《After-eve》bake 第2章
アキこと、秋本あきもと  歩あゆむ    45歳。獨。
この街には、高校まで住んでいた。
高校卒業後は、この街を離れ滅多に帰って來る事も無かった。若い頃は、いい加減な生き方をしていて高校卒業したあとに行った専門學校も早々と中退。
その後も、やる事全てが中途半端。
ただ、その頃付き合っていた彼はずっと自分のそばに居てくれた。
いい加減な自分だったが、浮気はしなかったので彼とは割と長く付き合いが続いた。
しかし突然、彼が病気に…。
初めは、そんな大変な病気と思わなかっ
たが、調が回復しなく検査の日々。
そして告げられた結果が、急白病。
ドラマや映畫の中でしか聞かないのに、まさかこの若さで…。
ただ、治療さえすれば良くなるものだと思い、彼に付いて行った。
治療も辛く、見ていて可哀想になるくらい。勿論、彼の家族も出來る事全てやり盡くした。
良くなる迄は、ならなかったが時折、安定するぐらいの狀態の時もあり期待はしていた。
ただ…駄目だった。
結果的に治療していた期間の殆どが、彼にとって辛い日々だった。
自分もずっとそばに居たので、彼の辛さ、無念さがわかっていた。
だからこそ彼が亡くなった後も、その想いを引きずり自分を見失っていた。
長い事、辛さから抜け出せなかったが歳を重ねるに連れしずつ立ち直った。
昔は、いい加減ゆえ軽い自分だったが、靜かに生きる人間になり昔の自分を知る人達には驚かれた。
パン作りやレザークラフトもその頃に始めた。人付き合いが苦手になった事もあり、一人で出來る事に沒頭できた。
そして彼が出來た。
無論それまで、と接していない訳では無かったが、付き合う事に凄く神経質になっていて病気で亡くした以來の彼だった。
自分の過去まで全てけれてくれた彼。それまで靜かに生きてきた自分にとってやっと訪れた幸せと楽しいと思える時間だった。
花と珈琲が、好きな彼だった。
彼が淹れてくれた珈琲と自分が焼いたパン。いっ時は自分を見失い自暴自棄になっていた自分が、生きていて良かったと思わせてくれた時間だった。
彼とも長く付き合いが続いた。
年齢も年齢だけに結婚も考え始めた。
ただ、些細な事からすれ違ってしまった。お互いの勘違いの様な。どちらが悪いとかでは無く。余りにもお互いが依存していた為、逆に一つズレただけで元通りになる事が難しかった。
自分も彼もその時は、そこまで考えずまたすぐに仲良くなれると高を括っていた。お互い好きなのは変わらなかったし。
その余裕が最悪の結果をもたらした。
2年前の1月15日。
気持ちがズレている時に彼と自分の気持ちが、ぶつかってしまった。
そして自分は、きちんと向き合わずその場から逃げてしまった。
2年前の1月16日。
彼は車を運転中、多重衝突事故に巻き込まれ…。
彼は、自分の所に來る途中だった。
冬の雪が降る中、自分の所へ。
自分を責めた。昔の病気で亡くした彼の事も急に蘇り、より一層自分を責めた。
自分がする人を失うのは、自分のせいなのでは…と。
あの時…     もし。
後悔しかなかった。
ずっと後悔だけ…
病気で亡くした彼を失った時から、神的に不安定で、鬱とパニック癥の癥狀が出ていると醫師に言われ薬を飲んでいた時期もあった。それも解消されていたがまた事故で彼を亡くし、より酷く癥狀が出る様になった。
激しい悸、嘔吐、過呼吸、過呼吸による貧狀態、意識混濁。
鬱も酷く、死にたいと思う日々。
しかし食事も殆ど出來ない狀態の為、死にたいと思ってもすらかせない程、力が落ちていた。
家族の勧めで院。その後は長い期間、薬での治療。その頃は、死にたいとは思う事は無く、亡くなった彼の為に必死に生きることを選んだ。彼への謝罪と自分が抱えている後悔を忘れない為に。
毎月16日は、彼の元へ。
毎月15日は、自分の愚かさを悔む日になった。
そんな過去を引きずり、する人を2人も亡くし、自分だけ…
カオリちゃんは、素敵な。
わがままの様で、相手を気遣い。
強引な様に見えて、優しく真っ直ぐ見てくれる。
おまけに綺麗だし、年齢の割には若く見える。
だからこそ、幸せになってしい。
こんな過去に縛られている男では無く。
男運が悪いと思っているけれど、それはカオリちゃんが優しいということ。
こんな酷い男に、振られたのだからもう男運は、悪くない筈。
別にマコちゃんを強引に、くっつけようとは思ってないのでカオリちゃんらしく、後悔しないをしてしい。
まだ自分は、ケリがついていない。
もうすぐ今年も終わる。
年が明ければ、自分にとって辛く悲しく後悔が襲って來る日が…。
この街に戻って來て、ユウちゃん、カオリちゃん、マコちゃん…楽しい年だった。その反面、辛かった。楽しい日々を過ごす事が。
まだ自分自のケリがつくまでは、楽しくても辛く思ってしまう。
せめて…全てが、落ち著くまでは…
 
after everything
第2章      終
【完結】前世は剣聖の俺が、もしお嬢様に転生したのならば。
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