《転生しているヒマはねぇ!》35話 魔獣部 送魂課 送魂先調査係
「チミ、チミィ〜、これも立派な仕事だよ。
目をそむけてちゃ、いかんよ〜」
「で、でも! グリフォンのこ、尾の様子を見るなんて聞いてませんよ‼ は、恥ずかしいですよ‼」
オレが、魔獣部送魂課送魂先調査係に異になってから、1ヶ月が経過していた。
目の前では、牡のグリフォンが、牝のグリフォンにのしかかってやる作業、つまりは尾をこれからいたそうとしているところである。
送魂先調査係の仕事はモニター係に比べればはるかに忙しい。
魔力を基盤とした、観測裝置によって得られた、新生命誕生予測に従い、現界の現地調査を行い、生命が生まれてくる場所の環境データを作。
更に、親類関係の魂データを集め、それらを整理してまとめあげ、同じ送魂課の選魂係に提出するのである。
あくまでも、新しい生命になるモノを現地で調査するので、グリフォンでいえば、確認するのは有卵であって、尾の様子ではない。
「チミィ~、よ〜く聞きたまえ。尾というのは、我々が送るを産み出す為の、神聖な儀式なのだよ! 
邪なを抱いて見るから、恥ずかしいなんて気持ちが出てくるのだよ! 
純粋な心を持って、しっかりと見たまえ‼」
「わ、わかりましたよ‼
う、うわー。グリフォンの雄のって、あんなに大きいんだ! 管まで浮き出て……。目を走らせちゃって、牝にすごい興してるんだ。
う、うわー! 牝ってあんなの呑み込めちゃうの‼ すごい! 本まで! あ、あんな聲あげちゃって……」
「……あ、あのー、ソレイユさん。そんな解説を加えられると、私の方が、恥ずかしくなって來るのですが……」
すぐ近くまで寄って尾の様子を見ていたソレイユに、上司であるオレが意見する。
「み、見ろって言ったのはダイチさんじゃないですかーっ!!」
「実況生中継しろとはいってませんー」
「なんですか⁉ その言い方! じワルッ!」
「フン! ほら、こんなところで油売ってないで、卵見に行くぞ! 卵!!」
「最初からそうしてくださいよ!」
ソレイユの魂が、魂宿所での監を解かれたのは、つい昨日のことだ。やはり、魂すり替え事件の第一容疑者ともあって、簡単には許可はおりなかった。
しかし、肝心のソレイユの前世の記憶が戻る気配がいっこうになく、事件の調査が暗礁に乗り上げたのを機に、記憶への刺激という名目で、泳がせてみようということで、ソレイユ解放反対派が折れたらしい。
もちろん、泳がせると言っても、単獨で自由にさせる訳にはいかない。當然監視役をつけるという話になったわけだが、問題は誰に監視役をさせるかであった。
運営省の警備部は當然自分たちがと主張。
運営省副大臣は調査室によるかな監視を提案した。
転生役所側は、なぜかオレの部下としてつけるという意見で統一。
転生役所副所長が、數の力と、面倒な奴はひとまとめにという獨自の理論を展開し、他の意見を押しきったそうだ。
全部アイシスに聞いたことなのだが、オレはてっきりマーシャが獨裁者振りを発揮したと思っていたが、運営省の運営大臣、転生役所所長を兼任しているとしては、気を使わなくてはいけないことも多いらしい。
もっとも、実際に會議で気を回しているのはレイラさんで、マーシャは基本的に、有事の際以外は、ドーンとかまえているだけのようだ。
まぁ、余計なことをするなという事なのだろう。
なんたって常識習得率が0に近い奴だからな。
「お! いたぞ。アレが卵を守っている牡だ」
グリフォンの生息地域である高山の巖場、大きな巖ので、1匹のグリフォンの牡が、1個の大きな卵の前に陣取り、辺りを警戒しているのを確認した。
俺たちは牡のグリフォンを気にすることなく、卵に近づく。
「でも、牡のグリフォンが、こうして飲まず食わずで卵を守っているのに、牝は別の牡と尾中って、なんだか切ないですね」
「世知辛い世の中だよな。一匹でも多くの子供を殘す為の、グリフォンの生態なんだろうけどさ」
俺たちは、グリフォンのを突き抜け、卵の前に立つ。
冥界の魂を認知できないのは、人類も魔獣も変わらない。
この幽霊みたいな行にも、ようやく慣れてきた。
もっとも、今日初めて転生役所の職員としてやって來たソレイユはそうではなく、れることさえなく、生のや壁を通過していく自分のに戸いを隠せていない。
「ソレイユ。魂寫機《こんしゃき》、使ってみて」
「あ、はい」
ソレイユが、ポケットから手のひらサイズの機械を取り出す。
魔力を用いたカメラだ。これで魂の送魂先となるの寫真を撮る。
これで撮影すると1度で寫真が2枚撮れる。
今俺たちが見てる卵の表面と実際に魂がることになる中だ。これを選魂係に提出する資料に添付する。
ちなみにこれで自分たちを撮影すると、仮と魂、両方の寫真が撮れる。
「撮影終わりました」
「うん。後は周囲の風景もね。その牡も含めて」
「わかりました」
ソレイユがオレの指示にしたがっててきぱきと行する。
それにしても、イケメンである。
角は頭の頂點の一本角。太めで短い。
仮の年齢はオレと同年代だ。
生きてた頃より老けている訳だが、ソレイユの魂が長い時を経ていることを考えれば、仮年齢として充分に若い。
「今日はこれで帰って、資料の作の仕方を教えるけど、慣れてきたら、1日10件くらい回るから」
すでにここに來る前にも、4件まわっている。
本來であればひとりでやる仕事だが、ソレイユを単獨で行させることはできないから、あくまでもオレの補佐だ。
自立させる訳ではないから、やろうと思えば今日も、もっとまわれるが、オレの仕事は通常の業務だけではない。
そう。魂すり替え事件の真相究明。こっちの方が大事だったりする。
これは魔獣部部長、送魂課課長、そして、オレの部下になっている送魂先調査係の他のメンバーにも説明し、理解をもらっている。
植部にいた時には、これが足りなかった。
だから、オレの異が決まった時、あんなに喜んで……。
やめよう。悲しくなってきた。
それにあの時は極だったから仕方ない。
今は、オレがそういう調査をしているのは公になっているから、周囲と違うことをしていても、割りと理解してもらっている。
「ダイチさん、終わりましたよ」
「おう。それじゃ、帰るか」
「帰る時は、直接飛べるんですね」
「魔方陣が用意されてるからな。そこに帰還石の魔力を合わせれば、いいだけ。それじゃ、オレに捕まって」
「はい」
イケメンとの距離が、グッとまる。
クッ! 同なのにしドキッとした!
……BLじゃないんだからね‼
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