《香川外科の愉快な仲間たち》久米先生編 「夏事件」の後 2
「久米先生、その早足はクセになっているのでは?
醫局でもここでもそうですし、食堂に行く時もそうですよね。もしかしてご自宅でもそうですか?」
田中先生の聲が背後から追いすがるじで聞こえてきた。
「え?外科醫は敏捷さも求められていますよね。だから局以來、普段からこの速度で歩くようにしていてすっかりクセになりましたが……」
何かマズかったのだろうか。
「その速度、外科醫としては確かに好ましいのですが、デートの時には早過ぎます。
はヒールの高い靴を履いてくることが多いので、ゆっくり歩くとか石畳を避けるとかの配慮が必要です」
流石に世界中を飛び回っている商社レディを――流行の最先端を追ったお灑落な格好でファッション雑誌に取り上げられていることが多いとナースのウワサで聞いている。ナースもお灑落はするが、病院では歩きやすいナースシューズを履いているし、當たり前だがナース服で、オフの日にしか気合のったお灑落は出來ない。しかし、商社レディ――特に総合職の人は毎日綺麗な格好をして仕事をしているらしい――人にしているだけあって、田中先生の指摘は尤もだと思う。
ただ、ハイヒールというモノが――ウチではお父さんが長も高くないので、お母さんはそれに合わせて三センチ(?)ヒール以外を買うことはないので――良く分からない。
「分かりました。デートの時はゆっくり歩くことを心がけます。
ただ、ハイヒールを履いたと歩いたことが無いので全く分からないのですが」
田中先生は広い肩を竦めていた。口角を上げた皮な笑みと共に。
「お母様はハイヒールをお持ちではないのですか?家族で高級フレンチとか和食のお店に行くと言っていましたよね?」
オレの頑張って考えたデートプランの一枚目は、ミスドとマクドのどっちかにしようとして田中先生や柏木先生に思いっきり呆れられたという過去が有る。
その時に「家族と行くような店は避けたい」的な発言をしたので田中先生は覚えていたのだろう。
「ウチの父は母よりも長が低い上に、のバランスも悪いですし、お腹なんて二段腹です……。だから外出する時はヒールの低いパンプスしか履かないので……」
柏木先生が可笑しそうなじで何か言いたげにしている――というか噴き出すのを我慢しているといった方が正しいかも知れない――。
「久米先生は思いっきりお父さんに似たんだな……。ハイヒール、一回履いてそこいらを歩くとの苦労が分かるぞ。幸い、ここは病棟からも離れているし、建はともかく救急車専用駐車スペースだけでも、がどれだけ歩くのに苦労するか分かるので、確かめてみれば良いさ」
父に似ているというのは――親戚からも散々言われているので――そうなんだろうなと素直に思ってしまったが、ハイヒールなんてどこにあるのだろう。わざわざ買うモノでもなさそうだし。
「せっかくの機會ですから、久米先生にはハイヒールで歩くがどんな苦労をしているかして貰いましょう。
ああ、なるべくゆっくりとセブイレに行って來て下さい。
その間にハイヒールを用意しておきます」
田中先生が親切なのかお節介なのか分からない言葉を足してくれた。
ただ、この24時15分という時間にそうそう都合よくハイヒールが手出來るとも思えなかったので、きっと田中先生の冗談だろう。
ところが。
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8 127【書籍化&コミカライズ】私が大聖女ですが、本當に追い出しても後悔しませんか? 姉に全てを奪われたので第二の人生は隣國の王子と幸せになります(原題『追放された聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う~』
☆2022/11/4 スターツ出版様 ベリーズファンタジーより発売予定です☆ 改題「私が大聖女ですが、本當に追い出しても後悔しませんか? 姉に全てを奪われたので第二の人生は隣國の王子と幸せになります」 ☆2022/6/12 白泉社マンガpark様にてコミカライズです☆ 原題「聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う~今の生活が楽しいので、迎えに來られても帰りたくありません!~」でコミカライズ中です。 リアは九歳のとき、十二歳になる姉プリシラについて神殿に行く。そこで、姉妹ともども聖女と認定されてしまう。 この國ではひと家庭で二人以上聖女認定された場合、一人を差し出さなければならない。両親は聡明で美しく魔法を使えるプリシラを手放すのが嫌で、迷わず妹のリアを差し出した。 神殿に召し上げられたリアは聖女候補として厳しい修行を積み、六年後晴れて聖女となる。神殿の聖女の中でも、最も強い神聖力をもつリアは、神託により王太子の婚約者となった。 リアは金髪で美しく優しい王太子に淡い戀心を抱く。しかし、順風満帆に見えた將來に陰りが生じはじめた。 アリエデ王國の最北にある黒の森で魔物が大量発生したのだ。リアはこの國の聖女として討伐隊に參加しなければならない。王都と愛しい王太子に別れを告げ討伐隊とともに旅立った。 そして二年にわたる戦いののち、魔物の封印をなしとげ、王都に凱旋するはずだった。 だが王都に帰ったリアを待ち受けていたのは同僚聖女と戦友のうらぎり。 王太子との婚約もいつの間にか破棄されていて、新たに姉のプリシラが護國聖女の名を冠し、王太子の婚約者におさまっていた。 魔物討伐を長引かせた責をおわされ、役立たずの聖女として國を追放されたリアは、西側の隣國との緩衝地帯である惑い森へ捨てられる。そこにたくさんの魔物が巣食っていて……。 森をさまよううちに彼女は、魔獣に襲われた瀕死の金髪美青年を拾う。 ≪全51話予約投稿済み! 毎日18時ごろ更新予定≫ 流行りの追放聖女テンプレのつもり。聖女は無自覚でざまぁ(予定)します。題そのものがあらすじです。足の不自由な人が出てきます。タグ注意、地雷のある方はお逃げください。 誤字脫字報告ありがとうございます!!
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※作者は圧倒的初心者です暖かい心で受け止めてください。 この物語は俺TUEEEEE寄りの物語です。 異世界転生召喚させられた秋山良。 異世界に転生させられたが最初から神の失敗により、魔法力通稱‘‘MP’’がすぐなくなる體質にされてしまったけれど神からチートを貰ったのでそのチートを更に強くし、目標のため沢山努力する物語です。 そこから魔王討伐や更にまた転生をし更に強くなりある目標に向かって強くなる物語です。 ノリで書いた小説です。暖かい心でギャグ小説感覚で見てもらえると幸いです。
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