておくことにするよ」
と、風子が続けようとするのを誠也は必死に止めた。
「ま、まあまあまあまあ!
   落ち著こうよ!ね?!」
「いや、今落ち著くべきなのは、どう考えてもお前の方だと思うのだが……」
そう言われて初めて、誠也は自分がとても焦っていることに気がついた。
落ち著け落ち著け落ち著け、と心の中で復唱する。
ようやく落ち著いてきたところで、
「あの、せっかく事を説明しようとしてくれてるところ悪いんだけどさ、まだその話は待ってくれないかな?
これ以上複雑な事を話されるともう頭が破裂しちゃいそうなんだ」
それを聞いた風子はニヤリと笑って、
「お前ほんっとバカだなー!
  そんなんで人間の頭が破裂するとでも思ってんのか〜?
  おい〜!」
誠也は風子が先ほどの自分の頭の中の合を比喩表現で表したということに気づかずに真にけてしまっているのだと思い、
「あ、あのっ、きみこそ大丈夫かい?
   さっきのは例えで、僕だって、本當に頭が破裂しそうだなんて思っていやしないよ?」
それを聞いた風子は今度はとうとう大笑いし始め、
「アッハハハハッ!
   あー、お腹痛いよもう!」
と、じたばた床でのたうち回りながらも、
「そんなことはわかってるよ!
   わかった上で、お前をからかうために言ってみたんだよ。そしたら、お前がそれを真にけるんだもんっ!もうそりゃあ笑うしかないだろ?」
と、ご丁寧ていねいに説明しながらも未だに床にピクピクしながら転がっている。
ちょっと蹴飛ばしてやりたいなとは思ったが、誠也の中の良心がかろうじてそれを阻はばんだ。
足がピクピクしている。誠也の作り笑顔も、とうとうピクついてきた。
これは、堪こたえるなあ、と心どんよりするが、まあ、こんな人でもは良い人なんだし、と考えを改めて、手を差しべる。
「ほら、お嬢様?早く起き上がってください。
   お嬢様もの子なんですから、そんなはしたなく床に転がってちゃいけませんよ?」
風子は突然誠也の話し方が変化したことに驚いて笑うのをやめた。と、いうよりは、笑いがおさまった。
それほど、風子にとって不思議なことだった。
が、その不思議はすぐに消え去った。
その変化の理由がなんなのか、風子はすぐに理解したのだ。すると風子はぱあっと輝く笑顔を誠也に向け、
「じゃ、じゃあっ!お前っ!わ、私の執事になってくれるんだなっ?!」
その言葉を誠也は忠実にけとめた。
それを行で示そうと、風子の前にひざまづいた。
そのまま、風子に向かって敬禮した。
それを見ると風子はもっと嬉しそうな顔を見せ、飛び跳ねるかに見えたが、誠也の態度に合わせようと、落ち著いた振る舞いで、
「では、私、櫻 風子はこれより神崎 誠也を我が直屬の執事として迎えれる!」
大きな屋敷の書庫の片隅は、その時、神聖な雰囲気に包まれていた。
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