《逆転した世界で楽しんでやる!》明日學校へ行こう!!(ただし今日は金曜日である)
この世界に來てちょうど一週間。
これからのことを考え計畫を練る。やはりリア充ライフを送るには、必ずあることが必要になる。前の世界では僕にとって居づらかった場所ではあるが、貞の逆転した今となっては天下が取れる場所だ。
「よし、決めた」
學校へいこう!!
そうと決めれば善は急げだ。急がば回れと言う言葉もあるが、そんなものは犬にでも食わせておけばいい。とりあえず、一番近にいるに打ち明けて協力を仰ぐのが一番だろう。
ぱたん、ぱたんと規則正しく丁寧に洗濯を畳んでいく百合子。最後の一枚になって、それが最近無防備になって行く弟の下著だと気付いて手を止める。
(荒れていたのはだいぶ治まったんだけど、どうも無防備になりすぎなんだよ。みー君お父さん似で結構形だから心配……)
まぁ、あとで言っておこうと思い直し作業を進める。すると、
「百合姉!!」
バーンと扉を開け、リビングにいた百合姉は最後の一枚を畳みかけている手を止めビクゥ!! と反応した。手に持っている僕の下著と僕を見てあたふたとし出す。
「あ、え、みー君!? えと、これは洗濯を畳んでいただけであって、決してみー君のいい匂いをかごうとしてたわけじゃないんだよ!!」
「あ、そうゆうのいいです。それよりも大事な発表がある!!」
あからさまに怪しい言い訳をする百合姉であったが、こちらとしてはむしろ大歓迎なのでそのまま話を続ける。だが、よくよく考えてみると、元の世界の兄妹でいう、兄が妹のパンツを目の前で広げている狀態だったりする。うわぁ……
「僕、明日から學校行く!!」
突然の提案にええ? と驚く百合姉。
「え、え、でもみー君の人が怖いから學校行かないって言ってたんだよ? 大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫! とりあえず僕の制服どこにあるかわかる?」
「えと、確かクローゼットにあると思うけど……本當に大丈夫?」
「大丈夫だ、問題ない」
心底心配そうな百合姉にキリッと返すとそのまま明日へ向けて準備をし出す。確か僕の通っている高校は共學で、三年に姉が在籍しているらしい。なぜ同じ高校なのかというと、両親が姉が居た方が安心できるから、らしい。
「あと必要なのは筆記用だけだから、えーと、えーと」
「あの、みー君」
忙しなくき回る僕に百合姉が申し訳なさそうに口を開く。
「明日は土曜日なんだよ………」
どうやら急がば回れ、という事らしい。
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あれから一日。今日は明日に向けての準備をするために駅前のショッピングモールに來ている。ここはゲームセンターやプール、遊園地まで併設しているところで、ここでそろわなければ僕たちが住んでいる市ではそろわないと言われるほどだ。當然文房と私服、弁當箱を買いに來た僕たちが品ぞろえに困ることはない。僕達、というのは姉同伴で來ているからだ。別に買いくらい元ひきこもりとはいえ一人でも出來るのだが、姉曰く、
『みー君無防備だし変なから目をつけられないか心配だからついていくんだよ』
とのこと。そのあと小聲でみー君を危険な目に合わせたらお父さんとお母さんに殺される……、と言っていたのは聞かなかったことにしてあげた。
まぁ、こうして護衛よろしく僕の周りの人に殺意をばら撒き、僕と手をつないで離さない姉だが、先ほど警備員に止められ姉弟だと証明するのに時間が掛かった。
「フー、フー」
「やめてってば百合姉。すっごい目立ってるから」
まるで手負いの獣のように周りを威嚇し始める百合姉を僕はなだめる。しぶしぶといった様子の百合姉に僕は一安心し服を選び始めた。
うーむ、ここは地味目の服にするか、思い切って派手なのにしてみるか。リア充にとって《ふぁっしょんせんす》なるものは大事らしいからここは慎重にならざる負えない。
「ねぇ、みー君これなんかどう? みー君男の子のもいいけどガーリッシュなのもも似合うから」
と、ムムムーとうなっていた僕は百合姉が差し出してきた服を眺める。
ストライプのTシャツにミニスカートと細いベルト、極めつけは黒のニーッソクスときた。
「それ完全にの子の服裝じゃん!」
「そう? 最近ではガーリッシュなのが流行ってるらしいんだよ?」
「男がの子の服著てると変なんじゃないの?」
「え? 全然そんなことないんだよ。むしろ人気があるんだよ」
もしかしたら前の世界でいうがズボンをはいているのに違和を覚えなかったようなものと同じなのかもしれない。そう思って逆にがズボンを履いていることを聞いてみるとどうやらそれも問題ないらしい。実際百合姉もジーンズをはいているしね。まあでも僕に裝する気はさらさらないのでそのまま服を選び続ける。レジに行ったときに姉がさっきの服を自腹で買っていたが、自分用だと信じていたい。
無事に買いも終わり、百合姉は何かし食べるものを買ってくるといい、頑固なお袋という店で列に並んでいるのが遠目でうかがえる。ベンチに一人殘された僕はひたすらぼーっとしていた。
「ねえ君、かっこいいね。よかったらお茶しない? 奢ってあげるからさ」
聲をした方を見ると、いかにもチャラそうなが二人、僕のを舐め回すように見ていた。なるほど、子が前の世界でけていた視線はこういうものだったのか。
「すみません、連れと來ているので」
「ええ~? いいじゃん、ちょっとくらいさぁ」
僕がそっけなく返すとチャラい二人組は食い下がってくる。うわぁ、うわぁ。
 この二人、優しそうな顔をしているのに言とチャラい服裝ですべてが臺無しである。しかしどうしようか。
ハッ! これは斷ったら無理やり連れて行かれて暴されるパターンじゃないだろうか。エロ同人みたいに!! 冗談はさておき本當にどうしようかと悩んでいるとチャラたちが実力行使に出始める。
「黙ってついて來ればいいんだよ。オラ、こっち來い!!」
伊達に元ひきこもりではない。力や筋力のなさなら誰にだって自慢ができるのだ。僕はそのまま腕をつかまれ連行されかかる。
「ちょっと、うちの弟に何してるんだよ」
あ~れ~、と悪代に連れて行かれる町娘の狀態の僕たちに聞き覚えのある聲が聞こえる。しゆったりとした聲だが今となってはとても頼もしい。百合姉きゅうせいしゅである。
「ああ? てめぇ誰だよ。お互いの了承があるんだから文句言われるような筋合いはねぇんだよ。さっさと失せろや」
あ、これあれだ。特に何の変哲もないやたらイケメンでヘタレで古武習ってたり世界に一つしかないような能力持ってたりする何の変哲もない主人公がナンパされてるの子を助けようとして不良と喧嘩し勝っちゃうやつだ。ていうかいつ僕が了承した。
「了承? これのどこが了承してる様に見えるんだよ。どう見ても無理やりにしか見えないんだよ」
凜々しい姉に僕はそうだそうだー、と応援を送る。実際はそう…と言いかかたところでキッっとチャラ2に睨まれたためそこまでしか言えなかったが。
「ああ? やんのかテメー」
そう言って拳を構える二人組。あれか、僕のために爭わないで~とでも言えばいいのか。にしてもこの二人。こんな人が大勢いるところで騒ぎを起こすなど馬鹿なのだろうか。鋭く尖った空気が周りを支配する。
すると。
「はーい、そこまでにしといてねー」
と、間延びした聲がする。よく見ると警備員のおじちゃんならぬ警備員のおばちゃんがこちらに向かってきていた。二人組はげ、と顔をしかめる。あとで知ったことなのだが、このおばちゃん、いくつかの格闘の有段者なのだとか。一部の不良たちから、不良殺しバットガールキラーと言われるまでになっているらしい。當然強者を目の前にして不良二人は逃げ出した。警備員のおばちゃんがうははと笑いながらこちらに近ずいてきた。
「大丈夫かい? あんたたち」
「ええ、助かりました。ありがとうございます」
「うははは、気ぃ付けて帰りなよ~。あたしゃまだ仕事があるからね」
と、來た時と逆の方向に去っていくおばちゃん。なんだろう、すごくあの恰幅のいい警備員のおばちゃんがかっこよく見える。
まあ、そんなこんなでちょっとした事件があったものの、何とか無事に買いを終え、學校へ行く日の朝になる。
さあ行かん。いざ學校へ!!
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