《量産型ヤンデレが量産されました》終
「雄太が居ない學校になんて行く価値が無いよ」
「雄太に何かあったらいけないから學校になんて行ってられない」
「何かあった時に盾になるから………お願いだよ………」
説得を試みるも効果なし。終いには涙目になって不穏な発言までする始末。ここまでくるとなんだかこちらが悪いことをしている気分になる。
俺が學校に行くことが出來ない以上こいつを無理矢理引っ張って學校に行かせることは出來ない。まあ俺が學校に行けば何も言わなくても勝手にこいつも行くだろうがそれでは全く意味が無い。
學校に行って今日榛名や文に遭遇してしまう危険と、こいつと一緒に一日過ごす危険、昨日の言を見る限り安全そうなのは………後者だな。仕方ない、説得は諦めることにしよう。
というよりそもそもこいつが休むかどうかは俺が決められることではないしな。
縋るような視線を向けている田中に対して了承の旨を伝えるとぱあっと顔を輝かせて喜ぶ。………こういう反応を見ると早まった気がしないでもない。
ともかく二人で學校をサボることを決めたので學校側に欠席の連絡をれなくてはならない。さてはてどういう理由を付けて休もうかと思ったが、変に理由を考えずにうちの馬鹿姉のせいだと伝えればなんとかなるのではないかと田中が提案した。
そんな適當で大丈夫かなと思いながらも他に案が出なかったので電話を掛ける。先生にうちの馬鹿姉がやらかしたせいで俺と田中が學校に行くと々都合が悪くなりそうだから今日は休みたいと伝えたところ「ああ、最近大人しいと思ったら………」とくように呟く聲が電話口から聞こえる。
ここまで効果覿面だとは思わなかったが、これまでの所業を考えれば當然かもしれない。そんなわけで妙に納得した様子の先生が「何かあったら必ず連絡するんだぞ?」と念を押してきただけであっさりと休むことが出來た。
調が悪いわけではないので二人でゆっくりとだべりながら午前中を過ごす。思っていた通り田中がフェロモンの影響をけている割に大人しかったため特に何も起こらずに靜かに過ごせた。
このまま1日過ごせれば平和に日常を取り戻せそうだな。などと考えていたが、嵐の前の靜けさという言葉がどういう意味なのか俺はを以て知ることになる。
リビングで田中と二人で晝食を食べ終えた頃、來客を知らせるブザーが鳴る。晝の1時に來客なんて、一誰だ。
こんな時間に俺や田中が対応に出るのも合の悪い話なので無視を決め込むが、この客は何度も何度もブザーを鳴らしてくる。
いい加減しつこいので田中が対応のために玄関へと向かう。相手は不審者だから適當にあしらってさっさと戻ってくるかと思いきや、田中はすぐには戻ってこない。
さっさと追い返せばいいのに、何をしているんだかと思いつつリビングのドアをそっと開けて玄関の方を伺ってみると聞き覚えのある聲が聞こえてくる。
「お兄ちゃんがここにいるのは臭いでわかってるのよ!さっさと出しなさいよ!このお兄ちゃんにまとわりつく害蟲が!」
おい。
おい。
何故ここがわかったし。というか何故この時間にお前がここにくるし。
いやいやいや、昨日の時點で犬か!と突っ込んだが、これはもう本格的に犬の伝子が混ざっていることを疑わねばなるまい。
いや、マジで何でわかったんすか文さん。と混している所にまた別の聞き覚えのある聲が聞こえてくる。
「えっと、臭いとかはわかりませんが、雄太くんのお姉さんが雄太くんはここだって仰ってましたので、ここにいるはずだと思うんですが………」
謎は全て解けた。犬の伝子は濃くは無かったようだ。そして馬鹿は一度滅ぼさねばなるまい。
そして二人が來たというインパクトに押し流されてしまった何故二人が今來たのかという疑問。この答えは雄太の知るところでは無いのだが次のような流れである。
連泊するということを後から言われてかなり不機嫌になった文だったが「まあ學校に行けば會えるだろう」と高を括っていた。しかしいざ學校に行き、晝休みに雄太のクラスに訪れると雄太が休みだと知る。(尚田中も休みであることは眼中にないのでこの時點ではどうでもよかった)
「お兄ちゃんがいない學校に何の意味があるのか!いや無い!」と、先生の承諾を取ることなく早退して自宅から雄太の臭いを辿ることを決定する。
またそれとは別に榛名は榛名で行していた。同じクラスであるため雄太が休みであることは朝のうちに知っていた。そして彼の手には昨日雄太が忘れたカバンがあり、自分は雄太の彼だという絶対的なアドバンテージがある。
一限終わりの休み時間に「雄太くんが昨日カバンを學校に忘れており、それを屆けたいので住所を教えてしい」と先生に伝えた。
流石に勝手に住所を教えるわけにはいかない上に雄太の妹に持って帰らせればいいと考えた先生はかなり渋ったが、「実は昨日から雄太くんと付き合うことになったので、今日休んだのが心配だからお見舞いに行きたい」と顔を赤らめながら言うと先生も「まあそういうことなら」と雄太の住所を彼に伝えてしまった。不用心だと思うかもしれないが、普段の彼の様子とストーカーなどの犯罪行為は結びつかないため教えてしまったのだ。
とはいえ住所を知ってすぐに學校を早退するわけにもいかず、晝になったら仮病を使って早退しようと榛名は計畫する。
実際雄太が近くに居ないことで若干顔が蒼くなったり緒不安定な部分があったりと本格的に調が悪くなっているので完全に仮病というわけでもなかったが。
こうして早退した二人が雄太の家でかちあうこととなり、特に昨日雄太がから臭わせていたの臭いと榛名の臭いが一致していたことから文が榛名を親の仇といわんばかりに警戒し、あわや一即発となるのだがそこへ文華が現れる。
そして文華が雄太の居場所を二人に教え、田中の家へと向かったのだ。文としては本來ならば榛名を排除してから向かうところなのだが、一刻も早く雄太の下へと向かうことを優先した運びである。
あの馬鹿なんてことしてくやがったんだ!と心の中で一人悪態をついていると、とうとう文がしびれを切らして無理矢理家にろうとする。田中がチェーン越しに対応しなかったのが悪い。俺は悪くない。
だが田中がそれをガード。グッジョブだ田中!そしてその橫を榛名がすり抜けてくる。何やってるんだ田中!
慌ててドアから離れて隠れようとするもそんな急に隠れられるわけもなく、出來ることは2階や別の部屋に行ってくれ!と必死に願うことだけ。
そんな願いが天に屆く訳も無く榛名は真っ直ぐにリビングへと向かってくる。そしてあっさりと榛名に見つかる俺。
「やっと見つけたよ雄太くん!」
実にいい笑顔だ。ついでに彼の右手にはロープがスタンバってる。
準備がいいですね。と現実逃避をしている間に捕まってしまい彼の右腕と俺の左腕はめでたくロープで縛られてしまった。事ここに及んでは出來ることなど何もないのです。
榛名が家に上がったからか、それとも榛名の聲が聞こえたからかは知らないが田中と文もリビングに現れる。おお、もうこれどうしろってんだよ。
「お兄ちゃんから離れろ!」
俺と榛名を視界に収めるや否やそうびながら突撃してくる文。その勢いで當たりされたら手を縛られている俺もただではすまないのですが。
二人を止められなかったせいかそれとも榛名と手を繋いでいる(理)俺を見たからか、俺に対して「捨てないで」と懇願している時の顔をしていた田中も文に合わせてく。
朝の宣言通り俺の盾となるべくいた田中が文に組み付き食い止める。そして橫には我関せずと上機嫌な榛名が佇んでいる。なんだこのカオス。
鬼の形相で俺、もとい榛名を睨む文にこれまた必死の形相できを止めている田中、マイペースに俺へとを語る榛名。
もう、ゴールしてもいいよね。と完全に思考停止していると3人のがビクリと跳ねて糸が切れたり人形のようにきを止めた。いや、正確には気を失ったようだ。
榛名に釣られて倒れそうになるも慌てて榛名も支えてなんとかゆっくりと座る。そして俺の手を縛っているロープを解いた頃部屋に一人の人間が立っていることに気づく。
馬鹿、満を持しての登場である。
「お前これ、ほんとに何のつもりだ。というか何でここにいる。何をしたんだ。」
「混するのは分かるが質問は一つずつしたまえ。
まず初めの質問だが、それそろ殺傷沙汰になりそうだったのでな。仕掛けを作させたのだよ。
次の質問だが昨日言ったようにこれは実験だ。実験対象がどこにいるかなど把握し、観察しておくことなど當然だろう?
そして最後の質問だが、文は寢ている間に、如月くんは家に訪ねてきた際に仕掛けを施してスイッチひとつで電気ショックが流れるようにしておいたのさ。
田中くんに関しては単純に遠距離用スタンガンだ」
最早なんでもありだなこの馬鹿。流石に先生を無條件に納得させるだけはある。
「ああそれと薬の効果も切れているはずだから安心しろ」
「は?お前昨日は1日2日かかるって言ってたじゃねえか」
「それは自然に薬の効果が切れるまでの時間だな。
私の意志で薬の効果を切るにはその限りでは無い。」
別にそういうことが出來ないとは言っていなかっただろう?とドヤ顔で説明してくる馬鹿。薬の効果を任意で切れるとか普通考えんわ。
「ああもういいよ、で?効果がいつ切れるかの実験じゃなかったのか?」
「ぶっちゃけ実験とかどうでもよくて雄太が慌てるのを見たかっただけだ。反省も後悔もしていない」
毆るしかあるまい。
「てめえ、歯食いしばれや」
「はっはっは。私を毆るのは結構だがそれよりも先に彼らの対処をした方がいいんじゃないか?そろそろ目が覚める頃だぞ?」
「フェロモンの効果は切れたんだろ?ならもう心配することはねえよ。先にてめえをぶん毆る」
「確かにフェロモンの効果は切れたがね、別に昨日と今日やったことが無かったことになるわけではないし、記憶が無くなるわけでもないのだぞ?」
「それがどうした?」
「それは見てのお楽しみだ」
話しているうちに目を覚ましたのか、3人がムクリと起き上がる。寢ぼけているかのようにボーっとしていたが、すぐにハッとなり3人が俺の方へ來る。
文華の方を見ると既に居なくなっていた。毆るタイミング逃しちまったな。まあ後で毆るが。と考えていると3人が口を開く。
「あの!昨日は何か々とやりすぎちゃったけど、雄太くんと近くにいたいって気持ちは本気だから!縛ったりはもうしないけど、ずっと一緒にいてよね?!」
「お、お兄ちゃんの世話をするのは私だからね!昨日言った言葉は噓だったとかは認めないからね!」
「何か々カミングアウトしちまったけど!俺は雄太から離れないからな!絶対だからな!手けるとかも本気だぞ!」
あれこれ狀況変わってなくね?
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