《逆転した世界で楽しんでやる!》貓まんまEXと百合姉
「おい、起きろ命。みーこーと」
誰だ、僕の睡眠を邪魔しているのは。朝チュンはとって決めているんだ。
「えと、七峰君? 次移教室だし、擔當の先生厳しいから早くいかなきゃ怒られるよ」
む、この聲は朝教室を教えてくれた柊さんではないか。これは起きねば。いやしかし、この心地いい微睡まどろみには抗いがたく……
「んー、むー」
「あーもう。ほら、起きろよ命」
そう言って命を持ち上げようとする琉斗だが、寢起きで力がらなくスルリと琉斗の手からが離れていく。
すると、助けてくれようとしたのか誰かに抱き留める形でけ止められた。たぶん柊さんかな。思いのほか心地いい溫で、寢起きで頭の回らない僕はそのまま抱き著いてしまう。思いの外平らなだが、僕はどちらでも行けるのでノー問題。
「え、ちょ、命!?」
焦った琉斗の聲が僕の頭の上・・・から聞こえてくる。おかしいな、僕は柊さんに抱き著いているのだ。琉斗の聲が僕の頭上から聞こえるのはおかしい。そこで僕の意識は急覚醒した。
顔を上げると、そこには顔を真っ赤にした琉斗と柊さんがいた。柊さん可い。
肝心の僕の位置だが、琉斗の腕の中にいる。だから顔赤らめんな気持ち悪い。
「み、命? 離れてくれるとうれしいんだが……」
と言う琉斗。ええ、そうしましょう早急に直ちに即刻に。
「さ、いこっか」
「おい、無かったことにしようとしてるだろ」
當たり前だ。誰が好きで野郎なんかとハグしなきゃいけないんだ。はぁ、抱き著くなら柊さんがよかった。野郎の溫なんて知りたくもなかったよ……
結局、三人で仲良く科學教師にこっぴどく怒られた。
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「ただいまー」
「あ、お帰りみー君」
そう言って帰宅した僕を出迎えてくれたのは、実姉である百合姉だ。ほんと、義理じゃなくてよかったと思う。義理だったら僕のエクスキャリバーが火を噴くぜ。
部活のある百合姉よりも遅く帰宅したのは、どこぞの化學教師に居殘りをさせられたからだ。ちきしょう、あの中年オヤジめ。
自室に行き著替えてからリビングに戻る。制服と言うのは見た目はいいが私生活出來るには不便すぎる。すると、テレビでは男に対するセクシャルハラスメント問題のバラエティーが放送されていた。被害者の男は、しくしくと泣きながら語っている。
「みー君も気をつけなきゃダメなんだよ? 最近薄著なんだし」
薄著、とはいってもし元がびた半袖のTシャツに、短パンだ。こちら・・・に來るまでは大型ショッピングセンターの書店にライトノベルを買い求めに行くときも大似たような恰好なのだ。どうやら元が緩いのがダメらしいが、たいして筋のついていない男のなどで興するのだろうか。……するだろうな、こういう世界だし。
「んー、気を付ける」
適當に返事をしながら冷蔵庫にあるペットボトルの麥茶を取り出しコップにれて飲む。ふと顔を上げると、超至近距離に百合姉の顔があった。危うく麥茶を噴き出しそうになる。
「な、なに?」
「ほんとに気を付けるんだよ? みー君。何かあったら攜帯ですぐ電話するんだよ?」
と、どうやら適當に返事をしたのがいけなかったらしい。
「わ、わかったわかった気を付けるよ」
「よろしい」
と言って離れる百合姉。ほんとに弟思いの姉である。義理じゃなかったら僕のエクスキャリバーが以下略。
僕はそのまま二つ折り式ゲーム端末を開き、オンライン通信を始める。それなりに売れている作品だ。すると、またもや百合姉が至近距離にいた。ゲーム機を落としそうになる。
それにしても百合姉、今回もそうだが、気付かぬうちに隣に居たりするのはよくあるのだ。気配でも消せるのだろうか。ハッ、まさか失われしジャパニーズNINJAなのだろうか。アイエエエエエエエエ!? ニンジャ!? ニンジャナンデ!?
「誰と通信してるのかな? ネットは危険が危ないんだよ?」
「日本語間違っているから。貓まんまEXさんだよ。フレンド」
プーピー、と気の抜ける笛の音でクエストが始まる。
「それ終わったらし貸してほしいんだよ」
これはかなり苦労して裝備を集めたデータだが、まぁ、自分の好きなゲームをプレイしてもらえるのだ。これを機會に玄人向けの武である、ランスの布教でもしようか。
ものの五分でクエストを完了させ、町に移ると百合姉に渡す。ネットには畫面の向こうの相手が人だとは思わない大きなお子様がいるものだが、百合姉なら大丈夫だろう。
すると、百合姉はこのゲームの売りであるボイスチャットをオンにし(ちょ、僕でも使いこなせてないのに一発でオンにしやがった)マイクに口を近づけ、
「うちのみー君に手を出したらミンチにするんだよ!!」
と、恐ろしいことを言い放った。
「ちょ、百合姉!?」
僕の聲が思いのほか大きく出て、マイクが僕の聲を拾ったのかチャットで貓まんまEXさんが男!? と驚いていた。どうやら向こうもボイスチャットを開くらしい。ああ、重くなる重くなる……
 僕の聲は聲変りをしてもそれなりに高く電話ではと間違えられることが前の世界ではよくあることだがどうやって聞き分けたのだろう。これも地球に似た異世界のご都合主義だろうか。ご都合主義萬歳!!
『男ってどういうこと!?』
貓まんまEXさんが再び驚きの聲を上げる。デキる、と言った聲をしていた。
「こら泥棒貓! みー君に話しかけるんじゃないんだよ!」
無視された百合姉が怒り出した。
 
「まぁまぁ百合姉。これゲームだし」
「ゲームだからと言ってなめちゃいけないんだよ!! ネットは危険が危ないんだよ!!」
だから日本語間違ってるって。
「フシャーーーー!!」
貓のように威嚇する百合姉。最早日本語ですらない。とりあえず百合姉を落ち著かせるためにいったん逃げ出そう。
百合姉から視線を外しリビングから出ようとすると、目の前に百合姉がいた。なに!? なんなの!? ニンジャなの!? アイエエエエエ!? ……いや、それはもういい。
「どこへいこうとゆうのかね」
おい、お前はどこの天空の城の王でもある悪役大佐だ。
「いや? 別に? 部屋でゲームの続きをしようかなーって」
「甘い、甘いんだよみー君。この狀況で逃げようなど思っちゃいけないんだよ」
そうしてパタンとゲーム端末を閉じる百合姉。このゲーム端末は閉じると自でスリープモードになるもので、通信中に閉じると通信が切れてしまう。ああ、貓まんまEXさんが……。あの人は基本ネットでもぼっちなのでフレンドは僕以外いないらしい。地獄のソロプレイに戻って行くのか。まぁ、通信が切れただけなのでもう二度と會えないとかいう事にはならないが。
が、挨拶もなしにいきなり落ちるというのはネットではマナー違反だ。ここはしっかり言わなければならないだろう。
「百合姉」
「ん? 何かな?」
「いきなり通信を切るのはマナー違反」
「で、でもみー君のことを思って……」
いつにもなく真剣な僕の聲に百合姉は揺する。
「それでもいきなり通信を切るのは失禮だよ。貓まんまEXさん心配しているかもしれないし」
貓まんまEXさんはボッチだが気配りをするのがうまい。優しい人なので心配してくれているだろう。もともと彼は人の機嫌や人同士の関係などが知らなくていい部分まで見えすぎるタイプなのだ。表面上は仲が良くても実際はお互いの口を言い合うような友人二人に囲まれていて、その板ばさみが嫌で自分から一人になっていったと彼は言っていた。
「返して、百合姉」
「い、いやでもみー君」
「返して」
そう強く言うとしぶしぶではあったものの返してくれた。端末を開くとそこにはやはり[通信が切斷されました]、と表示されていた。
通信をつなぎなおすと貓まんまEXさんが心配そうな聲で、
『だいじょぶでした?』
「ちょ、いきなりなんで敬語?」
『え、男の子ですしその年じゃ男子高校生…、この男のない世の中じゃ家族以外普通は敬語ではなしますよ』
いつものすこしふざけた貓まんまEXさんではなくし怯えているようなじだ。まぁ、町ですれ違っただけでパシリにされてしまうこともなくない世の中だ。これまで大量にネットでのネタや軽度の下ネタでやり取りしていたこともあり、セクシャルハラスメントなんかで訴えられないか心配でもあるのだろう。男は數がなくただでさえ保護しなければならないのだ。これでに恐怖心を持ち將來子を生せなくならば困る。と言うことで、男に対するの犯罪は前の世界のセクシャルハラスメント(厳に言えばセクシャルハラスメントは『』を意識させる言をするとあてはまるのであり、たとえから男へ、同同士でも適合するが一般的には男からにするものと言うイメージがあるため、今回は男⇒のケースとする)とくらべると罪は重いものになっている。僕は前の世界で過ごした15年間の記憶があるので大丈夫なのだが、からの野獣のような視線に耐えられず恐怖癥になってしまう人もいる。それを怖がっているのではないだろうか。
そういえば僕のこと男と一回も言ってなかったなぁ、と思い出す。この世界は一人稱がバラバラにれているので一人稱で別を見分けるのは難しい。ただ、『私』と言えば確定でになるが。
「え? いつも普通に話してたじゃん。いつもとおなじでいいよ」
『え、でもセクハラで訴えたり………』
「しないよ」
「!? 訴えられるようなことをみー君に言ったりしたの!?」
『ヒッ!!』
「百合姉、し黙って」
そう言って軽く睨むと百合姉がしぶしぶ黙る。
『お、お姉さんいたんですね……』
「お前にお姉さんと呼ばれる筋合いはないんだよ!!」
お姉さんと呼ばれたのが気に障ったのか再び怒り出す百合姉。まさかこんなところで伝説の《お前にお父さん(お母さん)と呼ばれる筋合いはない!!》に出會えるとは思わなかった。
「百合姉」
「いくらみー君でもこれは譲れないんだよ!!」
ふむ、覚悟はある様子。ならばその覚悟、見せてもらおうか!!
「これ以上口出ししたらもう口きいてやんない」
「ごめんなさい許してください何も言いませんから許してください」
といってスチャッ! と正座する百合姉。歪みのない綺麗な正座だ。もし正座選手権があるのであれば百點満點中百七十點の評価を得るだろう。さっきもそうだが百合姉の気配を消したりこの素早さのもとである能力はどこからきているのだろう。まさか本當にニンジャなのだろうか。アイエエエエエ!? ニンジャ……コホン。天丼はこのくらいにしておいて、本題に移ろう。
「訴えるつもりがあるなら最初から訴えてるでしょ? それに普段の貓まんまEXさんのほうが一緒に居てて楽しいし」
『んぶぅ!?』
ボッチだからなのか、純粋にに男が好意を向けることが極端にないのか貓まんまEXさんが驚く。百合姉が何か言いたそうな顔をしていたが《もう二度……》と言うとびていた背筋をさらにばすと、かながぷるんっ、と揺れた。これを柊さんが見たら人知れず涙を流すだろう。
「それで本題だけど、さっきは百合姉がゴメンね? 悪気はなかったんだ」
『えと、そのことなら問題ないです……問題ないよ。君みたいな子なら過保護になるのも當然だと思いますか……思うし、大丈夫です…大丈夫だ』
敬語でなくてもいいと言われたものの反的に敬語になってしまう貓まんまEX。なんかかわいい。まあ、これについてはおいおい慣れて貰おう。
「ほら、百合姉も」
「その、いきなり閉じてしまったことは悪かったんだよ」
『ええ、大丈夫ですよ。弟思いなんですね』
「當然のことなんだよ。うちのみー君は優しくてかわいくて気遣いができて料理もできて………」
と、二人は仲良くしゃべり出す。まあ、一件落著して良かったのではないだろうか。この後百合姉の僕の自慢話は一時間ほど止まなかったのだが、それはまた別のお話。
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