《破滅の未來を知ってしまった悪役令嬢は必死に回避しようと闘するが、なんか破滅が先制攻撃してくる……》第三十話~あっさりと犯人が分かりました~
これから始まる裁判。
今回の事件は、私の部屋に置かれていたケーキを食べたところから始まった。
あれはベルトリオが買って、大切に食べようとしていた、行列のできるお店のケーキだった。
いったい誰が私の部屋に置いたのか、今日、ここで明らかにしてやる。
やってやるぞ、破滅の運命。今回も、私が勝つ!
「では最初に、加害者の意見から聞こうか」
私は公平ですという素敵な雰囲気をか持ち出すディールライト皇帝陛下。でもさりげなく私を犯人だと決めつけているじが何だか気に食わない。
私は、若干苛立ちながらも反論する。
「今回の事件ですけど、ケーキを食べたから私が犯人っておかしくないですか。そもそも、目が覚めたら私の眠っていた部屋にケーキがおいてあったんです。私はそれを食べただけなの……」
「意義ありっ!」
私が言い訳している最中なのに、豚のベルトリオが邪魔をしてきた。
というか、『意義あり』ってなんか違くない? 『異議あり』だと思うんだけど……。
「そもそも、なぜケーキが貴様の部屋にある。あのケーキの存在は、一部の者しか知らぬ」
「じゃあ誰が知っていたというのさ」
「それは、バハム、クリスティラ、そして貴様だっ!」
「ちょ、それなんて言いがかりっ!」
私はそんなこと知らないんだけど。なのに、勝手に私をケーキの存在を知る一人にしないでほしいかな、かなっ!
「正確には、貴様の忍びだがな」
「半蔵、ここに來なさい」
「っは。でも、こんな場所にきていいでござるか?」
私の一聲で半蔵が現れる。普通、人が突然シュパっと現れたら驚きそうなものだけど、この場に驚く人は誰もいない。なんだか不思議だ。
と思ったら、一人、驚き過ぎて泡拭いて気絶している人がいた。
ディールライト皇帝陛下である。
皇帝陛下、それでいいんですか?
「半蔵、あなたに訊きたいことが一つあるんだけど、いいかな」
「拙者に何を聞きたいでござるか、主殿」
「あなたが、ケーキの所在を知っていたって、今知ったんだけど、本當?」
「本當でござるよ」
そして半蔵は語る。
このネズミ一匹るのも難しい城で、どう私を守ろうかといろいろ散策していた時、ベルトリオと出會ったそうな。
その出會った場所が、例のケーキがあるところ。時間はちょうど、私が納豆巻きを食べているころね。
手をむさぼっていた豚トリオがなんでそんな場所にいるのか知らないんだけど、たまたま半蔵と出くわしてしまったらしい。
その時、ケーキの自慢をされたとかされていないだとか。
知らない人に自分の大切なものの隠し場所をべらべらとしゃべっちゃうなんて、あたまどうかしてんじゃないのとツッコミたい。
それよりも、私、そんなこと知らないんだけど……。
「貴様はケーキについて知っていた。この中で部外者なのはお前だけ、貴様が犯人だっ! よし、処刑しよう」
「ちょっとまって、おかしいでしょうっ!」
知っているから私が犯人って、話がおかしいでしょうに、この豚トリオは……。
「っむ、なんか失禮なことを思われたような気がするのだが」
「気のせいよ」
「そうか、気のせいか」
相変わらずのちょろベルトさんで助かった。
さて、ここから反論と行きましょうか。私はすでに、犯人が分かっているっ!
「まず最初に話すべき點、それは、どうやって頑丈にしまわれたケーキを奪ったかを話すべきなのよっ!」
「ふん、そんなもの…………あれ、貴様、どうやって開けたっ!」
「あらあら、我が愚息は、本當に愚か者ですね」
セルシリア様、息子に結構厳しいことを言うのね。まあ、あの豚を息子としてみたくないという気持ちからかもしれないけど。
おっと、思考がずれた。今は助かる方法を考えよう。
「それじゃあ、ベルトリオがケーキをしまっていた場所が指紋認証式の金庫だった件について話しましょうか」
「まて、なぜ金庫が指紋認証式だと知っている。やはり貴様が犯人ではーー」
「うるさいですよ、ベルトリオ様っ!」
クリスティラの渾の一撃が、ベルトリオのあごを打ち抜いた。
そば付きメイドがそんなことしていいのだろうか。
セルシリア様は特に何も言わない。満足そうな笑顔を浮かべている。
実はベルトリオって、セルシリア様に嫌われている?
「うるさいのは黙らせたわよっ!」
私にぐっと親指を立ててくる。うん、わかった。わかったからそのきらびやかな笑顔を向けないで。汚れた心が浄化しちゃう。
まあいいや。
「じゃあ説明を始めるよ。何人かだんまりしているけどさ」
「俺は今晩の夕食を考えているだけさ」
ロディさんや、今は裁判の時間ですよ。
「私は筋と會話をしているんですよ」
「アンタは話にれよっ!」
バハム執事長、あんた、仕事しなさいよっ!
この執事長、ダメなんじゃないだろうか。
「じゃあ説明するよ。この指紋認証式、指紋という鍵さえあれば、簡単にかけられるのよっ!」
「「「な、なんだってーーーーー」」」
「なんでみんな驚くのっ!」
「だ、だって指紋ですよ」
と、セルシリア様。キャラがぶれぶれだよ。
「ど、どうやって……。それさえ知ることができれば、ベルトリオ様の部屋に侵できるのに……」
ベルトリオの部屋、指紋認証式なんだ。暴したら大変なことになりそうだ。へへ、暴しよう。
「指紋さえあれば、簡単に開けられるわっ!」
「指紋って、もしかして腕でも切り落としたの。怖いわっ」
「その発想に至るセルシリア様のほうが怖いです。そうではなくて、指紋の代わりとなるものを作ればいいんですっ」
「「「代わりって?」」」
馬鹿だ、こいつら。はぁ、仕方ないな……。
「型か何か作って、作ればいいでしょうに」
「「「確かに……」」」
「今回はゼラチンね。だって、量のないゼラチンの箱があったもの。ここで証拠を提示するわ」
私はカラスさんと戦ったあそこで拾ったゼラチンのごみを見せる。
「なんだこれ、臭いな。俺に近づけるな」
ロディに証拠を渡そうとしたら、嫌な顔をされた。見ろよ。ほら、ほらほらっ!
「ロディ、ちゃんと見なさい。このゼラチン、あなたの大切な調理場になかったでしょう。そうでしょう、ねぇそうでしょう」
「ああそうだよ、だから近づけ……やめ、やめろぉぉぉぉぉ」
「認めたのならそれでいいわ」
「っほ、よかーーーー」
「ほれっ」
「うぎゃあああああああ」
私はロディに向けてごみを投げつけた。綺麗好きなロディは、當然発狂したさ。
…………ゴメン、ちょっとやりすぎたかもしれない。ゴメン、ほんとごめんよ。
「それで、筋のないそのゼラチンで、一どうするというのだ」
「バハム執事長、筋から離れましょうよ。んで、指紋の作り方だけど、そのゼラチンを使って型に流せば、指紋なんて簡単にごまかせるでしょう?」
「ってことは……犯人はあの人に違いありません、なんてけしからん」
「……え? 犯人って誰?」
私はまだ気が付いていないんだけど、どういうこと?
クリスティラは何かに気が付いたみたい。
「そこの犯罪者が言っていました」
「おい、まだ私は犯罪者と決まったわけでは……」
「そう、この前のベルトリオ様の誕生日の時に取った手形。それをバハム執事長が持って行ってしまったんです。きっといかがわしいことをしようとしているんだと思ったんですが……」
いかがわしいことってなんだよ。ほんと、クリスティラって頭おかしいよ。
「きっと、手形を見つめながらはぁはぁしているんだろうなと思っていたんですが、まさか、犯人があなただったなんて」
「ちょっとまって、ツッコミたいことが多すぎて話についていけないんだけど」
「犯罪者、よく聞きなさい。バハム執事長はこの前、型を手にれていたんですよ。ゼラチンなんて街で買えます。ということは、手形をこっそり隠し持っていた、バハム執事長が犯人に違いありません」
「いやいや、それは違うでしょうに。型を持っていたのは掃除とかのためじゃ……」
あれ、クリスティラの言い分がなんか正しい気がする。けど何だろう。筋馬鹿がそこまで考えるようには思えないんだけど。
「はい、私が犯人です」
……………予想外に自白したよ、こいつ。
高校生男子による怪異探訪
學校內でも生粋のモテ男である三人と行動を共にする『俺』。接點など同じクラスに所屬しているくらいしかない四人が連む訳は、地元に流れる不可思議な『噂』、その共同探訪であった--。 微ホラーです。ホラーを目指しましたがあんまり怖くないです。戀愛要素の方が強いかもしれません。章毎に獨立した形式で話を投稿していこうと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 〇各章のざっとしたあらすじ 《序章.桜》高校生四人組は咲かない桜の噂を耳にしてその検証に乗り出した 《一章.縁切り》美少女から告白を受けた主人公。そんな彼に剃刀レターが屆く 《二章.凍雨》過去話。異常に長い雨が街に降り続く 《三章.河童》美樹本からの頼みで彼の手伝いをすることに。市內で目撃された河童の調査を行う 《四章.七不思議》オカ研からの要請により自校の七不思議を調査することになる。大所帯で夜の校舎を彷徨く 《五章.夏祭り》夏休みの合間の登校日。久しぶりにクラスメートとも顔を合わせる中、檜山がどうにも元気がない。折しも、地元では毎年恒例の夏祭りが開催されようとしていた 《六章.鬼》長い夏休みも終わり新學期が始まった。殘暑も厳しい最中にまた不可思議な噂が流れる 《七章.黃昏時》季節も秋を迎え、月末には文化祭が開催される。例年にない活気に満ちる文化祭で主人公も忙しくクラスの出し物を手伝うが…… 《八章.コックリさん》怒濤の忙しさに見舞われた文化祭も無事に終わりを迎えた。校內には祭りの終わりの寂しさを紛らわせるように新たな流れが生まれていた 《九章.流言飛語》気まずさを抱えながらも楽しく終わった修學旅行。數日振りに戻ってきた校內ではまた新たな騒ぎが起きており、永野は自分の意思に関係なくその騒動に巻き込まれていく 《最終章.古戸萩》校內を席巻した騒動も鎮まり、またいつものような平和な日常が帰ってきたのだと思われたが……。一人沈黙を貫く友人のために奔走する ※一話4000~6000字くらいで投稿していますが、話を切りよくさせたいので短かったり長かったりすることがあります。 ※章の進みによりキーワードが追加されることがあります。R15と殘酷な描寫は保険で入れています。
8 170【電子書籍化】殿下、婚約破棄は分かりましたが、それより來賓の「皇太子」の橫で地味眼鏡のふりをしている本物に気づいてくださいっ!
「アイリーン・セラーズ公爵令嬢! 私は、お前との婚約を破棄し、このエリザと婚約する!」 「はいわかりました! すみません退出してよろしいですか!?」 ある夜會で、アイリーンは突然の婚約破棄を突きつけられる。けれど彼女にとって最も重要な問題は、それではなかった。 視察に來ていた帝國の「皇太子」の後ろに控える、地味で眼鏡な下級役人。その人こそが、本物の皇太子こと、ヴィクター殿下だと気づいてしまったのだ。 更には正體を明かすことを本人から禁じられ、とはいえそのまま黙っているわけにもいかない。加えて、周囲は地味眼鏡だと侮って不敬を連発。 「私、詰んでない?」 何がなんでも不敬を回避したいアイリーンが思いついた作戦は、 「素晴らしい方でしたよ? まるで、皇太子のヴィクター様のような」 不敬を防ぎつつ、それとなく正體を伝えること。地味眼鏡を褒めたたえ、陰口を訂正してまわることに躍起になるアイリーンの姿を見た周囲は思った。 ……もしかしてこの公爵令嬢、地味眼鏡のことが好きすぎる? 一方で、その正體に気づかず不敬を繰り返した平民の令嬢は……? 笑いあり涙あり。悪戯俺様系皇太子×強気研究者令嬢による、テンション高めのラブコメディです。 ◇ 同タイトルの短編からの連載版です。 一章は短編版に5〜8話を加筆したもの、二章からは完全書き下ろしです。こちらもどうぞよろしくお願いいたします! 電子書籍化が決定しました!ありがとうございます!
8 176【完結】「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄された令嬢の醫療革命〜宮廷醫療魔術師に推薦されて、何故か王國の次期騎士団長様に守られる生活が始まりました〜【書籍化】
《エンジェライト文庫様より発売中!》 サクラ・オーラルはメイル王國の子爵令嬢だ。 そんなサクラにはウィンという婚約者がいた。 しかし、ウィンは幼馴染のモミジのことをサクラより大切にしていた。 そのことについて指摘したらウィンはいつも『モミジは妹みたいなもの』としか言わなかった。 そんなウィンにサクラは徐々に耐えられなくなっていた。 そしてついにウィンから「お前の嫉妬に耐えられない」と婚約破棄をされる。 サクラはこれに文句がなかったので少し癪だが受け入れた。 そして、しばらくはゆっくりしようと思っていたサクラに宮廷魔術師への推薦の話がやってきた。 これは婚約破棄された子爵令嬢が王國トップの癒しの魔術師に成り上がり、幸せになる物語。 ※電子書籍化しました
8 160老舗MMO(人生)が終わって俺の人生がはじまった件
彼は、誰もが羨む莫大な資産を持っていた…… それでも彼は、この世にある彼の資産全てを、赤の他人に譲る遺書を書く…… 真田(サナダ) 英雄(ヒデオ)56歳は伝説的圧倒的技術を持つプレイヤーだった。 40年続くMMORPG ヴェルフェリア・オンライン。 時代の進化によって今終わろうとしているRPG。 サービス終了とともに彼は自分の人生を終えようとしていた。 そんな彼のもとに一つの宅配便が屆く。 首に縄をかけすべてを終わらせようとしていた彼の耳に入ったのは運営會社からという言葉だった。 他のどんなことでも気にすることがなかったが、大慌てで荷物を受け取る。 入っていたのはヘッドマウントディスプレイ、 救いを求め彼はそれをつけゲームを開始する。 それが彼の長い冒険の旅の、そして本當の人生の始まりだった。 のんびりゆったりとした 異世界? VRMMO? ライフ。 MMO時代の人生かけたプレイヤースキルで新しい世界を充実して生き抜いていきます! 一話2000文字あたりでサクッと読めて毎日更新を目指しています。 進行はのんびりかもしれませんがお付き合いくださいませ。 ネット小説大賞二次審査通過。最終選考落選まで行けました。 皆様の応援のおかげです。 今後ともよろしくお願いします!!
8 81やっと封印が解けた大魔神は、正體を隠さずに凡人たちに力の差を見せつけます ~目覚めた世界はザコしかいない~
【主人公最強・ハーレム・チートスキル・異世界】 この作品には以上の要素がありますが、主人公が苦戦したり、キャラクターが死亡したりと、テンプレにはあまりない展開もございます。ご注意下さい。 それゆえの熱い物語を書く予定であります。 世界はまもなく、激動する―― 大魔神たる僕が、封印から目覚めたことによって。 魔王ワイズ率いる、魔物界。 國王ナイゼル率いる、人間界。 両者の存在によって、世界は危うくも均衡を保てていた。どこかで小規模な爭いはあっても、本格的な戦爭になることはなかった。 僕――大魔神エルガーが封印から目覚めることで、その均衡はちょっとずつ崩れていく。 なぜ僕は封印されていたのか。 失われた記憶にはなにが隠されていたのか。 それらすべての謎が解き明かされたとき、世界は激動する…… けど、僕は大魔神だ。 いくらスケールのでかい事件だって、神にかかれば解決できるはず。 ――面倒だけど、なんとかしてみよう。
8 139終末デイズ〜終末まで殘り24時間〜
殘り24時間、あなたは一體何をしますか? 好きな人と共に過ごすのか、家族に感謝を伝えるのか、己の欲望のままに行動するのか。 そんな人間ドラマ集です。 twitter始めました(作品に関する質問やイラスト等をお待ちしております)→@HaL3NoHeYa
8 179