「それに、オレは脂で……。足の裏もベタベタですっ！！」

柏木先生が何故か憐れむようなじでオレの顔を見ていた。

「いや、そもそも質的にそうなら、その山のような唐揚げとかポテチ、そして、じゃがりこなどを慎む方が良いぞ。しかもには悪いし……」

田中先生も柏木先生の言葉に肩を揺らして笑っている。

「まだ、そのようなその場しのぎの言い訳を。

足の爪を拝見した時に足の裏をったと何故分からないのですかね……。脂ではなかったですよ。普通に乾燥していましたこともこの手で確かめています。

まあ、余りりたくなかったのは事実ですが。

それはさておき、アクアマリン姫のご不興を買わないように振る舞わないとマズいでしょう。

さっきも、タイムテーブル通りに行しようとする余りに、姫役の私が『あのね、私は貓と犬だとネ』コの方が好きなの……の『ネ』で『次のお店に行きませんか？』と會話をぶった切ったのは誰でしたっけね。

は自分の話をキチンと聞いてくれる人を好むというのに……」

ワザとらしくため息をつかれてしまった。

確かに今に最も人気が有るイタリアンに７時半に予約をれているということに――あくまでも練習で、実際に予約はまだだったが――気を取られてしまっていて『ネ』までで喫茶店の席に見たてたスチール椅子から立ち上がったのはオレだったが。

「そうだぞ。アクアマリン姫のような清楚なを逃すと『また彼居ない歴イコール年齢です』とけない自己紹介を繰り返すハメになるぞ。

これだけ醫局の後輩のことを思って貴重な凪の時間を割いているというのに……」

柏木先生も、一際盛大にワザとらしいため息をはいた。

「のヒールがどれだけ歩きにくいかをしたらその早足では歩こうとは思わないでしょう？」

田中先生がトドメを刺すように言い切った。もう逃げられないと観念して、心の中で（後輩のを応援してくれるのは分かっていますが、それ以上に面白がっているでしょう！！）とんだが、とても口に出す勇気はない。

それにしても寢ている間に足の爪までチェックされていたとは思わなかった。田中先生にはスマホをこっそりと取られて、オレがハマっているシュミレーションゲームのフミオちゃんの好度を――寢る間も惜しんで必死に上げたというのに――どう作したのかはナゾだが、あろうことかマイナスにまで下げられたという昏い過去も有った。

そのアプリを見て凍り付いたオレを見た田中先生は、その一週間後に好度レベルをオレ以上に上げてくれたが。

そういうイタズラはするものの、フォローもしてくれるので田中先生のことは実の兄のような気がして慕ってしまうのだが。

もう、仕方ない。

腹を括るしか。