《の黒鉄》第48話 被雷
「取り舵一〇度!」
松田艦長の聲が伝聲管から響いて聞こえる。
大和を含めた連合艦隊は敵機の空襲をけている真っ最中だ。無論、護衛機は対抗し、かなり善戦をしているのだが、如何せん敵の數が多すぎる。かなりの機が護衛のを付いて連合艦隊の上空に殺到していた。
殘念ながらこれに抗うを持っている艦船はない。何せ帝國海軍は今まで艦隊決戦をを主軸に考えていた軍隊だ。それだけに敵航空機への対策は余り考えられていない。特にこの考えに拍車をかけたのが漸減作戦である。この作戦は基本的に日本本土接近まで敵を引きつけるため、敵が持ってこれる戦力というのはたかがしれている上、日本海軍は本土の航空基地の護衛をけられるため、それほど艦隊防空を考える必要が無かったと言えよう。
しかし、今回の作戦は今までのモノとは大きく違い、日本海軍が逆に敵の本拠地に攻めにかかっている。そのために起きた事態であった。
「敵機投雷! 一一字方向!」
見張り員から報告がる。
雷撃機は機速を落とすこと無く、置き土産とばかりに機銃を大和に撃ち込みながら右舷後方へと消えていく。敵が放った機銃は甲板上の木片を舞い上がらせ、艦上構造に當たると火花を散らす。偶然にも敵機が放った何発かが艦橋の防弾ガラスに命中。ガンガンという激しい音と共にひびをれた。
「敵機直上、急降下!」
見張り員が別の機の報告を上げてくる。
大和はその巨故か敵機の攻撃をかなりけている。他の艦に比べ大和型の周囲に吹き上がる水柱の數が段違いに多かった。だが、そこは最新鋭艦を任される艦長なだけある。一発の魚雷や弾の命中を許すこと無くわし続けている。
「まだだ!」
松田は敵急降下撃機を睨み付けながら何かのタイミングを待ち続けている。
「今だ! 面舵一〇度!」
松田の指示を聞いた舵員は復唱しながら、舵を回していく。
機首はまっすぐと大和をにらみ、今にもその腹に抱えた弾を落としそうな雰囲気だ。
それにもかかわらず、大和の巨はなかなかこうとはしない。何せ何萬トンもの巨が二七ノットという快速で突っ走っているのだ。その巨大な慣力のベクトルを変えるだけでも巨大な力が必要となる。
艦尾水面下では巨大な舵が大きく振れ、推力を橫に向けている頃合いだろう。待てども待てども舵は聞かない。
「敵機、投弾!」
見張り員の絶めいた報告が聞こえた直後、艦がゆっくりと変針し始める。最初こそゆったりとしたきだが、そのきは途中から急速に速まり、艦がし左に傾斜しながら回頭する。
弾はそのまま、大和がそのまま直進したらいたであろう地點に著水。派手な水柱を吹き上げながら、艦の目の前に水柱を作り出す。
「やった、わした!」
第一艦橋に詰めていた誰かがそうんだ。
目の前の水柱が崩れていく。その奧に何かがきらめいた。
カンカンッ!と堅いモノが衝突音が聞こえ、火花が散る。それはまっすぐと上へと上がっていった。敵機が艦橋目がけて機銃掃を仕掛けてきたのだ。
第一艦橋の誰もが安堵の表を浮かべた直後、防空指揮所につながる伝聲管から細々とした聲が聞こえてきた。
「て、敵の機銃掃を浴び、艦長負傷。至急、衛生兵を……」
その言葉に誰もが顔を変え、すぐに艦長の下へ數人の兵士を送り込んだ。また、副長も同時に防空指揮所に上がり、艦長の様態の確認と必要に応じて舵指揮を執る準備を始める。
防空指揮所に上がるとそこはの海と化していた。ほとんどの兵士が朱の染まり倒れており、うめき聲を上げている。
どうやら敵の機銃は左から右へとなぎ払われたらしく、防空指揮所の後方にいた人間は比較的軽度の傷であった。
そのうめき聲を上げている者の中に松田の姿がある。運良く致命傷は避けていたが、肩と足に大きな傷跡があり、そこからドバドバとがあふれ出ている。
「艦長!」
すぐに衛生兵が止にかかる。松田は小さくうめき聲を上げながらもその痛みに耐える。
「艦長負傷! これより一時的に私が指揮を執る。取り舵いっぱい!」
艦長の回復を待っている時間はない。すぐに副長が敵機のきを見ながら指示を出す。しかし、松田と比べてやはり経験の差が出てくるのはやむを得なかった。
大和は巨故に集中的に敵の攻撃にさらされ、すぐに雷撃機の二個編隊が大和を取り囲むように襲いかかる。
「十一時方向より敵編隊、接近!」
「三時方向より敵編隊、同じく接近!」
どちらに舵を切ろうと直撃するように敵は二手に分かれたのだ。
「面舵十度!」
苦の策として敵の間をすり抜けるつもりであったが、それを見逃す敵機では無い。
すぐに機種を大和が変針した先に向け、投雷した。その魚雷は大和に吸い込まれるように消え、巨大な水柱を吹き上げた。
「大和、被雷!」
その速報はすぐ連合艦隊旗艦であった武蔵にもあげられた。
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