《転生しているヒマはねぇ!》19話 解決に向けて
「儂はここでソレイユと面談する。
……うん。ダイチ。お前を臨時補佐に任命する。面談に立ち會え」
「え? オレ? 直接會いたいとは思ってたけど、いいのか?」
マーシャはニヤリと笑って頷いた。
「うむ。お主は意外に小賢しいからのう。魂魄通話で儂をフォローする役をさせてつかわそう」
自分で解決する気ゼロか。
「レイラは、ホボストのヤツを別室に連れていって尋問せい! 容赦はいらんぞ。あと、そうじやな。送魂課の課長も呼び出して、ホボスト共々尋問せい!」
「パチョビ警備部長に協力いただいてもよろしいですか? 別々にこってりと絞った方が効果的と思いますので」
「許す。ラヴァーは、他の人類部の者たちへ事聴取じゃ。これは、殘りの警備部の者たちを員せい」
「了解」
「チェリーは調査室の連中と、今回のすり替え事件に関係のありそうなモニター室、資料室のデータ及び人類部の中のホボストたちの私も含めて証拠になりそうなものを、片っ端から差し押さえよ。それから、お前にはプルルへのここまでの経過の連絡も頼む。あいつには引き続き、お祖父様や父上への説得と調整役をやってもらうからのう」
「ちょっと遠回りしたが拭えないけど、まぁ、結果オーライかねぇ。プルルへの連絡も承知しましたよ。ある意味一番たいへんなのは、あの子だからねぇ。せいぜい勵ましておきますよ」
「よし! 今回のことは全て儂の名の下に実行せよ! 協力を拒む者へは実力行使をしても構わん! 全ての責任は儂がとる!!」
おお! マーシャなのに、カッコいい。
「「「はい」」」
マーシャの聲に応え、ラヴァーさんとチェリーが退室し、レイラさんは魂魄通話を始める。
「ダイチ、手を出せ。魂魄通話をするための魂魄信號換をする。わかるか?」
「ああ、大丈夫だ。友達としたからな」
「……友達か。お前はそれなりに、ここでの生活を楽しんでくれているようだのう。できるならば、それを続けてもらいたい。これは儂の正直な願いじゃ」
いつになく真剣な言いのマーシャに、いつものような軽口を返せず、オレはただ黙って手を差し出すことしかできなかった。
マーシャの小さな手がオレの手を握り、魂魄信號換が開始される。
そういえば、さっきラヴァーさんが言っていたな。
『刺激ややりがいが不足し、魂魄の磨耗や消滅といった事案が発生している』
もしかしたら、結構深刻なのかもしれない。
スカウトされた時も、人手が足りないとか言っていたしな。
魂魄信號換が終わり、レイラさんも必要な通話を終えた頃、執務室の扉がノックされた。
「ホボストです。言われた通り、例の魂を連れてきました」
いかにも、不服ですという気持ちのこもった聲が、扉の外から聞こえてきた。
「うむ。れ」
扉が開き、あの骸骨ようにガリガリに痩せたおっさん―――――人類部のホボスト部長と、淡い青をした小學校高學年の子供位の大きさの魂が室してくる。
「ご苦労だったな、ホボスト。お前はもうよい。別室でレイラに10年前の件からこれまでの事を、洗いざらい吐いてくるがいい」
冷たく言い放たれたマーシャの言葉に、ホボストは目を見開く。
「な、何を言われるのか! 10年前の件に関しては、何も知らないと申し上げたはず! もう話すことな――――――」
「ホボスト部長」
レイラさんが、ホボストの正面に立ち、言葉を遮った。
「これは、転生役所所長並びに転生界運営大臣からの指示であると同時に、転生界界主からの勅命であるとお心得ください。逆らえば界主様への反逆罪に問われます。
さらに、今回の一件は、冥界主様及び斷罪界主様のお耳にもれており、事件解決に向けて力を注ぐようにとのお言葉も賜っております。つまり、この指示に逆らうのは、冥界全に対して反逆することを意味します」
レイラさんの言葉に、ホボストは愕然とする。
「は、話が違う!今回の件は、々にて処理すると!」
「儂はそのつもりであったがのう。罪を犯した者が、自白なり反省なりしてくれれば、儂もその魂魄に慈悲をもって応えようとな。だが、その気持ちを逆手に取られてはな」
ホボストのが小刻みに震える。
「ホボスト。最後通告じゃ。
別室にて、10年前の一件からこれまでのことで、お前の知ることを全て正直に話せ。それが、お前が慈悲をける唯一の選択じゃ。よいな」
「……承りました」
最後には肩をガックリと落とし、絞り出すようにしてそう言った。
レイラさんは、ホボストを連行する前にオレの側に來て耳打ちする。
「マーシャ様のこと、よろしくお願いいたします。本來であれば私が補佐するべきところですが、あいにくとアイシスが調子を崩しておりまして……」
ああ、なるほど。アイシスがいれば、いろんな意味でパワーのある彼が、ホボストをガンガンに追い詰めることになる訳か。そして、知恵者と思われるレイラさんがマーシャの補佐をすると。
「……オレは、オレに出來ることしか出來ませんよ。
ただ、アイシスさんが復帰した時に、休んでいた自分を責めるようなことには、させたくないと思っています」
オレの言葉を聞いたレイラさんはにっこりと微笑む。
「マーシャ様は、あなたのことを小賢しいと言いましたが、私はあなたを賢しいと考えています。
それでは、後はお任せいたしました」
オレの鼻腔をくすぐる良い香りを殘し、レイラさんはホボストを連れて執務室を出て行った。
「さてと、これでようやくゆっくりと話ができるな。
まず、お前の名前を聞こうか」
殘された魂に向かってマーシャが話しかけるが、魂は何も答えない。
「どうした? まさかお前も、口がないから會話ができんと思っとるクチか?」
クッ!人が忘れていた事を……。
「よ、余は、ホーレイト王國第2王子ソ、ソレイユである」
青き魂は震えながら、そう思念を伝えてきた。
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